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沈黙が招く危機:声を上げられないチームが直面する悲劇
今回は、チームが本当の力を発揮するために必要な「心理的安全性」に焦点を当てます。
前回の記事では、カニ漁を例にリーダーシップとフォロワーシップの重要性についてお話ししました。特に、フォロワーシップの大前提には優れたリーダーシップが必要であることに注目しました。
プロジェクトや組織にどれほど優れたメンバー(フォロワー)がいても、意見を言えない環境ではその力は十分に発揮されません。
心理的安全性とは?
心理的安全性とは、「失敗しても責められない」「意見を言っても否定されない」と感じられるチーム環境を指します。Googleが行った調査でも、最も高パフォーマンスなチームに共通する要素として、この心理的安全性が最も重要な要素として挙げられました。
心理的安全性が欠如した事例
1. NASAスペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故(1986年)
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背景
1986年、スペースシャトル「チャレンジャー号」が打ち上げ直後に爆発し、乗組員7名全員が死亡しました。(その中には、私と同じ日系アメリカ人である鬼塚承次氏も乗組員として参加されており、私にとって特に強く記憶に残る事件です。)技術者たちは固体燃料ロケットブースターのOリングに問題があることを知っていましたが、その懸念を上層部に伝えることができませんでした。
なぜ意見が無視されたのか?
技術者たちは打ち上げ延期を進言しましたが、上層部の「予定通りに打ち上げる」という圧力に屈しました。
「反論すると責任を問われるかもしれない」「意見を言っても無視される」という心理的圧力が、問題を指摘する声をかき消しました。
教訓
心理的安全性が欠如すると、組織は重大なリスクを見逃し、大きな損失を招きます。特に、複雑でリスクの高いプロジェクトでは、メンバーが率直に意見を言える環境が不可欠です。
2. ボーイング737 MAXの墜落事故(2018年・2019年)
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背景
2018年と2019年に、ボーイング737 MAXが2度にわたって墜落し、合計346人が死亡しました。この事故の原因には、エンジニアたちがソフトウェア(MCAS)の不具合を知っていたにもかかわらず、組織内で自由に意見を述べることができなかったという問題がありました。
なぜ問題が表面化しなかったのか?
「コスト削減」や「スケジュール優先」のプレッシャーが、問題報告を妨げました。
パイロット訓練の不足も問題視されていましたが、経営陣は議論を避けました。
教訓
心理的安全性が低い環境では、問題が表面化しにくく、組織全体が深刻な危機に陥る可能性があります。
3. 福島第一原子力発電所の事故(2011年)
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背景
東日本大震災による津波で、福島第一原子力発電所は壊滅的な被害を受けました。事前に津波リスクが予測されていたにもかかわらず、対策が講じられませんでした。
なぜリスクが無視されたのか?
一部の技術者は津波対策を提案しましたが、組織の文化として「現状を変えるのは難しい」という雰囲気がありました。
教訓
リスクを早期に発見するには、心理的安全性とリーダーの柔軟性が必要です。
なぜ人は意見を言えないのか?
人の命がかかっているのになぜこんなことが起きてしまったのだろう?」と不思議に思う方もいるかもしれません。しかし、現実には、自分の上司――評価を下し、時には解雇を決定する権限を持つ存在――に逆らうのは、誰にとっても簡単なことではありません。
人は本能的に自らの立場を守ろうとするため、意見を言うリスクを避ける傾向があります。
これまでの記事でも共通するテーマですが、心理的安全性を高めるためには、適切なリーダーシップが欠かせません。では、リーダーは具体的にどのような行動を取るべきなのでしょうか?
心理的安全性を高めるリーダーシップのポイント
フィードバックを受け入れる
「どんな意見にも耳を傾け、『それは良い視点だ』と受け入れる姿勢を示しましょう。」失敗を責めない
「失敗を責めるのではなく、『何を学べたか』に焦点を当てることで、次の成功につなげる環境を作りましょう。」対話を重視する
「指示だけでなく、メンバーとの対話を通じて信頼感を高めましょう。」
最後に。。。
心理的安全性が高いチームでは、メンバー全員が積極的に参加し、リーダーシップとフォロワーシップが最大限に発揮されます。あなたのチームでも、この環境を意識してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今日お伝えした内容を、ぜひあなたのチームで試してみてください。
では、次回もお楽しみに!