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㉜(時間外労働時間年960時間)NHKクローズアップ現代の特集から㉜【通知が出ました&臨床・教育・研究】

シリーズを書いていました

医師の働き方改革についていくつか記事を書いております

遠い未来のように感じておられたかもしれませんが、あと2ヶ月に迫ってきました。

厚生労働省労働基準局は1月15日付で、医師の宿日直許可基準および研鑽に係る労働時間の考え方に関する留意事項を改正した旨の課長通知を発出されました。
大学の附属病院等に勤務する医師の研鑽について 大学の附属病院等に勤務し、教育・研究を本来業務に含む医師は、医師の研鑽に係る労働時間通達の記の2⑴アの「新しい治療法や新薬についての勉強」や記の2⑵アの「学会や外部の勉強会への参加・発表準備」、「論文執筆」をはじめ、同通達で「研鑽の具体的内容」として掲げられている行為等を、一般的に本来業務として行っている。 このため、当該医師に関しては、同通達中の「診療等その本来業務」及び「診療等の本来業務」の「等」に、本来業務として行う教育・研究が含まれるものであること。 この場合の労働時間の考え方として、当該医師が本来業務及び本来業務に不可欠な準備・後処理として教育・研究を行う場合(例えば、大学の医学部等学生への講義、試験問題の作成・採点、学生等が行う論文の作成・発表に対する指導、大学の入学試験や国家試験に関する事務、これらに不可欠な準備・後処理など)については、所定労働時間内であるか所定労働時間外であるかにかかわらず、当然に労働時間となること。また、現に本来業務として行っている教育・研究と直接の関連性がある研鑽を、所定労働時間内において、使用者に指示された勤務場所(院内等)において行う場合については、当該研鑽に係る時間は、当然に労働時間となり、所定労働時間外に上司の明示・黙示の指示により行う場合については、一般的に労働時間に該当すること。

端的に言うとグレーゾーンだと思っていたものをバシッと「労働時間です!」と通達が出たのです。それと「黙示の指示により行う場合については、一般的に労働時間に該当する」ということで これからは暗黙のルールが通用しなくなるのです


医療機関の役割と運営と経営


まずはこのままの勤務体系、利益構造、患者さんのマインドと受診行動が続くかぎり、この課長通知を遵守することは現実的には厳しいと思われます。

しかし、そのために猶予期間が5年間あったのでそこは対応せざるを得ないのです。ルールを決めるのは我々ではないのでやはり国家運営の全体像の中で医師はその一部ですので。

あくまで以下はステレオタイプで話を書かせていただきますので「うちは違う、そんなことはないという医療従事者の方々もおられるのは十分承知しております。あくまでベルカーブのmajorityのイメージで話を進めていきますのでご了承ください。」

大学病院の先生の1日は48時間?

一般に医療機関における役割は
・クリニックや中小病院:診療
・基幹病院:診療と教育
・大学病院:診療と教育と研究

とステレオタイプ化できるのではないでしょうか?

クリニックや中小病院では診療がほぼ毎日で大学病院では外来は毎日ではありません。その残りの時間を教育や研究に当てることになります。しかしながら大学からの収入が多いわけではないので外勤をしておられますので、そうすると研究や教育の時間が削られることになります。

さらに、新研修医制度に変わってから残業などを若手の先生にさせるわけには行かないということで指導医が結局その分遅くまで残っているという矛盾もあり、そうしないと業務が回らないという現実も聞かれます。

もちろん、厚生労働省もすべてを取り締まるわけには行きませんが、やはり目に余る場合には「印籠」である「通知を我々は出しております!」ということで指導が入ることになります。

これは交通ルールも同じですよね。現在スピード違反の取り締まりが、白バイやパトカーでの追尾方式を基本としているので全員のスピード違反を取り締まるわけには行かないので一部のドライバーを取り締まることによって抑止力にしようとされています(本当にそうかは知りませんが)。

