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ボジョレー・ヌーヴォーのノー天気なキャッチコピーは、実はフランス公式コメントではなかった件

金曜日はグルメ関連、あとワインやお酒に関するお話しを。

先週も触れましたが、今シーズン、残念ながら全く盛り上がりに欠けてしまったボジョレー・ヌーヴォーについて、敢えて続報します。
既に皆さんの興味もない頃とは存じながら…(苦笑)

ちょっとワインを楽しまれる方なら、毎年のボジョレー・ヌーヴォーの『キャッチコピー』を耳にしたこともあるかと思います。
どの年も極めて前向きで、欠点さえも美点に変えて大袈裟に褒めまくることで有名な宣伝コピーですね。

実はネットでいろいろ揶揄されるそれらのキャッチコピーは、日本の大手輸入業者がそれぞれの解釈で勝手に謳っているもので、フランス側の正式なコメントではありません。
また、記事によって取材先の業者が異なりますので、同じ年でもいろいろな表現のコピーが乱立しています。
多くは、サントリー等の最大手業者が発表したものを紹介しているようですが、老舗の輸入業者のコメントを採用する記事もありますので、どれが正解というものでもありません。

ただ共通して、とにかく褒めまくっていますので、『三段論法』に当てはめても一体どの年が最高だったのか?等ははぐらかされたままになりがちです。
その辺の言葉遊びも楽しむだけの心の余裕が必要そうです。

年によって出典がバラつく為、連続性に欠けますが、業者によるキャッチコピーを並べてみます。

2002年…「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」
2003年…「100年に1度の出来」
2004年…「香りが強く中々の出来栄え」
2005年…「ここ数年で最高」
2006年…「今も語り継がれる76年や05年に近い出来」
2007年…「柔らかく果実味豊かで上質な味わい」
2008年…「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
2009年…「50年に一度の出来」
2010年…「1950年以降最高の出来と言われた2009年と同等の出来」
2011年…「100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え」
2012年…「史上最悪の不作だが品質は良く健全。糖度と酸度のバランスが良く軽やか」
2013年…「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」
2014年…「近年の当たり年である2009年と肩を並べるクオリティ」
2015年…「我がワイン人生最良のヌーヴォー」「今世紀で最高の出来」
2016年…「エレガントで酸味と果実味のバランスがとれた上品な味わい」
2017年…「フレッシュな香りと上品なタンニンがある、まろやかな味わい」
2018年…「理想的な条件の下、すばらしいヴィンテージへの期待高まる」
2019年…「バランスのとれた味で、適度な量と高い品質のワイン」
2020年…「非常にバランスが取れた爽やかさのある仕上がり」
2021年…「採れたてのイチゴやチェリーにそのまま齧りついたような味わい」
2022年…「果肉たっぷりの赤いベリーやイチゴの甘酸っぱいジャムを口いっぱいに含んだような味わい」

上記とは別に、実は公式なと言いますか、『ボジョレーワイン委員会』の評価が存在しており、それを『フランス食品振興会(SOPEXA)』が世界に発表しているものがあります。
公式ではあるものの、なんというかフランス人にしては語彙力が乏しくイマジネーションが刺激されないような分かりにくい表現が残念です。
そんなわけで、日本国内の販売戦略としては各輸入代理店が考えた明るく前向きなキャッチコピーの方が景気いいということですね。

ま、ご参考までに書いておきます。サイトにより、また和訳者により表現が複数あることはご容赦くださいませ。

2002年…「色付きが良く、しっかりとしたボディ」
2003年…「並外れて素晴らしい年」
2004年…「生産者の実力が表れる年」
2005年…「59年や64年、76年のように偉大な年の一つ」
2006年…「とてもうまくいった年」
2007年…「果実味が豊かでエレガント」
2008年…「フルーツ、フルーツ、フルーツ」
2009年…「数量は少なく、完璧な品質。桁外れに素晴らしい年」
2010年…「果実味豊かで、滑らかでバランスの取れた」
2011年…「3年連続で、偉大な品質となった」
2012年…「心地よく、偉大な繊細さと複雑味のある香りを持ち合わせた」
2013年…「繊細でしっかりとした骨格。美しく複雑なアロマ」
2014年…「エレガントで味わい深く、とてもバランスがよい」
2015年…「記憶に残る素晴らしい出来栄え」
2016年…「エレガントで、魅惑的なワイン」
2017年…「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい」
2018年…「2017年、2015年、2009年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるでしょう」
2019年…「有望だが、生産者のテクニックが重要な年」
(※2019年は日本国内向けの正式な発表はされていない)
2020年…「極めて早い成熟と乾燥した夏による、究極のミレジム(ヴィンテージ)」
2021年…「挑戦の末に辿り着いた納得のヌーヴォー」
2022年…「濃い色調と豊かな香りを備えた、傑出したヴィンテージ」「太陽に恵まれたヴィンテージ〜果実味とストラクチュアの完璧なバランス〜
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