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きっと一生忘れない、儚く美しいポーランド滞在【DAY186-192】|働きながら世界一周
2024年11月末、私は日本に帰る前の旅のしめくくりとして、南米のアルゼンチンから東欧のポーランドまで飛んだ。スペインを経由して、2日間かけて。
ポーランドでは、1人ではなく、恋人との旅行だった。たった7日間だけど、こんなに人を好きになることはないかもしれない、もうこんな恋はできないかもしれない。それくらい私にとっては、貴重な7日間だった。
世界旅行の中、アイルランドで出会った彼。そんな彼に「やっぱり遠距離は難しい」と言われ、色々と話した結果、その旅行は最初で最後となった。
ポーランドの悲しい歴史、枯葉がゆれる並木道、体をさすような冷たい空気、でも私たちがいた空間には、確実になにか温かいものが流れていたと思う。その空間すべてが愛しかったけれど、あまりにも違うバックグラウンドや物理的な距離、そして何より彼の気持ちを受け入れざるを得なかった。自分の背負っている荷物を捨てて、一緒にいたいとも言えなかった。だから記憶の奥底にしまって、たまに思い出して少し切ない気持ちになるくらいがちょうど良いのだと思う。
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もうだいぶ気持ちも前向きになったけれど、やっぱり写真を見返したりすると、その時の情景が蘇ってくる。もう2度と戻らない時間とわかっているからこそ、悲しくなる。だからしばらくブログに書けなかった。
だけど旅の締めくくりとして、やっぱりきちんと最後までブログには記したいと思うので、意を決して書こうと思う。
1.アルゼンチンから2日かけて移動
土曜の現地13時、なんとかブエノスアイレスで飛行機に乗ることができて、まずはマドリードまで移動。マドリードには翌早朝に着く予定だ。
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スペインは7年前くらいに行ったことがあって、その時はバルセロナしか行かなかったので、マドリードに行くのは初めて。次の飛行機の時間まで少し時間があったので、電車で市街地に出てみることにした。朝7時くらい。マドリードの空港は大きくて、電車の駅に行くのに一苦労。なんとか着いた場所の周辺にあった早朝のカフェで、朝ごはんを食べた。今まで南米にいて、またヨーロッパに戻ってきたのが不思議な感覚。
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そのカフェは、サービスなのか小さいオレンジジュースのグラスを出してくれた。疲れた体にとても沁みた。朝8時になってもまだ辺りは暗くて、ヨーロッパの冬の日の短さを感じた。
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その後日本食ショップによってお土産を買ったり、MANGOで防寒用の服を買ったりして、タクシーで空港に向かった。マドリードからは、4時間ほどでポーランドに着く。
タクシーのおじさんは無口だけれど誠実そうなおじさんだった。ちゃんとメーターで動くタクシーに乗るのは久しぶりかもしれない。
ほんの少ししかいなかったけれど、マドリードも良いところだったな。また観光に来よう。
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2.ユダヤの街「クラクフ」で悲しみの歴史を感じる
ポーランドのクラクフの空港はこじんまりとしていた。空港から電車で、今回泊まるホテルの近くの駅まで向かった。今までずっと1人で旅をしてきて、どこからどう移動するとか、そういうのは全部自分で考えなければいけなかったけれど、今回ほとんど彼が調べてくれたのでずっとおんぶに抱っこだった。そして、やっぱり1人より圧倒的な安心感。
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ポーランドは、普通のホテルに泊まると高くて、その分airbnbのような個人宅を貸している部屋が充実している。ポーランドで行った3都市すべて、そういった個人のアパートメントみたいなところに泊まった。
特に、今回泊まったクラクフのアパートは、窓から見える並木道が本当に素敵で、朝起きて外を眺める時間、そしてその隣に彼がいる時間が何より幸せだった。
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クラクフという街は、ユダヤ人が多く暮らしていた街として有名で、ナチスによるユダヤ人迫害の歴史が色濃く残る街でもある。有名な映画「シンドラーのリスト」に出てくる工場が実際にあったり、ゲットーの壁が残っていたり、至る所に追悼の記念碑もある。そしてそんな街ということもあってか、どことなく街全体に、静かに心に訴えかけてくるような、情緒的な空気が流れている気がする。
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何より街全体の景観がとても儚く美しい。街の至るところに歴史を感じられる建物や、公園やたくさんの樹木がある。このあと行った「ヴロツワフ」や「ワルシャワ」の街もよかったけれど、クラクフが1番印象的で私は好きだった。
