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端渓硯 坑仔巌 その2

目立て
前回、新規に購入した端渓坑仔巌硯が全然磨れないというお話をしました。
そこで、今回目立てを行いました。タイトル写真は墨堂の左側が新品状態で
今回、墨堂右側のみを目立てしました。写真で分かる通り、左側は光ってツルツルです。ろうかうるしが塗ってあるかもしれません。目立てを行うと右側のように艶消しになります。

左側を爪で引っ掻いても線痕は残りませんが、右側には白い線痕が残ります。

デジタル顕微鏡観察
左右の部分を100倍程度のデジタルスコープで観察してみました。

坑仔巌硯 新品状態 墨堂左側部分拡大

硯左側部分の新品状態では凹凸が浅くなだらかになっています。つまり鋒鋩が立っていません。この状態では墨が滑って磨れません。

次は、目立て後の結果です。

坑仔巌硯 目立て後 墨堂右側部分拡大

目立て後は凹凸がはっきりと確認できます。これが鋒鋩が立っている状態です。ところどころに小さな粒が出てきていますね。これが鋒鋩です。

このように、この坑仔巌硯は石質としては全く問題ありません。きちんと目立てを行えばちゃんと磨れるわけです。

目立てを行うにはそれなりの知識や技術が必要です。安易に行うと失敗したりもします。特に高級な硯は自信がなければやらないに越したことはありません。

硯を作っている中国の目立ての技術がこの程度ですから困ってしまいます。
よく硯のすり比べを見ますが、新品でも目立ての状態が大きくばらついているため、そのような比較はほとんどが正確ではありません。相対比較は目立ての条件をそろえないとできないからです。そんなことができる人は日本にたぶん数名しかいないでしょう。

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