【林真理子さん】強く、しぶとく、ガツガツと生きる女性のスター的存在
なにをおそれているんだろう。
若い女がもっているものなんてタカがしれているじゃないか、と私はいいたい。
ヒガミ、ネタミ、ソネミ、この三つを彼女たちは絶対に描こうとしないけれど、それがそんなにカッコ悪いもんかよ、エ!
とにかく私は言葉の女子プロレスラーになって、いままでのキレイキレイエッセイをぶっこわしちゃおうと決心をかためちゃったのである。
林 真理子『ルンルンを買っておうちに帰ろう』より引用
言葉の女子プロレスラーになって、いままでのキレイキレイエッセイをぶっこわしちゃおう
すごい・・・
十文字固め(技名合ってるんかな・・・)が決められたような衝撃を受けた一文。
女性のエッセイ、その中でも、特に男勝りしていて、性格がさっぱりしているような人のエッセイが大好きな私。
林真理子さんも、私の中ではその中の1人、というかトップオブ男前女性です。
そんな林真理子さんがヒットされたきっかけになった1冊、『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を読んでみました。
今回はその本からもらった、着飾っておらず、ありのままを曝け出したような、強くて図太い言葉を、おすそ分けしたいと思います!
きっと、ご紹介する言葉をいくつかみ終わった後は、どこか清々しい気分になっていますよ^^
「自称」個性的。クソ喰らえ
その反対に、雑誌「モア」のグラビアによく登場してくるカップルたちって、吐き気がするぐらい嫌い。
たいてい奥さんがスタイリストで、旦那がグラフィックデザイナーかイラストレーター。
あーいうところに出てくるカップルって、たいていは編集者の友人関係から見つけてくるから、ほとんどがカタカナ職業なのよね。
「私たちって個性的に、現代的に暮らしてるでしょ、ほら、ほら」っていう感じが、ふたりの笑顔からプンプンにおうんだけれど、個性つうもんが集まると、ただのアホにしか見えないって知らないのかしらん。
手づくりの家具があったり、グリーンがいっぱいの部屋っていうのもどれも同じパターンだし、食事をしているシーンだったりすると、女の方が得意そうに、コレクションしている古伊万里の食器が必ず出てくるのもおぞましい。
林 真理子『ルンルンを買っておうちに帰ろう』より引用
「私たちって個性的に、現代的に暮らしてるでしょ、ほら、ほら」
最近、ルームツアー系のyoutubeをよく見るのですが、まさにこんな感じです。(なんなら、自分もそっち側になろうとしている)
〇〇なインテリアがこだわりでえ〜。
グリーンが好きでぇ〜。
でも、そういう人たちって、どこか現実離れしている風に見えて、すごく羨ましく感じてしまうこともありますよね。
しかし!
林真理子さんに言わせると、そんな雰囲気をプンプン匂わせているのは、アホだ、というのです。
きっと、私なら、人に嫌われたくないから、アホだと思っても、「めっちゃおしゃれ〜〜〜」とか、「個性的〜〜」と言ってしまいます。
こうやって、思ったことをズバッと言い切れ、そしてそれに伴う行動や結果がついてきているから、かっこいいと感じるんだな、としんみりした一文でした。
ブスの生き方
それじゃ、ブスはどう生きりゃいいのよ、エー、と問いつめられそうだからお答えします。
「個性的に生きる」などという言葉はまずお捨てなさい。
ブスは普通に生きるのがいちばんよいのです。
リキまず、うらまず、主張せず。「普通」の素敵さをいうことを、顔が普通じゃないひとはもっと勉強すべきだと思う。
イッセイとかワイズとか普通じゃない服は絶対に着るべきじゃない。
林 真理子『ルンルンを買っておうちに帰ろう』より引用
これも、面白くて、つい何度も読んでしまう部分です。
基本のスタンスとして、美人とブスは全くの別物というスタンスで話されていることが面白いんですよね。
美人は、大人になり、社会人になる家庭で美人であるが故の振る舞いを身につけている。
一方、ブスの方は、どこかズレていて、変に明るくしてみたり、個性を無理矢理に出してみたり・・・
そして、自分のことをブスとい人に言う女性は、「私はブスだから」の次に、心の声で、「でも優しいから」、とか「でも明るいから」とかが付いているように見えるのだそうです。
ブスは、無理矢理媚びるのではなく、自然体に、普通に生きるのが良い、そんな風に、自称ブスの大先輩にアドバイスを受けている気分でした。
とはいえ・・・
自分をルックス以外の部分で表現しよう!と決意すると、そこまでルックスが気にならない気もします。
というか、気にしない・・・というべきでしょうか。
芸術や、スポーツや、勉強。それ以外の部分で努力して、自分自身を表現できるようになれば、自信も付きますしね。
・・・でも、芸術も、スポーツも、勉強もできる美人がいて、時折、心が折れるというのも本音ですけどね。
お金や名声を手に入れることの代償
けれども私なんかこういう賛辞とは全く別の、「売り込みがうまい」とか「押し出しが強い女」とかいわれて毎日をおくっている。
けれども私は一言も弁解しようとは思わない(そうでもないか)。
私がお金とか名声を手に入れたいとのぞむなら、そういうことをいわれる恥や屈辱とひきかえに手に入るものだと思っているから。本当だよ。
林 真理子『ルンルンを買っておうちに帰ろう』より引用
お金や名声の代償として、周りにいろんなことを言われることがある。
そう割り切って、文章にされている姿勢が、清々しくて素敵に感じました。
誰にでも大なり小なり経験する、結果を残すとによる嫉みや僻みからくる悪口。
でも、それを、お金や名声を手にすることの代償だ、と自分の中で割り切ることが出来れば・・・
それらの悪口は、ただの雑音にしか感じなくなりますよね。
むしろ、悪口を言われ出したら、自分の存在が認められ出したなと感じられるのかもしれません。
そんな風に飄々と生きていきたいものですね。
終わりに
林真理子さんの『ルンルンを買っておうちに帰ろう』から、爽快で力強い言葉をご紹介しました!
個性的ぶっている人たちはアホだとか、ブスの生き方とか、他の人のエッセイでは読むことができませんよね。
そもそも、「アホ」とか「ブス」という言葉を、本で見かけることすら少ないのではないでしょうか?
林真理子さんの小説も人生のリアルが表現されていて面白いですが、エッセイではそれ以上に現実的で、夢見る自分を良い意味でぶっ壊してくれるくらい爽快です。
・少し元気がない
・日常に刺激が少なくなってきた
そう感じたときが、林真理子さんの作品を読むべき時ですよ^^
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