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ゆるベジタリアンとしてヴィーガンへの誤解を解きたい


   2022年2月13日現在、Twitterでヴィーガン論争が連日起こっていたので、ゆるベジタリアン(通称フレキシタリアン)として僕の考えを書きたいと思います。(ゆるベジタリアンとはその名の通りゆるめのベジタリアンです)

   僕は全く宗教的な考えは持っていませんし、なるべく僕の主観やバイアスの影響が少ないように配慮しました。是非最後までご覧下さい。

僕がゆるベジタリアンになったワケ

   最初に、簡単に僕のバックグラウンドをお話ししたいと思います。僕は今大学生ですが、元々高校では一応甲子園を目指してた野球部の一員だったので、かなりの量の食事を取っていました。もちろん、その頃は肉も含め人より沢山食べていました。
 
   大学に入ってからも自炊しながら肉は平気で食べていたのですが、中田敦彦さんのYouTube大学の「ヴィーガン」という授業を見て非肉食に興味を持ちました。その後、本などで調べた結果、ゆるベジタリアンになろう、という結論に至りました。

   なぜゆるベジタリアンになったのか、について理由は2つあります。
 
   1つは、他のヴィーガンの方たちが主張しているような「動物倫理的な観点」なのですが、こちらが主な理由ではありません。というのも、非ヴィーガンの方たちの反論にもあるように、人間は一種の生物として、食物連鎖においてほぼトップにあるので、「動物を殺すな」という主張は合理的ではないように思います。しかし、後に述べるように、人間の大量消費社会に合わせて工業型畜産のように無理やり短期間で太らせて出荷する、というのはまた別の話です。
 
   僕がヴィーガンになった2つ目の理由は、これが最も大きな理由なのですが、「世界で苦しんでいる“人間”を助けたいから」です。というのも、僕たちが肉食を続けることで環境問題などの社会問題により世界の関係の無い人たちも被害を受けるかもしれないのです。この詳細も後に述べます。

ヴィーガン論争に切り込む

   さて、今Twitter上でヴィーガン論争が起こっていますが、僕はどちらの側にも立つつもりはありません。
 
   僕は、非ヴィーガンの人がヴィーガンに肉食を批判されて腹を立てるのは当然だと思います。今のヴィーガン論争の発端となった人のように、ヴィーガンの人の中には、非ヴィーガンを非難したり挑発したりする過激派とも呼べるような人たちが存在します。しかし、僕は「それで果たして社会にヴィーガンが増えるのか?」と甚だ疑問です。僕は、肉を食べたい人はその有難みを十分分かった上で自由に食べてもらえればいいと思います。要は伝え方の問題で、非難したりするだけでは両者の溝は深まるばかりでしょう。

ヴィーガンが“布教”する理由

   では、ヴィーガンの人たちはなぜ布教のようなことをするのでしょうか?
 
   僕もゆるベジタリアンなので、そういった主張をするヴィーガンの気持ちも分からないではありません。他のヴィーガンの方の事情を知っているわけではないので断定は出来ませんが、僕の考えとしては、ヴィーガンが非ヴィーガンを非難するのは「肉を食べるのが“羨ましい”から」なのではないかと思います。
 
   僕も食べるときはよく思いますが、肉ってめちゃくちゃ美味しいんですよね。食べれば満腹感が得られますし、何より美味しいんです。肉の美味しさを知ってるヴィーガンの人たちというのは平気に罪悪感なく肉を食べれているのが羨ましいのだと思います。論争発端のその人も「チートデー」と称して肉を食べているそうですが、やっぱりヴィーガンでも肉を食べたい人はいるのです。

ヴィーガンがヴィーガンでいる理由

   でもなぜそこまでしてヴィーガンがヴィーガンで居続けようとするのか気にはなりませんか?もちろん調査不足でヴィーガン側の理由をカバーできていないかもしれませんが、大きく分けて、「倫理的観点」「環境的観点」「健康的観点」の3つではないかと思います(宗教的観点はここでは除きます)。ここでは「倫理的観点」と「環境的観点」の2つを解説したいと思います。

倫理的観点

   まず、「倫理的観点」についてご説明します。先程、「肉は美味しい」というお話をしましたが、そんな肉というのは、元々は歴史的に「高級品」「貴族の食べ物」とされていました。では、なぜ今スーパーで売っている肉はあんなにも安いのでしょうか?
 
