【短編怖い話】ビデオテープ
【短編怖い話】ビデオテープ
昔ね、大学の友達の家でたまたま見つけた古いビデオテープの話なんだけど。
友達の家の物置を片付けていると、そこには昔のビデオカメラと一緒に、ホコリにまみれたテープがいくつかあったんだよ。
「これ、何だろ?」って気になったんで、その場で再生してみたんだ。
テープには、昔の家族の日常や風景が映っていて、まあそれはそれで面白かったんだけど、
中には本当に変なシーンが映っていたんだよね。
どうも、過去の何らかの出来事を撮影したものらしく、友達も初めて見る内容だったみたいで、ふたりで目を凝らしてみてたんだ。
それは、なんというか、とてもリアルなシーンで、特定の場所で若者が何かを再現しているようだった。
でも、その再現がなんだったのか、どういう背景があったのかは全然わからなかったんだよ。
ただ、そのシーンに映っている若者が、僕らとそっくりだったのは確かだった。
友達は、テープを止めて、顔を見合わせて「これ、オカルトじゃん?」って冗談交じりに言って、
僕も「マジで、古いテープに俺たちが映ってるなんて、ヤバいよな」と、ふざけてみたりしたんだけど、
内心、本当に恐怖と戸惑いが募っていたんだ。
その後、テープに映っていた場所を実際に探してみたんだよ。
それが、近くの公園だったんだ。テープの中の場面と同じ場所に立った瞬間、不思議と全ての記憶が蘇ってきて、
自分たちがテープの中で再現していたことを、現実で行っているような錯覚に陥ったんだ。
とりあえず、その場から逃げ出して、二度とその場所には近づかないようにしたんだけど、
今でもあの日の出来事を思い出すたび、背筋が冷えるんだよね。
で、友達とはその後、あまり会わなくなって、それぞれの道を歩んでいるんだけど、
あのテープの内容が、実際に未来を映していたのか、ただの偶然だったのか、
今でもわからないままだよ。