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溺れた沼から見えた景色

はじめに

2022年の夏。忌むべきことに私はまた1つ歳を重ねました。
押しも押されぬアラサーとしてまた一つレベルアップを遂げた先にたどり着いたのは、「ハロプロ」そして「Juice=Juice」という沼地でした。

”みんなかわいいし、歌うまいし(変な曲多いけど)、何よりひたむきだ”

きれいな湖の様相で眼前へと現れた”それ”は、自分の人生を頑張り続けることに疲れ、しばしの休息・オアシスを求める独身女にとって、非常に魅惑的に映ります。「これはやばいぞ」という警鐘が頭の中に響き始めた時には既に遅く、沈み続ける身体に為す術もありませんでした。

しかし、湧き出る欲望に抗うことをやめたとき、私は圧倒的な幸福感に浸かっていました
これを完膚無きまでの自己語りによってお伝えしたい、というのが本記事の主題です。

さらっと自己紹介

北国生まれ、関東在住のアラサー♀です。
小〜高は体育会系の部活漬けで、今までの趣味嗜好はアウトドア寄り。
高校の時にAKBや少女時代のCDを友達に借りたり、大学時代は乃木坂の番組を見て楽しんだりもしていましたが、特典付きCDの大量廃棄といった問題にはやや懐疑的で、アイドル=積極的に否定も応援もしない存在、でした。


ガッツリ推し紹介

そんな私を沼落ちさせたのが彼女、段原瑠々さんです。

2023-01-02更新 Juice=Juice公式ブログより
  • 名前 段原瑠々(だんばらるる)

  • 所属 Juice=Juice(じゅーす・じゅーす):モーニング娘。やアンジュルムらと同じく、ハロプロ内のユニットの1つ

  • 出身 広島県

  • 年齢 21歳(2023年1月現在)

  • 公式プロフィールはこちら


ハロプロ以前の経歴として、広島の名門音楽スクールである「ASH」(広島アクターズスクール)出身であること、その後「ハロプロ研修生」に加入し長期にわたる研修期間があったこと、など段原瑠々を構成するストーリーは尽きませんが、ここでは割愛します。
生まれ持った音楽的センスに加えて、幼少期から綿密に鍛えあげられた経験と実績。2017年、16歳だった彼女は鳴り物入りでJuice=Juiceへと加入します。

段原瑠々の魅力を語る際、まず最初に口にのぼるのが「歌声」である方は多いと思います。普段の穏やかな表情や立ち居振る舞いからは想像もつかない、情熱的でパワーのある歌声は、アイドル界きっての歌うま軍団と名高いハロプロにおいても”歌姫”と讃えられるほどの実力者です。

▼Juice=Juice段原瑠々《自撮りアカペラ》如雨露

歌唱時の表情も抜群に素敵です。楽曲によって、世界観に陶酔しきっているかのような妖艶な流し目と、一転してファンやメンバーに向けるチャーミングな笑顔とのギャップ。
そして長くしなやかな手足から繰り出されるダンスも、ハロプロトップクラスの評価を得ています。

ステージに立つるるちゃんはどこを切り取っても魅力的で、耳も目も心までもが惹き込まれてしまいます。


あとシンプルに超可愛い


じわじわと侵食が始まる

アイドル文化に馴染みが薄かった私ですが、うたばん世代でしたしモー娘。に関しては多少知っていることもありました。といっても鞘師が超人気だったことや、小田さくらという歌唱力モンスターの存在、モー娘。の他にもグループがあるらしい、程度の知識です。
Juice=Juiceの存在すら知らなかった私の入り口は、この動画でした。
▼Juice=Juice『プラスティック・ラブ』

シティポップにハマっていた時期、本家である竹内まりやさんの2019年制作版MVを見ていた時に表示されたおすすめ動画でした。


画面に映る少女たち、そして女性たちは、年齢も雰囲気も、表情、抱えている背景もバラバラに見えて、終盤に向かうにつれ物語が交錯していく予感が漂います。映像のざらつきや彩度が度々切り替わり、昔と現代を行き来しているようにも感じられました。

聞き進めていくうちに、前のめりになっている自分に気づきます。

「みんな歌がうめぇ」

複数人で歌うからこその声の高低や甘さの幅。訴えかけるような切実さと、諦めを感じる切なさを含む歌い方。
題名の通りに無機質さすら感じる本家とは別物で、むしろ感情的な表現が多い。それなのに違和感がない。
「うわ、好きだな」と、あっという間に引き込まれていました。

それからJuice=Juiceがハロプロであることを知り、他のグループ含めて様々な映像を見るようになって、2つの発見をします。
1つ目は、ハロプロは本当に歌の上手い子ばかりで、個性や質感は違えどレベルの高い歌唱が聞けるすごいアイドルたちだという感動。
そして、歌の上手い子は他にもいっぱいいるのに、段原瑠々が歌う時にだけ引っかかる”何か”がある、という直感です。

