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『WOMEN 14』

『WOMEN』 Charles Bukowski
オレたちはまた喧嘩した
オレは家に戻ったが、1人座って酒を飲む気にはならなかった
その夜はハーネスレースがあった
パイント瓶を持って競馬場へ向かった
早めに着き馬の予想をすべて終わらせた
最初のレースが終わる頃には驚くことにパイント瓶の半分以上がなくなっていた
残りをコーヒーと混ぜることで飲みやすくなった

最初の4レースの内3勝した
馬単でも的中し5レース目が終わる頃にはほぼ200ドル近く勝っていた
バーに行きオッズ表示板を見るだけで賭けた
その夜は最高にツイていた
もしオレがこれだけ勝っているのを見たらリディアはグダグダ悪態をついていただろう
リディアはオレが競馬で勝つのを嫌った、特に彼女が負けているときには

飲み続けて賭け続けた
9レース目が終わる頃には950ドル勝ち酔っ払っていた
財布を内ポケットに入れ駐車所に向かった
車の中に座り敗残者たちが駐車場を後にするのを眺めた
道路が空くまで待ち車のエンジンをかけた
競馬場の外れにスーパーマーケットがあった
駐車場の端に明かりの点いた電話ボックスがあるのを見つけ車でそこまで行き降りた
電話ボックスに向かいリディアに電話をかけた
「聞いてくれ」オレは言った「聞けよ、ビッチ。ハーネスレースに来て950ドル稼いだぜ。オレは勝者だ!オレはいつだって勝ってきたぜ!おまえはオレにはふさわしくないぜ、ビッチ!おまえはオレをいいように利用してきたけどな、もう終わりだぞ!もう止めだ!これで終わりだ!もうおまえは必要ないし、このクソッタレのゲームにもうんざりだ!ちゃんと聞いたか?わかったのか?おまえの頭は足首より細くなっちまったか?」
「ハンク、、、」
「何だ?」
「私はリディアじゃないわ。ボニーよ。リディアに雇われてベビーシッターをやってるの。彼女は出かけたわ」
オレは電話を切り車へ戻った

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