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今回クラクフから2時間くらいかけて行ける「アウシュヴィッツ収容所跡地」に行きたかったのだけれど、事前に予約やチケットが必要だったようで、私たちが見たときにはもうポーランド語解説のチケットしか残っていなかった。
それで、クラクフの街中を散策したり、ヴァヴェル城と言われるポーランド王国のお城を見学したりした。クラクフは、1596年に首都がワルシャワに移転するまでは、ポーランドの首都で中心地だった。お城にはたくさんの当時のコレクションが残っていて、当時の王国の繁栄や豊かさを感じることができた。
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でもポーランドの歴史を紐解くと、18世紀末には3度にわたり、ロシア、プロイセン、オーストリアの隣接三国に分割され、第一次大戦終了までの123年間世界地図から姿を消していたという悲しい歴史を持つ。やっぱり自分の国がなくなるということは、とてもショックな出来事だし、度重なる戦争なども含め、平和の大事さを改めて感じることができる場所でもあった。
クラクフの中心地にある、「クラクフ中央市場広場」は、明るい時間も、そして夜になっても、とても綺麗だった。ロマンチックで煌びやかで、でも少し悲しく切なくもあった。
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3.小人の街「ヴロツワフ」散策
ポーランド内も、ヨーロッパの他の国と同様、鉄道が充実していて、他の都市には鉄道に乗れば3-4時間で移動することができる。クラクフの次は、「ヴロツワフ」と言われる、ポーランドでも最も古い都市と言われる場所へ。
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ヴロツワフは、別名「水の都市」とか「小人の街」とか色々名前がついている。市内には、オーデル川という川とその支流が流れていて、100以上の橋がかかっているらしい。そして、街の至るところに小人(ドワーフ)の銅像がいる。小人それぞれ、名前や職業、伝説など、ひとりひとり違うキャラクターが設定されているらしく、発見すると嬉しいし、じっくり見てみるのも面白い。
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ヴロツワフは、クラクフより少し大きな都市で、着いた瞬間道路の大きさや走っている車の量、建物の大きさなどが違うなと思った。
ヴロツワフでは、ひたすら街中を歩き回って、それこそいろんな橋を渡ったり、公園を歩いたり、川沿いに見える建物を眺めたりした。多分1日20,000歩くらいは歩いていたと思う。クラクフとはまた違った空気感だったけれど、ヴロツワフも美しい街だった。
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途中何気なく見つけたモニュメントに立ち寄ってみたら、「カチン虐殺犠牲者の記念碑」というもので、第二次世界大戦中に約22,000人のポーランドの軍人、知識人、エリートたちがソ連によって処刑されたことを追悼する記念碑だった。あまりにも悲しい歴史すぎて、そしてその事実を知らなかったこともあり、見た瞬間言葉が出なかった。記念碑の像も、何かを神が裁いているような、ひざまづいて何かを請うような、悲痛な叫びが聞こえるようだった。その瞬間、その気持ちを分かち合える人がいることに感謝した。きっとあの時間、あの空間は一生忘れないと思う。
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ヴロツワフの2日目には、市内にある動物園に行った。ポーランド最古の動物園で、動物が比較的自然に近い形で飼育されているのが特徴のようだ。エリアが本当に広くて、結局朝から行って、ほぼ閉園の時間まで滞在していた(16時)。ゾウ、ライオン、トラ、ヒョウ、オオカミ、バッファロー、オラウータン、サルの仲間たち、ふくろう、カビバラ、レッサーパンダ、ナマケモノ、カバ、サイ、アシカ、ペンギン、アザラシ、マンタ、サメ、ヘビ、たくさんの魚たち。本当になんでもいた。
野生動物とは違うし、動物園自体が人間本位の施設とはいえ、でもやっぱり動物たちの不思議な動きや表情、群れの行動、親子の愛みたいなものに癒された。いつかアフリカのサバンナも行きたいな。
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話は変わるけれど、ポーランドの冬のお昼は本当に短くて、16時過ぎには日が落ちるので、1日がすぐに終わってしまうように感じる。暗くなったら暗くなったで、街がライトアップされて、それはそれで素敵な雰囲気なのだけど。今回、11月末でクリスマスマーケットが始まる直前ということもあって、すごく賑やかではなかったけれど、逆に静かな雰囲気でゆっくり過ごすことができてよかったと思う。
4.ポーランドの首都「ワルシャワ」で博物館巡り
ヴロツワフから移動している最中に、だんだん雲行きが怪しくなってきた。ワルシャワの市内まで向かう電車に乗り換えるときには、街に冷たい雨が降っていた。ここにきて初めての雨。
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ワルシャワはさすが首都だけあって、人も多いし、都市という感じがした。ホテルの最寄りの駅まで電車で移動して、そこから歩く。クラクフやヴロツワフに比べ、無機質な建物も多い気がして、「全然他の2つの都市と雰囲気が違うね」という話をした。
