雑記 2024/02/19
心の栄養が足りてない。仕事疲れにエックスを開いてポリコレだのフェミニズムだのAIだの鬱屈としたポストを眺めて「日本が…ビッグブラザーが…」と未来を憂うポエマーみたいな気持ちになるのがこの一年間のマイブームだった気がする。疲労と寝不足でスポンジみたいになった脳味噌にはそういう邪悪な刺激がジンジンと行き渡って気持ちがいいものだ。
そんな悪習慣を絶とうと思ったのは昨年末ごろのことだった。ある日フレンドから仲良しグループのdiscordサーバーに招待された。そこではメンバーがみな名作映画を履修しており、しかも思い思いに自分が好きな作品を語っている。その時自分の浅はかさが非常に恥ずかしくなった。別に他のメンバーより観た作品数が少ないこと自体を恥じたのではない。それよりも自分が如何に小さい世界であれこれ考えをこねくり回していたのだろうと、そういう点で恥を覚えたのだ。
その時ふと小学校で散々聞いたこのフレーズを思い出した。「読書は心の栄養」。俺は今、心の栄養が足りていない。ここずっと小説の筆が進んでいなかったのもそれが原因かもしれない。
そういうわけで今年からはスキマ時間はなるべくエックスではなくkindleで買い溜めた漫画を読むようにしている。自宅に帰ったら晩ごはんを待つ間等の時間は紙の本を読むようにしている。
以下、ここ最近読んだり見たりした作品をピックアップ。
トヨタが北米を席捲する時
※上記リンクは題名が改定されたものです
1970年にお蔵入りした幻のトヨタ7。そのトヨタ7が10年の時を経てアメリカのカンナムにリベンジする!…というお話。
「あれ?70年以降のトヨタ7の情報が調べても見当たらないぞ?」そう思ったあなたはご明察。実は本作、プロジェクトXみたいな実話ドキュメンタリーに見えますが完全空想のSF小説なんです。
自動車をチームで組み上げていく喜び、後半のレースの緊張感…そういった場面が分かりやすく描かれ、程よくカジュアルなトーンで物語が進みます。劇的に感動するシーンや人生の教訓になる場面というのはあまり登場しませんが、その分グランツーリスモのように肩の力を抜いて読める娯楽小説です。
カンナムシリーズが始まるのは物語の後半からですが、トヨタに立ちはだかるライバルはやはりと言うべきかポルシェ(笑)。湾岸ミッドナイトやMFゴースト然り、日本人は妙にポルシェをフェラーリ以上の王者に見立てるのが好きですよね(実際速かったらしいけど)。
作者は当時「トヨタは大衆車ばかりじゃかいことをレースで思い知らせてほしい!」という気持ちでこの本を書いたそうですが、今やGRヤリスやスープラが活躍して現実になってくれたのは嬉しいことです。
勇気爆発バーンブレイバーン
第6話もオンエアされ、いよいよ物語も折り返しといったところ。放送開始当初「アーマードコアに見せかけたスーパーロボットもの」「自分を勇者ロボだと思い込んでいる変質者」ということでバズっていたので、「またマミった系イロモノかぁ」とそれほど期待していなかった。
ところが意外や意外、物語はネットで騒がれているよりも至極真っ当な王道ストーリーではないか。
ブレイバーンのイサミへの偏執ぶりは相変わらずだが、知見と実力を持った彼をリーダーとして、一つの目標に向かって多国籍軍が纏まってゆく様はかなりアツい。
その他にも揺れ動く人間ドラマ、謎の美少女、なおざりにされていないミリタリー要素、ちょっと背伸び感ある英語スラング…一見するとそれぞれの要素がチグハグな闇鍋に見えるが、それらが全て纏まって一つの物語として成立している。
様々な要素を足した「合わせ出汁」モノは10年代以降のトレンドだが、その複雑さ故に成功の裏で失敗した作品もかなり多い。そしてこの「ブレイバーン」は今のところ成功しているのではなかろうか。