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硯考 淡墨で交差する順序が書き順と逆になるのはなぜですか。その1

今回は、淡墨の線が重なるとき先に書いたほうが上に見えるのはなぜですかというご質問がありましたので、調べてみました。

写真A
淡い墨で横画、たて画の順に連続して十字を書きます。最初に書いた横画が上に見えます。書き順と逆に見えます。十字の重なり部分は濃くなっていません。

写真A 続けて書いた十字

写真B
淡い墨で横画を書いて充分乾燥させた後、たて画を書きます。
どちらが上かはっきりしなくなりました。
また、十字の重なり部分が濃くなっています。

写真B 横画乾燥後にたて画を書いた十字

このように横画を一度乾燥させると重なりの上下が分からなくなります。


写真Aの矢印の部分には墨がのっていない白い線が見えます。この線の影響で横画が上に見えます。
ではなぜこのような線ができるのでしょうか。
横画を引いた際にこの矢印の部分には水分があります。交差部分には淡墨の上下に水だけの帯状の部分があり、後から引いたたて画の淡墨はこの部分には浸透しません。こういう理由で白い線が発生します。

写真Bのように一度乾燥さると交差部分にも淡墨は浸透し、白い線は消え、交差部にはさらに淡墨が浸透して濃くなります。

このように一見、不思議に見える現象ですが、淡墨が浸透するかしないかの問題のようです。


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