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『マルジェラ』のタグは一周廻って切っちゃうらしい件
このnoteブログを書き始めて間もない2021年12月の投稿で、『タグ付け禁止で~す!(笑)』という記事を書きました。
本格的に寒くなってきた頃で、ウールの手袋やコートを着用する人が増えるにつれ、袖口に縫い付けられた『品質タグ』や、センターベントに縫い付けられたバッテン状の『しつけ糸』をそのまま切り取らずに街中を闊歩している方々に、柔らかく?警鐘を鳴らした記事でした。
特に “Harris Tweed” とか “cashmere wool 100%” 等のタグは、ブランド訴求ではなくてあくまで品質表示なのですが、裏地ではなく、なまじオモテの目立つところに縫い付けてあるもので、なんだか有難く感じてそのままにしている人のなんと多いことか…
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『この手袋、ホンモノのハリスツイード製よ!』と自慢したい気持ちも分からないでもないので、私としては、『品質タグ』はそのまま付けていても許容しておりますが、なんせ許せないのが『バッテン族』ですね。
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ジャケットのバックやサイドの下端の生地が、梱包・配送時や展示時に折れたりシワにならないように、或いはシルエットが崩れないように、メーカー出荷時点で縫い付けてある糸。購入後、着用前にはユーザー自身で切り除くことが前提とされています。
切り忘れがないように、わざわざ生地とは違う目立つ色の糸を使ってあり、例えば黒や紺のジャケットやコートなら白い糸で縫われているのが一般的です。
(一方で切り取る必要のないブランドタグは、生地に馴染む色の糸で2辺ないし4辺をしっかり縫い付けてあります。)
そういった知識のない新社会人や新成人、或いはもう何年もサラリーマンやってて久々にスーツを新調したオジサンまで、入社式や成人式や通勤時に白い『バッテン』を付けたままで電車に乗っている姿を見ると、少し哀しくなってしまうのです。
『洋服の青山』等の衣料量販店の販売員が、もっとしっかり啓蒙していただきたいと熱望します。
ところが!
そういった私の哀しみのはるか斜め上に、ぶっ飛んだ感覚の出来事が発生しました。
成人式に行こうとする息子のスーツに縫い付けてあった、『仮留め』のような白い糸をハサミで切ってあげようとして、息子に大声で怒鳴られたお母さんのお話し。
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息子いわく、
『マルジェラのスーツに何してくれてるねん!』
と大慌てで激昂したとか…
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不肖私、オヤジのファッションに関するブログを書いてはおりますものの、よくよく知っているのは VANとかKENTといったアイビー系、J.PRESSやBrooks Brothers、或いはRalph LorenやPaul Smithみたいなトラッド系、あとはUnited ArrowsとかNANO universeといったセレクトショップ系をメインに観察していますので、正直、『Maison Margiela』についてはノーチェックでした。
もともとは1989年創業、Maison Martin Margielaというフランスの老舗メゾンですが、2014年にブランドネームを Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)へと変更してから飛躍的に有名になったようです。
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その唯一無二の特徴は、背中裏に四隅を糸で留めただけの簡易的なラベル。
ラベルには24個の数字が並んでいるだけで、その見た目から『カレンダーラベル』と呼ばれているのですが、もっと斬新なのは、その縫い付けを外側から見ると四隅の糸が『しつけ糸』にしか見えないというデザイン。
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マルジェラのブランド名の表記は何処にもなく、またこのカレンダーラベルは簡単に取り外すことができます。
『ブランドネームではなく、服そのものから価値を感じて欲しい』という創業者の想いがあると言われています。
とはいえ、世の中はブランド信仰です。
ありきたりに見えるデザインの衣料やバッグでも、ブランドタグ1つでその価値が値踏みされます。
なので、オシャレさんの間では、背中に見えるこの四隅の『しつけ糸』らしきものを以て『マルジェラ』を認識し、アピールしているわけですね。
ところが、当のマルジェ側としては、このタグは取り外して着用すればよい(つまりしつけ糸も抜いてしまえばよい)としています。
なので、ホンモノのオシャレさん?は、敢えてこの糸も取り去って『マルジェラ』であることを隠してしまうのだとか・・・
いやいや、それってただの『無印良品』やん!(笑)
ということで、先述の『息子のマルジェラの糸を切ろうとして怒鳴られたお母ちゃん』の記事に対しては、いろんな声が集まりました。
・えっマジでこれしつけ糸にしか見えないんだけど…
・また1つ賢くなりました(でもしつけ糸にしか見えない)
・お婆ちゃんにダメージジーンズを縫われたの思い出した
・取っても取らなくてもいいらしいですね。不完全さを表現。匿名性。若者に人気。
・外したほうが良い!ダサい。
・マルジェラであろうとなかろうとこの色の糸にした時点でそのブランドにセンスはない…
・初期デザイナーのマルジェラさんはブランド信仰に懐疑的で、ブランドタグなんかなくてもいい服はいいと信じて、すぐ取り外せるようにこうやってタグを付け始めたんだけど…皮肉なことにこれがブランドの象徴になってしまって今に至る。
・普通にしつけ糸にしか見えないので、このスーツを着て大事な行事とか仕事などに行かない方が良いと思う。いくら「マルジェラだから」と本人は思っていても、特に大人の社会での服装って、周りがどう思うかがかなり重要だと思う。
因みに、同社のスーツはフツーに10万円以上。
上質なものは20万円・30万円もするらしいので、成人式にこれを着ていく若者というのは、何気に恵まれた子たち・・・?
こういうシンプルなデザインで高級なブランドが流行ると、某国のみならずそれを模倣して『似て非なる』ものをネットやメルカリで出品するヤカラも増えているらしいので、目利きに自信ない方はくれぐれもご注意を!(笑)
なお先ほど、『ラベルには24個の数字が並んでいるだけで、その見た目からカレンダーラベルと呼ばれている』と書きましたが、ではその数字は何を表しているのか?
ま、興味ない方には関係ない情報ですが、以下、ご参考まで…
0 - 手仕事により、フォルムをつくり直した女性のための服
0 10 - 手仕事により、フォルムをつくり直した男性のための服
1 - 女性のためのコレクション(ラベルは無地で白)
3 - フレグランスのコレクション
4 - 女性のためのワードローブ
6 - レディースウェアライン
8 - アイウェアのコレクション
10 - 男性のためのコレクション
11 - 女性と男性のためのアクセサリーコレクション
12 - ファインジュエリーのコレクション
13 - オブジェと出版物
14 - 男性のためのワードローブ
22 - 女性と男性のためのシューズコレクション
MM6 – レディースウェア
そうそう、マルジェラについて調べようとネット検索してたら、意外な方が愛用しているとの記事を見つけました。
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それと、この記事を書いてから、同じように感じてた方の投稿も発見。
同志として、ご参考までに…
※タイトル写真は、togetterさんのXから借用しました。
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