硯考 坑仔巌硯の下墨量を上げたいのですが・・・(1)
坑仔巌硯というのは端渓硯の中でも目が細かい硯で、ふつうは水墨画やかなあたりで使われることが多いのではないかと思います。つまり、このような用途では墨が細かく磨れることが重要で、磨れる量(下墨量)についてはそれほどうるさくありません。
今回は、10インチ(約25cm)を超える大きな坑仔巌硯を漢字用に使えないかという質問です。これは簡単そうで、結構難しい問題です。
墨の下墨量は一般的に硯石の目が細かくなるほど低下します。したがって、漢字を書く際に下墨量を得るには、端渓硯の場合は宋坑や麻子坑あたりが使われているのだと思います。
大きな硯であるがゆえに、坑仔巌硯にこのような一般則を無視した使用方法というのが出てきます。
タイトルの写真は試験用の坑仔巌硯で墨堂の左右で目立てのやり方を変えています。左側は通常の目立て、右側は深めに目を立てています。
写真を見る限り、この方法では現状の下墨量から大幅にアップすることは難しいと思われます。やはり下地処理から根本的に作りなおす必要がありそうです。
つづく。