地方創生と大学
新年あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
さて、今年もゆっくりとではありますが、このブログを更新していきたいと思います!今回は地方創生と大学の在り方について。
地方創生。地方というワードが嫌で地域創生とも言ったりする人もいます。先にお伝えしたように、私が勤める大学は、石川県白山市の里山エリアに白山麓キャンパスを設置しました。キャンパスの機能は地方創生をテーマとする社会連携による教育研究プロジェクトの推進。私はそこで、社会連携の調整を行っている大学の事務職員です。
白山麓キャンパスは、金沢市内から車で40分くらい。そう表現するとそんなに山奥という感じはしません。東京で仕事をしていた時は、Door to Doorで1時間ほど。それに比べるとたいした時間ではないし、むしろ、四季折々の風景を堪能しながら仕事場へ向かう道中はとても心地よいと感じたりします
。
その白山麓キャンパスで、地方創生に資する教育研究プロジェクトを推進するための場づくりを行っています。具体的には、地方創生をテーマとした教育研究プロジェクトを推進するために、いろいろな企業の方々や地域コミュニティの方々、自治体や各種団体の方々との調整を行いつつ、プロジェクトが円滑に進むようにサポートしています。
一言で地方創生って言っても、いろいろと複雑です。地方の自治体には地方創生交付金が配られ、地方自治体が地方創生に資する様々な施策に取り組んでいます。でも、予算が配られても、結果的に都会にある経済を牽引する大きな企業が、コンサルティングやソリューション導入による実証実験という取り組みを通じて、予算を回収していたりすることも。レポートや実験を行ったという事実は残りますが、地域が創生されているような案件は少ないように思います。
地方創生って何なんでしょうか?地域の課題を解決することは間違いないのですが…例えば、獣害対策。IoTやAIを使った獣害対策みたいなソリューションをよく目にします。確かにデバイスは進化し続けているので、新しい技術を用いることで、獣害対策が可能になるかもしれません。でも、そもそも経済が回っていない地方都市において、ソリューションのランニングコストをどうやって捻出するのでしょうか?もっと言えば、確かに被害は出ていたりしますが、地域の方々は猿やイノシシ、クマ、シカ、ウサギ…等と共に暮らしている…という感覚を持っていたりします。猟師による狩りがうまくいった際には、山の神様に感謝し、自然の恵みを頂く。しかも家族同様の強い木綱で結ばれたチームで山分けをする。山に対するリスペクトが存在しています。こうなると獣害という表現そのものも怪しくなってくる…。
いわゆる「獣害」という表現は、もしかしたらコスト的または経済合理性を追求する価値観から害なのであって、文化的、自然的な価値観の観点からは異なる価値が見いだせるのでは?
こういった複雑な社会課題に対して、どのような取り組みを行うのか?ホント大変です。大学だけでは絶対に達成できませんし…なので、ダイナミックな社会連携が必要になる!というわけです。
で、この複雑な社会課題に立ち向かう、地域社会や産業界、非営利組織のコミュニティや、そもそもその社会課題を抱える社会そのものを、大学の立場から捉えると、ちょっと不謹慎かもしれませんが、とても魅力的な学びの場になるのではと感じています。
誰かが責任をもって確実に問題解決することを担うのではなく、集まった方々がお互いに刺激をしあい、学び合い、アジャイル的に挑戦しつづける中で課題解決に取り組む場所。これは究極の学びの場となるはずです。
この仮説が成り立つのであれば、石川県の白山市の山麓にキャンパスを設置した意味や価値が少し見えてくる。そんな気がしています。
じゃー具体的にどう進めるのか?次回はそのあたりを触れていきたいと思います。