▼「ポップミュージック」段原瑠々のボーカルREC(10:51〜)
一番好きなREC映像です。明るくて可愛いのにかっこいい。あと曲が変。

音楽知識がないので言語化しにくいのですが、1つ1つの音の圧が強いのにどこまでも伸びやかで、声の響きがとにかくめちゃめちゃカッコいい。ずっと聴いていられる、ずっと聴いていたい。
しかも何故だかちゅるちゅるぷにゅぷにゅ歌わされている。よくわからんが可愛い。
そうして癖になって繰り返し聞くうちに、自分の中で何やら確信めいたものが生まれていきます。



これは生で聞かないと後悔するやつだ

すっかり彼女の歌声の虜になった私は、1も2もなく今すぐとれるチケットを調べました。
とは言ったものの開催中のツアーの申込方法がよくわからず、ググりまくってもよくわからない。ようやく情報に辿り着いた頃には関東近郊のチケットが売り切れていることを知り、軽い絶望を覚えました。

とりあえずハロプロのファンクラブ(以下、FC)に加入すれば先行申込で当選確率が上がるらしい情報を手にし、即座にクレカ決済をキメました。
1度もライブに参加したことがないにも関わらずいきなりFCに加入した点は笑い話でしかないですが、判断能力がぐずぐずになるほど渇望していたとも言えます。

会員証が届くまで約1ヶ月かかり、その間に開始された秋ツアー先行には間に合わなかったものの(😇)、「段原瑠々」の文字列が記載されているFC会員限定のイベントを見つけて脊髄反射で申し込みました。
平日の夕方開始という会社員を切り捨てるかの如し鬼の所業でしたが、真面目に働く我々に残された切り札、”午後休”が火を吹きました。


直感は正しかった

全身を、機関銃のような圧のある歌声で撃ち抜かれてしまいました。
それでいて、情熱的で柔らかく、芯のある暖かな歌声に包み込まれているようでもありました。

琴線に触れるとかいう生易しい表現では追いつかない、瞬く間に心臓を鷲掴みにされて、ぐわんぐわんに揺さぶられている感覚。
今まで味わったことのない興奮と、ある種の恐怖・畏怖のようなものが同居していました。

このイベントは同じグループの井上玲音(いのうえれい)さんとのペア開催で、井上さんの歌声もムーディーで力強く、彼女のこれまでのヒストリーも感じさせる選曲になっていたり、初参加ながらイベント自体の完成度にもすごく感動しました。

▼”伝説のれいるるイベント”ダイジェスト映像

けれどやはり、甲乙とかそういう話ではなくて、私にとって段原瑠々という人間を通して奏でられる音の気持ちよさが、他の何ものにも代え難いのだという圧倒的な実感が芽生えてしまったのです。

なるべく多く、できる限り長く、この歌に触れていたい。
帰り道、少しふわふわとした頭で、そんなことばかり反芻していました。



オタク的な自我の芽生えと拒絶反応

歌唱動画以外にもいろんな動画を見るようになって、ブログも読むようになりました。
彼女の魅力はステージの上だけにとどまらず、内面にもとてつもない輝きを持ち合わせている人なのだと知ります。

▼ハロプロ公式「OMAKE CHANNEL」
2020年3月、最初期の自粛期間中にUPされた動画です。
当時19歳。概要欄を読んで、その気遣いと行動力に感動しました。

ちなみにペアを組んでいるのは、研修生時代の同期で絶望的にトランプが下手な船木結さん(残念ながら現在は芸能界を引退されています)

るるちゃんの笑顔に触れて、人柄に触れて、「心から応援したい芸能人」という存在にはじめて出会いました
公式ブログには、「アイドル」という道を選択した彼女が日々ファンに向けて発信してくれる言葉が綴られています。その貴重さを、ありがたさを、噛み締めずにいられるでしょうか(いや、いられない)

何より、ブログの文章もめっちゃ可愛いんですわ。


とはいえ、「一介のオタクとして自分を認識されること」には、まだ抵抗感がありました。オタクと名乗れるほど段原瑠々を、Juice=Juiceを知っているわけでもないし、今までの趣味からかけ離れていたことによる戸惑いもありました。
そして何より、どこかでアイドルオタクをダサいもの、恥ずかしいもの、として捉えていた節があったように思います。今思えば、この偏見に満ちた考え方自体が相当ダサかった訳ですが。

日々のブログを読むだけで満足し、グッズもそこまで興味がない。近郊のイベントやLIVEにはなるべく行きたいな、と考えていた私に転機が訪れます。



武道館公演 開催中止

Juice=Juice秋ツアーの大千秋楽とも呼べる日本武道館での公演の中止、そして複数メンバーが新型コロナウイルスに感染したとの報せが届きました。
開催予定だった2022年11月29日の、その前日のことです。

新幹線や飛行機、宿をとっていた方もいらっしゃったでしょう。お仕事の都合をつけて休みを取っていた方も大勢いたかと思います。チケットの払い戻しだけでは賄えない経済的な損失が、それぞれの方にあったかと想像できます。