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高台を登ったところに、今回泊まるアパートがあった。ちなみに、クラクフで泊まったアパートは4F(ヨーロッパ表記だと3F)、ヴロツワフで泊まったアパートは5F(ヨーロッパ表記だと4F)だった。どちらもエレベーターがなかったため、登り降りが半分修行みたいになっていたのだけど、今回のワルシャワのアパートは2F(ヨーロッパ表記だと1F)で、しかもエレベーターがついていて、ほっと胸を撫で下ろした。
ワルシャワでは、ポーランド出身の作家「ショパン」博物館に行ったり、ユダヤ人の歴史が学べる「ユダヤ人歴史博物館」に行った。あとは他の2都市と同じく、ひたすら街中を歩いて散策、、、。ポーランドは、やっぱりいろんな歴史がある国なので、歩く度にいろんな記念碑を見つけたり、発見や学びになることが多い。今回だと「無名戦士の墓」というものがあって、第二次世界大戦でなくなった兵士たちを祀っている場所があった。2人の衛兵がその場所を微動だにせず守っていて、たいまつに火が煌々と灯っていた。その場にいるだけで、自然に厳かな気持ちになった。
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ショパン博物館は、ショパンの生涯や作曲の歴史を知れる場所だった。夏にオーストリアでベートーヴェン博物館に行ったときほどの感動はなかったけれど、博物館の中でショパンの音楽を聴くことができて、それが個人的には1番良かった。母がよく家で弾いている「別れの曲」だけど、改めてそのときの状況で聴くと沁みた。あとは、ショパンの「革命のエチュード」も、ちょうどワルシャワ蜂起が失敗し、ショパンが悲しみと憤りで書いた曲だと初めて知り、改めて聴くと深みを増したように感じた。
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ユダヤ人歴史博物館は、ユダヤ人がポーランドに移り住んできた頃から、商人として活躍してきた歴史、文化、そして迫害されてきた歴史、今を生きるユダヤの人たちという流れで、多様な視点から学ぶことができる場所だった。オーディオガイドも日本語がちゃんとあって、彼が知らないうちにそれを借りていてくれて、優しさに感謝した。
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5.ポーランドのグルメ事情
今回のポーランド滞在では、ポーランド料理も食べたし、ピザや日本のラーメンを食べたりもした。そして、ほぼ毎日のペースでスイーツやチョコレートも食べた。ポーランドのパンやスイーツは美味しいものが多い。毎回ご飯を食べた後に、彼が「甘いもの食べる?」と笑顔で聞いてくるのに、断る理由はなかった。
ポーランド料理で最も有名なものといえば、「ピエロギ」と呼ばれる餃子だ。具材はお肉や野菜など色々で、水餃子が多いけど、焼きもある。日本の餃子とは種類が違うのと、肉汁ジュワー系とかではないのだけど、どちらかというとロールキャベツに入っているお肉の味に近いだろうか。私は好きだったけど、彼は好きじゃないと言っていた。というかポーランド料理全般そんなに好きじゃなさそうだった(笑)
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他でいうと、パンに入っているジュレックというポーランド風スープもいただいたし、ゴウォンプキと言われるポーランド風ロールキャベツもいただいた。私はヨーロッパ料理の中だと、ポーランド料理はだいぶ点数高いかも(バリエーションがあって胃もたれもしにくい)。
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ポーランドは隠れたビール大国らしくて、ポーリッシュビールを何回か飲んだけど、ちょっと甘め?な味で私にとっては飲みやすかった。
あと、スイーツでいうとポンチキと言われるポーランド風揚げドーナツを食べた。お店も可愛かったし、めっちゃ美味しかった。ポーランドはパン屋さんも多いし、おしゃれなケーキ屋さんやカフェも多い。楽しい。
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番外編だけど、ヴロツワフやワルシャワには、日本食やラーメンのお店も複数散見された。ヴロツワフでラーメン屋さんに行って、現地の人も結構いたので人気なんだと思った。味はまあ、、(笑)ヨーロッパで食べるラーメンって感じの味だった。
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6.さよならポーランド
ポーランドについたのが日曜日、そして、その次の土曜日にお別れの日はやってきた。彼が帰る空港と、私が帰る空港は別で、乗るバスも別。だからバス停でお別れをした。
バスの中でも、空港でも、飛行機でも、涙がこみあげてたまらなかった。
でも、こんなに素敵で思い出に残る時間をくれた彼に感謝したい。この縁も、世界一周旅行の中で生まれた縁で、ある意味世界一周旅行が一旦終わることで、夢みたいな時間がある意味終わるということなんだと思う。
2025年に行ってみたい国は、インドネシア、モロッコ、タンザニア、スペイン、ポルトガルあたりかなあ。でも留学のための勉強が最優先なので、行ける範囲で!
それではみなさんまた!!
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