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社員食堂を廃止した話
みなさんの会社には社員食堂はありますか?
今回は社員食堂を結局やめてしまった話です。
私が入社して最初に担当した仕事の一つが社員食堂に関する業務でした。
福利厚生の仕事ですね。
社員の利用料金を給与天引きするので、そのデータを集計したり、下請け業者などの自社社員以外の利用者については会社宛に請求書を発行する仕事でした。20代前半だった私は特に問題意識は持たず、決められた通りのことを決められた通りに毎月行っていました。
社員食堂の運営形態
社員食堂の運営は外部業者に委託をしています。
(かつては自社運営で、お母さん的な人がいて手作りでいろいろなメニューを提供していたそうです。古き良き時代です)
座席は50席くらい。そもそも大きな会社ではないので、広い空間のカフェテリアのようなイメージではありません。少し広めの部屋程度のイメージです。
メニューは日替わりで3種類あって、自己負担額は200~250円でした。
業者には食材費の他に毎月の管理費を払っていて、食堂スタッフの人件費はそれでまかなわれていました。
備品についてはうちの会社のものを使用し、消耗品代はうちの会社が負担することになっていました。
メニューや利用者(20年前)
メニューは濃い味付けで誤魔化されている感じがあり、肉や魚は硬く、毎日食べたいと思えるようなものであはりませんでした。
とは言え、メニューは日替わりでバリエーションは多く、それが250円で食事ができるので、まあこの値段ならこんなもんだろう、と思って毎日食事をしていました。当時は「健康経営」なんていう言葉はもちろんありません。
あと、うちの会社の業態の都合上、夕食の営業もしていて、社員食堂を頼りにしている人も一定数いました。
実際の一食あたりの金額
当時、委託業者に支払っている総額を食事数で割ると、一食700円くらいでした。そこそこボリューもあるメニューで、おかわり自由のご飯や味噌汁もついていますから、外でランチを食べても当時は同じくらいの金額だろうと思います。
だんだんと人は減ってきた(15年前)
(この時期以降は私は別の部署だったので担当ではないのですが、知っていることを書いてみます)
昔は正社員が多く、決まった時間に仕事をしている社員が多かったのですが、だんだんと雇用形態が変わりました。社員が行なっていた業務をパートが行うようになり、本業の仕事の一部を業務委託することも増えました。
つまり、社員の人数が減ったわけです。
当然、社員食堂を利用する人数もどんどん減りました。人数が減れば減るほど、メニューの質が落ちてきました。いかにもな業務用食材や、揚げ物が多くなりました。
安い食材を工夫して美味しく提供するのが専門業者だとは思うのですが、それ以上に運営が回っていないことを感じました。そりゃあ利用者がいなければ、ロスも多くなるでしょうし、質を落とさないといけなくなるでしょう。
社員食堂を利用していない若い従業員がどこで食事をしているのかと言えば、コンビニで買ってきている人が多かったです。ほとんど女性なので、ボリュームは必要なく簡単に食べれば良い、というような人が多かったです。現場のスタッフは時間に追われる仕事なので、外に食べに行くことはできないので、コンビニで済ませていたというのもあるかもしれません。
委託業者を変えた(10年前)
あまりに質は悪く利用者も少ないため、思い切って委託業者を変えることにしたのが10年前です。食堂の内装も変えて、テーブルや椅子も新しくしました。
試食会でハンバーグやラーメンをとんかつを食べましたが、ありふれたメニューだけど、美味しかったです。社員食堂なので、変に凝ったメニューより飽きないメニューであるべきです。定番のものを美味しく食べることができていいねと思いました。
材料費も以前よりも高くしました。一食250円なんて安すぎて怖いような値段なので、400円としました。
それでもやっぱり利用者は減ってきた
社員食堂に限らず、全く新しい業者に新規で業務委託をすると、最初は頑張ってくれるものです。利用者も以前より増えてよかったものの、だんだんと質は落ち、それに合わせて利用者も減ってきました。
もちろん、お金さえ払えばいくらでも美味しくしてくれるんでしょう。
しかし、単に美味しさよりも、毎日の食事として何が良いのかを考えることが必要です。そういう点で、業者任せにはせずきちんと向き合うべきだったと今にして思います。
けれど、人数が減っている一方で、従業員の年齢や好みは幅広く、担当者と相談しても特に改善はできませんでした。
ついに社員食堂の営業をやめるまで(5年前〜)
2020年からのコロナ禍で社員食堂の営業を中止することになりました。出勤してないのですから、これはもう仕方ありません。
その後、夕食営業はやめてランチ営業のみ再開しましたが、ある事業部全体が別の場所に引っ越していったため、利用者数が目に見えて減りました。お昼の12時に行っても人がほとんどいない状況で、毎日の食事として魅力は無くなってゆきました。
外で高級ランチが食べれるくらいの金額
一食あたり業者に支払っている金額を計算すると、外で高級ランチが食べられるような値段でした。その金額で食欲をそそらないものを食べていたのか、と愕然としました。
ついに社員食堂を廃止に
そして、社員食堂は廃止という決断に至ります。
委託業者へ契約解除を申し入れても、特に引き留められることはありませんでした。コロナ禍以降、社員食堂を廃止する企業は増えているそうです。
なにしろ利用者が少ないので、社員食堂を廃止しても不満は出ませんでした。その代わりに食事手当という名目で給与として支給することにしました。
福利厚生は無理してやらなくてもいい
会社は東京のど真ん中のオフィス街なので、飲食店は多くワーカー向けにリーズナブルなランチを提供している店もあります。テイクアウトで販売している店も充実しており、選択肢は色々。食べる手段はいくらでもあります。
社員食堂を廃止した今、「これまで無理してやってたな」というのが私の感想です。最近は「社内で無料で食事ができる会社」もあると聞きますし、健康経営の一環として従業員の健康的な食事から面倒をみる会社もあるのでしょう。
そのような取り組みは良いと思いますが、中途半端なのが一番ダメだと思いました。
やるなら真剣に取り組む、(予算的・手間的に)できないなら導入すべきではない。
福利厚生はだいたいは委託業者に任せることになりますが、丸投げもうまくいかないですよね。パートナーとして定期的に相談をしながら、日々運用してゆく、くらいでないとうまくいきませんよね。
ということを考えながら、今日はどこでランチをしようかと毎日悩んでいます。