変なタイムスリップ小説の構想
主人公の男は何らかの訳あって女性ともう会えなくなってしまった。
男は彼女に再度会うためにタイムスリップして過去の世界で彼女を探す。
しかし何故か彼女に会うことが出来ない。
彼女の当時のバイト先や、実家を訪れても合うことが出来ない。
男はこの世界でしばらく暮らしていかないといけないので、職や家を探し始める。
それから仕事場の話や近隣住民の話になり、彼女を探す話は何故かどこかへ行ってしまう。
結局この物語終盤まで、彼女探しと関係ないことばかり進む。
初めははSFを見ていたつもりが純文学みたいなものを読者は見せられる。
しかし最後に何故か彼女のことを思い出す。
この世界では彼女と会っていないはずなのに彼女との回想が入り、かけがえない時を過ごしたのが思い起こされる。
そして男はタイムマシンに入り、過去に旅立つところで物語が終わる。
読者としてはなんだこれとなり、その彼女とは男の妄想でしかなく、実在しなかったのかと感じる。
タイムスリップも男の妄想で、頭がおかしいから過去に行った妄想をしているだけかと思われる。
が、真実としては彼女は実在し、実際にタイムスリップもしていたという話。
仕掛けとしては、この物語において過去の世界で男が彼女と会ったり過ごしたりしたシーンは意図的に描かれておらず、実際には職探しや近隣住民との生活を描く裏で、彼女と再開して共に過ごしていた。
しかしやはり何らかの理由(暗示はあるものの)で彼女に会えなくなってしまい、過去に戻ることになる。
見方を変えるとありがちなラブストーリーの、ラブストーリーじゃない暮らしの部分だけを切り取った話。
おそらくこの男の一周目には作品に描かれるような。彼女とのラブストーリーがあった。だが失い、一度過去に戻ってからは、そのような史実が過去に一度だけあったという情報だけが残留し、別れを回避するという続きのストーリーがありえない以上、彼女と過去の世界でまた出会うシーンも描かれることはない。描くに値しないと神にみなされた。
結果彼女の描かれない世界を繰り返す。
しかしこの男もなんどもこれを繰り返しているわけではなく、今回が1、2度目。
3、4回目には理解し諦め、平凡なその後の人生を享受することになると思われる。
平凡な暮らしをしている我々にとっては誰の裏でどんなドラマがあるかなど知る由もなく暮らしている。逆に言えば、あなたの人生も平凡と思われる裏でドラマチックな人生なのだという話でもある。