   それは無理やりにも大量生産をしているからです。肉が美味しいということは、みんなが欲しがり買いたくなります。そのように需要のある産業、商品というのは資本主義社会においてはビジネスとして成長し、そして肉を大量生産しようとする動きが起こります。その結果、家畜に大量に餌を食べさせて短期間で太らせ出荷するという工業型畜産が出来たのです。
 
   大量消費社会になる前までは、牛肉の出荷は5年程度の生育期間を要していました。しかし、工業型畜産は飼料を大量に与えて太らせることで、生後14ヶ月ほどで出荷できるようになったそうです。これは倫理的とは言い難いですよね。

環境的観点

   次に、「環境的観点」です。最もよく知られた影響は、家畜のゲップによる温室効果ガスの排出ではないかと思います。確かに、家畜のゲップによって排出されるメタンという温室効果ガスは、二酸化炭素の25倍もの温室効果があり、その量こそは二酸化炭素より少ないものの地球温暖化を大きく進行させています。家畜のゲップによる温暖化効果は、全世界の交通機関(飛行機、車、電車など)が及ぼす温暖化効果に匹敵すると言われています。それほど肉食は重大な影響を及ぼしているのです。

   しかし、影響はそれだけではありません。先ほど工業型畜産では飼料を大量に与えて太らせると述べました。この飼料というのは、ほとんどの場合世界的に生産量の多いトウモロコシが使用されます。牛肉1kgを生産するのに必要なトウモロコシの量は約11kg、豚肉は7kg、鶏肉は4kgだそうです。しかし、実は世界にはまだまだ飢餓で苦しんでいる人たちがいます。複数の機関による調査で、2021年時点で世界人口の10人に1人、8億人もの人が栄養不足に陥っているということが分かっています。比較的富裕層の私たちが「美味しいから」という理由で需要があるために、実はこういった人たちを差し置いてまで、工業型畜産に食料が使われているのです。それに加え、トウモロコシ1kgを生産するのに必要なバーチャルウォーター(灌漑用水などで生産に使われる水の量)は1800リットルだそうです。環境省によれば、牛肉1kgの生産には合計で20トンもの水が使用されているそうです。

1度立ち止まって考えてみませんか?

   冒頭の方で僕がゆるベジタリアンでいる理由として「世界で苦しんでいる“人間”を助けたいから」と述べましたが、このように私たちが肉を食べて環境問題や飢餓問題を悪化させた結果、被害を被るのは紛れもなく世界の貧困層の人たちです。

   日本の平均年間所得は約430万円ですが、世界の平均年間所得をご存知でしょうか?答えは実は30万円(日本の物価などに換算)ほどでしかないのです。日本では、アルバイトで1時間働けば自動的に1000円ほど貰えますが、世界ではそうもいきません。日本は比較的裕福な国です。そんな裕福な国に住む私たちが、たった「美味しいから」という理由だけで肉を無意識に食べ続けるというのは、考え直してみる価値のあるものではないでしょうか?

まとめ

   途中でも述べましたが、僕は、肉を食べたい人はその有難みを十分分かった上で自由に食べてもらえればいいと思います。僕も食べる時には美味しく頂きますし、ただ量は少ない方が良い、というスタンスです。
 
   ただ、僕は食べなくても生きていけますし、環境問題や飢餓問題への関心が人よりあるようなので、周りに迷惑をかけない程度に肉食は控えるようにしています。むしろ、どうしても食べたいと思う人に肉食はお譲りしたいと思っています。幸い、社会にはヴィーガン食が普及してきて、肉がなくても美味しいものは沢山あります。そのため、今のところ「我慢している」という感覚はそこまでありません。
 
   もし皆さんが環境問題や飢餓問題に関心があって、少しでも貢献したいと思うのであれば、無理のない範囲で意識していただければと思います。少しずつそういった方が増えていけば、ビジネスの対象も変わってきて、社会が大きく動いていくはずです。

最後までご覧頂きありがとうございました!!

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