それでも、彼女たちの目に触れる可能性の高い媒体はすべからく、励ましの言葉で埋め尽くされていました
観客として楽しみに待っていた自分たち以上に、秋ツアーで積み重ねて作り上げてきたメンバーやスタッフのことを、その体調とそのメンタルを、何よりも一番に心配される方ばかりでした。
内心どうであったかは問題ではなく、その事実に、懐の深さに、なぜだか私が泣きそうになってしまいました。
また、武道館中止による興行的な損失を少しでも補填しようと「グッズを買って応援しよう!」という趣旨のツイートもちらほら見かけました。

なんというか、みなさん全く受け身じゃなかった。
中止という事実をすぐに飲み込んで咀嚼して、気遣いの言葉をかけられる思いやりと、将来に向けて建設的な行動を取ろうとする気概。
もしかしてオタクって、かっこいいんじゃないかと思うようになりました。(いやめっちゃ失礼だな。今ではかっこいい考え方、生き様の方が多いなと思っています)



また、この日に更新されたとんでもなく熱いブログについても語りたいところではあるのですが、さらっと触れるなんてことは不可能なため、ここではリンクのみ紹介し、いつか別稿として書きたいと思っています。
彼女が静かに突き上げた”こぶし魂”によって、これから始まる戦いの狼煙があげられたのだと私は感じました。



一方通行な想いの矛先

この中止発表の日を境に、おこがましいことに私はこんなことを考え始めます。
「彼女たちをもっと応援したい、願わくば元気づけたい」と。

私が彼女たちに向けて直接発信できるものが唯一ブログのコメントぐらいしかなかったということ、そして届かなくても伝えたい強い気持ちが生まれてしまったことが起点となって、それからほぼ毎日のようにブログにコメントを書くようになりました。

ブログのコメントなんて、読む相手が困らないような言葉で書くべきだし、そもそも読まれる期待なんて微塵もするべきではないと思っています。あくまで彼女たちに向けた発信を”許されている”だけであって、コメントを読むことを強いるような代物ではないのですから。
それでも、伝えたいと思ってしまったのだからしょうがない。

一日のうちで、少ない時間だけど応援したい人のことを想って、毎日のようにコメント考えるのが楽しくなってきました。
これ読んで笑ってくれるかなとか、押し付けがましかったり説教臭くなってないかな、とかとか。
彼女たちが少しでも前向きな感情を持ってくれるにはどうしたらいいだろうと日々考えることで、自然と自分も前向きになれているんだと思います。

今では私も十分立派なオタクだと、胸を張って言えます。


最後に

基本的に物にも人間にも執着が薄いタイプだったはずなのに、全然関わりのない人様のブログに一喜一憂し、毎日のようにコメントするなんて、らしくないことをしてるなと今でも思います。けれど、ブログへのコメントをはじめてから、熱量はどんどん上がってきている気がします。

LIVE欲は今まで以上に爆発し、旅行がてらの遠征として地方のコンサートも申し込みました。Juice=Juiceというグループ自体にも、そこに所属するすべてのメンバーに対しても、愛着が日に日に増していって、個人のイベントにも参加するようになりました。(植村さんバーイベ超楽しかった)
個として認識されるのは相変わらず恥ずかしくて苦手なので、握手会的なサムシングは行けそうにないと思ってたけど、間近で拝んでみたい欲が出てきて相当気持ちが揺らいできています。

1度もちゃんと真正面から会ったことのない人たちなのに、応援したいと思う気持ちは日々増していくばかりです。
まぁまぁキモいなと自分でも思いますw
でも最近は、このキモさをあんまり卑下しなくても良いかな、と思えるようになりました。

私が彼女たちから活力をもらっているのは紛れもない事実だし、そんな彼女たちに何か返せることはないかって模索しているのも事実です。(何を返せるのか、本当に返せるのか、は別として)
ひとまずは、彼女たちの障害にはならないように、応援している自分自身をも誇りに思えるように、ちゃんとした人間でいようと思えます。
ひたむきに頑張り続けるJuice=Juiceに恥じない自分でいたい。

誰かを応援したい、という気持ちにはネガティブな要素がありません。
幸せになってほしいと思える人が増えること以上に、幸せなことなんてないんじゃないかと思います。
一方通行だった想いは、注いだ熱意を介して、推しを経由して、自分自身に戻ってきている感覚があります。

自分の中で勝手にハードルを作ってオタクと自負できない人、なかなか踏み切れずにいる人って、世の中には結構いらっしゃるんじゃないかと思っています。
そんな人たちに向けて、こんなふうに行き着く”沼”の形もありますよ、全身ずぶずぶに浸かってみるのも悪くなさそうですよ、というお話でございました。




おまけ

2023年2月28日(火)、日本武道館での振替公演が開催されました。中止の知らせがあったあの日から、ちょうど3ヶ月が経ちました。

彼女たちはいつも、最高潮を更新してくれます。
私にとって最新のJuice=Juiceが、最高のJuice=Juiceです。
ただ勝手に応援しているだけの身なのに、彼女たちを誇らしく思います。

ここまで読んでいただいたのも何かのご縁です。
今、アイドルを応援することに少しでも迷われているのだとしたら、ぜひ一歩踏み出してみることをお勧めします。
このnoteが後押しになるのであれば、しがない1人のオタクとして嬉しい限りです。


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