プレイリスト。
大好きな人にプレイリストを作ってもらった。
会って間もない頃から言っていたのに、
なんとなく忘れてしまっていて、ようやく作ってもらった。
彼が好きな曲を、私も聞きたい。
そう思ったのは初めてだった。
私の好きな音楽は、なんだか統一感がなくて、好きなアーティストを聞かれても困るくらい、ただメロディに惹かれた曲を追い続けていた。
基本的に人から薦められた曲は聴かない主義だ。
感性なんて人それぞれだし、歌詞がいいよなんて言われても、歌詞ベースで音楽を捉えていないから何も惹かれない。
「歌詞を聞く」のではなくて、
「音楽を聴く」。
歌詞は読み物だよ。
だって音楽は歌詞がなくても成り立つでしょ?
音楽なんて、直感的じゃないと分からない。
なぜこの音楽が好きかなんて理由を見つける方が難しい。
こんな音楽観を持っている私がなぜ、
「プレイリストを作って」って言ったのか。
彼は基本的に洋楽が好きで、車に流れている音楽を聴くと、心地が良くて喋るのを止めてしまうこともあった。
そもそも私は、
ブレない自分を持っている人が好きだ。
世間はこんなのが流行っているけれど、自分はこれが好き、であるとか、そういうの。
彼が好きという音楽には、
他の人にある「浅はかさ」がなかった。
この表現が正しいかどうか分からないけど、
わかりやすくいうと「らしさ」があった。
「彼のことを知るために、彼が好きな音楽を聴きたい」
あまり表情に出ないし、
口数も多くないからこそ、
手っ取り早く知る手段の一つが、
プレイリストを作ってもらうことだったのかな。
作ってもらったプレイリストを聴くと、
彼が運転する車の中にいる気分になる。
まるで一緒にいるみたいで、耳が喜んでいる気がした。
彼を知るために作って欲しかったプレイリストが、いつのまにか彼を感じるためのプレイリストになってしまった。
他の人には内緒にしたいプレイリスト。
私だけのプレイリスト。
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