大学病院の先生が外来を回しながら外勤も研究も教育もとなると理想論と現実論はどうなるかというと

一般診療は大学以外でもできるが大学にしかいない学生の教育と研究がメインは外せないというのが理想論です。

しかし、教育の授業料は変えられない、研究もすぐに成果がでるものではなく、大学の収入になるわけではない。しかし、国立大学でも独立採算制などで経済的にも独立をしなくてはならない。
そうなると、人件費を抑えて診療収入を増やすのが現実論になってきて 理想と現実の乖離が起こります。

そうすると自費診療や高額な高度医療や共同研究など勤務している医師の単位時間の収益を上げるような治療に専念したいがそのためには研究が必要になる。しかし、教授といえども学校の運営にnoとは言えないので 病棟埋めて下さい、外来増やしてください。手術増やしてください、残業しないでください、外勤は減らして下さいという病院幹部や事務の方の指示を医局員に伝えなくてはならない中間管理職の様になってしまいます。

いずれかは徐々に解決していくことにはなると思いますが、大組織である大学病院は私のような小さなクリニックと違ってすぐに変化をすることが出来ないのです。そうなるとその過渡期にいる先生方は静かなる撤退をしてどんどん大学離れが起こってしまう可能性もあるのです
・大学病院勤務はしているけど研究をあまり積極的に行わない
・大学病院勤務を断る

そういった意味で本当に外勤をしなくて良いように大学の先生方の給与をもっとあげて良いと思うのです。結局はそういった研究が病院や日本の国力の向上にも寄与するわけなので

しかし、現実的に4月からの対応を考えなくてはなりません


しかしそんなことはすぐには実現しません。4月からを見据えてできることを少しずつ種まきを始めなくてはなりません

大学病院では
経過観察ではなくて手術や処置などにつながる患者さんが予約を取りやすいように そしてそういった患者さんが来ることで教育にも繋がりますので、安定した患者さんの逆紹介を増やしてどんどん患者さんを地域の診療所や中小病院で診てもらえるように

その際に患者さんの納得感も大切で、大学病院の先生方もI,U,J方式でしっかり患者さんを地元の医療機関に帰ってもらえるようにしなくてはなりません。

多くの現場の先生は、「開業医の先生は患者さんをに戻ってもらわないと怒る」と思ってUターン逆紹介をされることが多いと思いますが、「ごめんなさい、当院には戻ってもらっても患者さんのためにならないのここには逆紹介しないで!」と開業医が思うことも多いのです。患者さんもUターンしたい場合と、IターンやJターンしたい場合もあるのです。

そういった際にも先生方のいつもの(逆)紹介先情報をシェアし合うことが大切なのです


他にも患者さんのデータをしっかり未来の医療に繋げていき病院のためにもなり、医療AIのような先生方の診療を助けるツールなどの導入も支援する機構もございますので注目していただけると幸いです

悪いことばかりでしょうか?


医師の働き方改革は悪いことばかりでしょうか?
これは一般の方々の医療に対する理解を深めていただくにはよい機会だと思います。制度というのは最適解はありませんが、日本のルールはかなり無理の上に成り立っていたというのは現場からの印象です。

オレゴンルールというのがありまして
アメリカオレゴン州の衛生局の玄関には、医療の三原則を示した「オレゴン・ルール」が掲示されています。すなわち「すぐ、いつでも診てもらえる(free and easy accessibility)」、「質の高い医療が受けられる(high quality)」、「安い医療費(low cost)」の3つですが、「国民は3つのうち2つは自由に選択できるが、3つとも求めることは不可能である」と云うものです。
日本では 医療従事者の貢献によって奇跡的に3つとも提供できていると言ってもいいのではないでしょうか? 
しかし、それは本当に心から助けてあげたいと思う気持ちもありながらも無理をしている、または撤退すると責められるという気持ちからもあったかもしれません。しかし、こういったルールができることで無茶な要求をされる患者さんに対してはこういった制度ですのでということが少しずつ言える文化を厚労省のお陰で構築できるのかもしれません

またこういった無理を強いる文化のために本当は働きたいけど働けない 介護をしている医師や子育てをしている医師なども働きやすい環境になっていくことにつながればよいという考え方もあるかと思います

