こんな本を読みました【2023.6】
さて、毎月恒例の読書記録です。
6月は4冊でした。
ではでは、いきまーす!
★『お探し物は図書室まで』青山美智子
“お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?”
人生に悩む人々が、ふと訪れた町の図書室で、不愛想だけれども聞き上手な司書さんに出会う。意外な選書に戸惑いながらも、人々はやさしく背中を押されて、明日への希望を見出していく。2021年本屋大賞第2位受賞作。
小さな町の図書室で司書をしている小町さゆり。さゆりのもとには、人生にも本選びにも悩む人々がやってくる。求められる本にプラスして、一見まったく関係がないように思われる一冊を毎回差し出すのだけど、これが見事に明日を生きるヒントとなり、悩める人たちの心を軽くしている。
本を差し出したのはさゆりだけど、実際に読んで、感じて、行動を起こしたのは、自分自身。一歩踏み出すことの大切さと、そこからどんどん開けていく未来を、さゆりが読者に示してくれています。
最後のエピソードでは、定年退職をしたばかりの男性も登場して、歳を重ねるごとに、踏み出す勇気や未知へのチャレンジにブレーキをかけてしまいがちな私たちに、「年齢は関係ないよ!」と教えてくれているような気がします。
転職するとか、自分の店を開くとか、そんな大それた夢じゃなくても、日常のちょっとした変化を求めるだけでも、きっと人生は楽しくなるんだと思う。そのことに気づかせてくれた、あたたかな一冊でした。
★『白鳥とコウモリ』東野圭吾
東野圭吾版『罪と罰』と称されている本作。作家生活35周年記念作品として書かれた、ハードカバー523ページの超ボリューム大作。
1984年愛知、2017年東京で起こった二つの殺人事件。ある男が「すべての事件の犯人は私です」と告白したところから、新たな歯車が回り出す。
加害者の息子も被害者の娘も、真実が知りたかった。読んでいる私たちも、彼らと伴走するように真実を追い求めながら、どんどん作品の世界観に入り込んでいきます。
「良かれと思ってしたことが、誰かを傷つけてしまう」というのは日常でもよくあることで、それに殺人事件が絡むと、その傷も悲しみも苦しみも、いっそう深いものになってしまうのだということを思い知らされました。
東野圭吾さんらしい長編ミステリー、おすすめです!
★『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』多良美智子
87歳(現在は88歳になられました)と思えないほどお元気で行動的な多良美智子さん。長年、ご家族で暮らしてきた団地に、いまはおひとりで住まわれています。
お孫さんとともに配信をしている『Earthおばあちゃんねる』では、多良さんの丁寧な日常が垣間見れると話題に。
私たちはつい、「ないもの」をほしがって、いま「あるもの」に気づかなかったりするけれど、目の前にあるもので工夫を重ねれば、いまよりももっと心地よい暮らしができるのだと、しみじみ感じました。
そして、ひとりを楽しめる人は強い。無理に誰かとつるまなくても、じゅうぶんに毎日を謳歌できる。
タイミングが合えば、気の合うお友だちと遊び、合わなければ海外旅行にもひとりで行く。周りに左右されずに、自分のやりたいことをやれちゃうから、ぶれずに生きていられるのよねー。
“自分以外の人はみな先生”
“万人に好かれないのが当たり前”
“5〜6割うまくいけばいい方”
何十年も先に生まれた先輩から学ぶことは多い。そんな多良さんご自身は、年下の方から学ぶことも多いそうです。いくつになっても謙虚な姿勢を、私も見習いたいと思います。
▼以前書いた感想文もよろしかったらどうぞー。
★『稲葉浩志作品集 シアン SINGLE &SOLO COLLECTION』稲葉浩志
B'zのヴォーカルであり、楽曲の作詞を担当している稲葉浩志。デビュー35年にして、「言葉」をテーマにした初の作品集がリリースされた。
B'zの曲はもちろん、稲葉浩志ソロで発表された曲の歌詞も掲載されている。
一ファンの私が、個人的にたまらなかったのは、初めて目にした直筆の作詞ノート。ページを開いた瞬間に、そこに刻まれた想いがぶわっと飛び出してきて、心があたたかく包み込まれました。
書いては消し、書いては消しを繰り返して、黒に支配されゆくノート。実際の歌詞には使われなかったフレーズも、たくさん書かれています。
当たり前だけど、言葉の試行錯誤を重ね、私たちがいま手にしている作品に昇華されたのかと思うと、貴重で贅沢で感慨深いものがあります。
世間一般的に、稲葉浩志はスターだと思う。けれど、歌詞に登場する人物は、いたって普通だ。自分だったり、隣のあのコだったりに置き換えて、感情移入することができる。
以前放送されたNHKの番組で稲葉さんが、言葉とは「生きるための道具」と語っていました。
“いい意味でも悪い意味でも人を変える可能性がある。そして、それはみんなの周りに同じように散らばっている”
私たちはみな、言葉という道具を持っていて、それは年齢とか性別とかステータスとか関係なく平等。
だからこそ。何を感じ、どんな言葉を拾い上げ、誰に向かって放つのか。それが個性であり、言葉のおもしろさではないかと思うのです。
ファンでなくても読み応えのあるインタビュー、ファンの方ならなお嬉しい撮り下ろしカットなど、内容の濃い作品集に仕上がっています。興味のある方はぜひ、お手にとってみてください!
以上、6月の読書記録でした!
つい熱くなり長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ではでは、また。
▼読んだ本について書いたnoteを集めたマガジン