心は揺らぐものです #day7
昨日はとても移り気な天気だった。
目覚めたとき、外はものすごい雨。直後、大雨警報が発令されるほどだったのに、子どもたちが小学校に行く頃には雨も上がり、空が明るくなっていた。
午後から晴れの予報だったので、「傘はいらないねー」と言いながら、家を出る。アスファルトに染み込んだ雨が陽に照らされ、目に見えない水蒸気となって体を包み込む。もわんとした蒸し暑さが辺りを覆っていた。そこにいないセミの鳴き声が、頭の中だけに響く。
あと数メートルで学校に着く……というところで、急に雨がポツポツと落ちてきた。空はまだ明るい。正門前で見守りをしてくださっている先生が、「天気雨だねぇー」と黄色い旗を振りながら声をかける。その間にも、雨足はどんどん強くなっていく。
「早く早く!」と先生が急かすも、誰も動じない。走ったら負けだというように、それまでのペースを守って歩く。なぜ、子どもたちは雨に濡れても平気なんだろう。大人はつい先を見越してしまうからだろうか。濡れた服で一日過ごすのは嫌だとか、ランドセルの水滴を拭き取るのがめんどくさいとか。幼い子のほうが今という一瞬を大事にしているのかもしれない。
人の流れに逆行して、一年生の男の子がふたり、校門の外へ飛び出してきた。「カニどこー?」と叫んでいる。おそらく、登校中に誰かがカニを見つけたのだろう。友だちに話したところ、ボクも見たい!と興奮して走り出してきたにちがいない。
「一度学校の中に入ったら、勝手に外へ出てはいけないのよ!」先生がからだ全体を使って、必死に止めていた。一年生ふたりは不満そうだったけど、しぶしぶ教室に戻っていった。カニに夢中になっていたあの子たちは、雨が降っていることに気づいていたのだろうか。
・・・・・
我が子を無事に送り届けて、家に戻る頃には、空から光が消えていた。大雨警報に見劣りしない土砂降り。雨が止むのをゆっくりと待ってから外出したが、途中でまた大雨に降られ、靴も靴下もスカートの裾もびしょ濡れになって帰宅。着替えを終えて、一息ついたところで、空が絵に描いたように青くなった。
一日のうちで、こんなにもめまぐるしく天候が変わる日はめずらしい。でも、これが“自然”なんだろう。自然とは、おのずからそうなっているさま。あるがままのさま。(広辞苑第7版より)
天気の移ろいを感じながら、心の内が揺らぐのもまた自然なことなのだと思った。なんとなく落ち着かない日々に、一喜一憂することも多いこの頃だけど、それもまた生きているということだ。雨はいつか上がる。
ではでは、また明日!
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