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兄弟は強大

今度の週末、兄弟揃って父に会いにいくことになった。
末っ子の自分も成人して働いている。大人の話があるんだろうか。
兄弟で出かけるのはいつぶりだろう。

兄は2人いて上の兄とはひと世代ほど違う。今回はこっちの話をしようか。

よく兄弟仲を聞かれることがあるが歳が離れていると特に答えることがない。悪くはないと思う。兄弟喧嘩なんてしない。死んでしまう。
特にわかりやすく優しいタイプの兄でもないしこちらから積極的にコミュニケーションをとりに行く訳でもない。男兄弟がいる人には分かるだろうか、この感覚が。
尊敬してるし軽蔑してるし、疎ましいんだけど必要だと感じる。
こんな人になりたいと言うロールモデルではないし憧れという感情は抱かない。

ただ自分自身、その存在に影響を受けて育ってきた。
ギャグセンス、突っ込み方、相槌の打ち方、、、なんだか似ているところがある。
時系列的には弟が兄に似たというべきなのかな、癪だな。

歳が離れていることに加えて物心つく頃には兄は寮生活をしていたし卒業と共に職場が福岡になってしまったため顔を合わせる機会も時間も少なかった。そのためか今も兄の背中はどこか遠い。

小さい頃のことで覚えていることがある。

或る夏の日、家から学校まで兄の自転車の後ろにまたがっていた。
どうしてそんなことになったのかよく覚えていないが暑いし喉が乾いてしょうがなかった。
前カゴにあるポカリを飲みたいと何度も思ったがうまく言い出せず
「飲むか?」
そんな風に勧められるまでは目の前にある汗だくの背中にもたれるというより抱きつくというよりしがみついて我慢していた。
きっと当時の自分が思うよりはこちらを気遣っていてくれたんだと思う。そう思いたい。

学校に着くと教師室で麦茶とアイスをもらった。先生たちは兄の用事が済むまでぼくの相手をしてくれた。優しい大人たちだと思った。
数年後に自分はその大人たちに限りなく迷惑をかけ、クソお世話になるのでこの時くらい愛嬌を振りまいておいてよかった。

帰り道は来た時より涼しかった。
結局目的も理由もわからずこの学校の往復に付き合わされた訳だが兄の背中は広かった。

春を運ぶ風が気持ちいいけどまさか週末も自転車で行くわけないよね。

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