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音楽家が物欲から解放される瞬間

1994年

1994年5月19歳に私は一人ボストンのプルーデンシャル・センターという高級デパートを通る用事がありました。バークリー音楽大学への入学手続きのためです。パスポートとトラベラーズチェックと小銭だけを持ちながらショーウィンドウを眺め

「いつかこういう高級品を買えるようになってやる」

と、思いました。

2006年

2006年8月31歳で私はバークリー音楽大学の夏季講習の講師としてその場所を通りました。すべて買うことができる状態になっていました。でも

「な、何も、要らない」

と、思いました。

5つの災害

1995年阪神淡路大震災、2001年同時多発テロ、2008年世界金融危機、2011年東日本大震災、2020年新型コロナ・・・

積み上げた財産、建てた建築物、育んだ命が一瞬でなくなっています。

天災だけでなく人災もあるなんて

ああ、儚い・・・

「こんな変わり行く物質を求めるために、どれだけの時間を浪費しているのだろう」

と、思いました。

この時点で

この時点でお気付きの方も多いと思います。鴨長明『方丈記』をなぞっています。ゆく河の流れは絶えずして・・・ですね。

人間の命の儚さ、建築物の儚さというのを知ったら、そんなもんを追いかけるために毎日必死になるのはバカバカしいと思うようになり、その瞬間に物欲から解放されますよという話です。

ちなみに『方丈記』はほとんどが5つの災害の記録なんです。(だから上記でパクって5つ最近の災害をあげたんです)そして、労働を最小限にして、ミニマリストがいいよという話です。最後に「でも俺も煩悩が捨てられないんだけどぉ〜」と、落語のようなオチが付いてます。

物欲

私は物欲がありませんが、時折爆発します。タオル2枚、下着2枚しか持たない生活ですが、時折発作のように手作りのスーツが欲しくなります・・・。

ああ、こういうのを鴨長明さんは言ってるんだろうなぁ・・・と勝手に解釈しています。

まとめ

小さな物欲に毎日追いかけられている生活・・・これは完全否定します。でも、気持ちは分かります・・・なので応援しています。

良い楽器・・・欲しいですものね

最後までお読み頂きありがとうございました

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