「歯車の塔の探空士」リプレイ風
それは、なにもかもが古めかしい船だった。
ヴィクトリア・シティは、すべての大地が雲海の下に沈み、かつての世界の唯一の名残りである「歯車の塔」に築かれている。黒煙が覆う産業の塔、世界の中心だ。常にどこからか歯車のきしむ音が聞こえ、内部、とりわけ下層へ進めば進むほど、陽の差さない薄暗闇だ。
探空士の区分けをするならば、三流から二流までのちょうど半ば、というぐらいの、明かりの乏しい場所だった。
その発着場の片隅で、ひっそりと羽を休めるその船は、彼女、レイス・サンズリバーの遠