医療機関の運営と経営


これも以前書きました、これまでは医療機関の多くは運営視点がメインだったのではないでしょうか?
・フリーアクセス
・出来高制

つまり、患者さんがたくさん来てくれて、医師にたくさん残業してもらってというモデル(セルフうどん店モデル)でした。

しかし、これからは 医師も残業たくさんできない。患者さんも紹介状なければ大きな病院にかかれない。落ち着いた患者さんを逆紹介しなくてはならないというシーリングが下がったモデル(食べ放題モデル)になるわけです。

これが先日の記事で最後に書いた「これは運営思考から経営思考へのシフトチェンジ」が必要になるのかと思います。

以前の記事(その頃はFBに書いていました)に書かせてもらいましたが

<医療機関の経営と運営① スポーツ大会> 医療機関は非営利であるという前提があります。以前から非営利の定義が難しいなと思っておりましたが、平成 16 年度 厚生労働省医政局委託の研究「病院経営をはじめとした...

Posted by NYAUW on Sunday, October 20, 2019

<医療機関の経営と運営② 医療機関> 医療サービスの価格は、医療機関自らが決定できない制度となっている為、旧来の医療機関は「経営」ではなく「運営」に終始しているところが多かったという経緯があります。 つまり、診療報酬が高く設定されてい...

Posted by NYAUW on Sunday, October 20, 2019

運営と経営にジレンマを書かせていただいております。


これは運営思考から経営思考もも

医療機関といえども聖域ではなくなり他の業界と同じようなルールが適応されていきますので、マクロ視点を医師も持つ必要があります


今日はここまで


(再掲)960時間時代に起こることは 「じゃない」

・タスクシフト(これまで医師がしていた仕事を医者「じゃない」 看護師さんや薬剤師さん)
・IT化(これまでのアナログ「じゃない」)
・AI診断(これまでの経験「じゃない」)
・オンライン診療(これまでの対面診療「じゃない」)

【ヨーロッパ文明における軍事革命の背景軍隊を維持するための【人件費が重かった】ので武器が発達した】

【ゴールドマンサックスでは2000年には600人のトレーダーが2017年には2人にまで。この背景にあるのは人工知能技術。この技術を呼び込んだのはトレーダーの【人件費が高かった】ことだ】

【イノベーションの多くは人件費の問題のないところをターゲットにしないのである。【医師の人件費は?】リフィル・認定看護師などは【医師の人件費】をターゲットにしていないですか?】

井手「つまり医師がいなくても良い部分は出来るだけ減らそうとする未来が見えませんか?」
XYZ先生「以前も 怖っ!といった記憶があります

診診連携でも病診連携でも【じゃない】症例を相手に送らないように気遣いをしなくてはならないんです。そして クリニックの院長のように経営や評判が我が事化している先生方は紹介先の重要さをご理解いただけると思います。そして紹介先情報というのがGOOGLEではわからないと。ですので【いつもの紹介先をシェアしましょう】を十分にご理解いただけると思います

病院の個々の先生方は毎日多忙な勤務をされていて、経営や評判について我が事化していないので病院の管理側の方々が率先してケアして行く必要があると思うのです。それが①-㉖回までずっと最初に入れている 

大病院はクリニックの紹介先なんて知る必要ない?です。必要あると信じます。


「クリニックの紹介先必要だというストーリーわかった!」という病院の働き方改革担当の方 ご連絡下さい

これまでは医師個人の参加というのを前提に設計しておりましたのでまだ病院の方の参加の仕方などは考えている最中ですが 実験的に参加したいという病院関係者の方是非連絡いただけると幸いです

メッセンジャーかメール tokyoeyeasagaya@hotmail.comで)


「じゃない」数珠つなぎでDr探し

最初のドクターAは「私Dr.Aの専門性じゃない」ということでDr.Aが知る【より確度の高い】Dr.Bにつなぎます。そしてDr.Bが「私Dr.Bの専門性じゃない」ということでDr.Bが知る【より確度の高い】Dr.Cにつなぐという形で藁しべ長者のようにより適切な医師に出会う確率が上がるのです。

他の医師を探せないように 自分も探されていないという【ため息】を解決したい



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