
お弁当作りは、めんどくさくて嬉しい #day24
7月から、お弁当作りが復活した。
通信制高校に通っている長女。これまでのネット学習コースから、週1通学コースに変更し、お弁当が必要になったのだ。
週1で作るお弁当は、なんだか幼稚園の頃に戻ったみたいで。慌ただしい朝に、一瞬だけ昔に戻って、ほっこりする。「あー、めんどくさい」と、つい口に出てしまう言葉に嘘はないけれど、またお弁当作りを再開できたことは嬉しい。
1年前、長女はまだ、地元の公立高校に通っていた。けれど、学校に行くこと・教室に入ることが困難で、遅刻早退はおろか、欠席もしょっちゅう。親であるわたしが、養護の先生と顔なじみになるほど、保健室の常連だった。
長女曰く、人が怖いのだそうだ。人見知りが、極端に突き抜けてしまったといえばいいのか?自分から話しかけるのは絶望的。話しかけられても、どう答えたらいいのかわからない。
こうなると、他人が集う空間(教室)の中にいることすら、できなくなるらしい。無理やり、中に入ろうとすると、血の気がなくなって、顔が真っ青になる。体が固まってまったく動けなくなり、うつむいて一言も話せなくなってしまう。
なぜこんなふうになってしまうのか?わたしにはまったくわからず、共感してあげられないことがつらかった。あまりにも理解ができず、一度、「なんで無理なの?」と聞いてしまったことがあって、心底後悔した。その質問に答えられるくらいなら、悩んではいないのだ。本人もわからないから、こんなに苦しんでいるというのに。
一学期は休みながらもなんとか持ちこたえていたが、夏休みが明けて、長女は完全に学校に行けなくなってしまった。スクールカウンセラーの先生と話をしたり、メンタルクリニックに通ったり。気分転換になるならと、外食の回数も増やした。学校には行けなくても、家にひきこもって落ち込むことがないよう家族でよく散歩をした。あれこれ試してはみたものの、結局、一学期の終業式を最後に、二度と教室に足を踏み入れることはなかった。
そんな状況ではあったけど、わたしは毎日のようにお弁当を作っていた。もしかしたら……と、一縷の望みをかけて。留年が避けられない状況になり、通信制高校に転学すると長女が決意するまで、ずっと。
あれから一年近く経ち、お弁当作りを再開することができた。家で食べるお弁当ではなく、学校で食べるためのお弁当だ。
1年前の長女は、家を出ることすらままならなかったのに、いまでは見知らぬ人であふれた満員電車に乗って、一人で学校へ行く。重たいリュックサックを背負い、片手にお弁当の入ったランチバッグを持って、「いってきまーす」と、笑顔で出かけていく。それがとっても眩しくて、姿が見えなくなるまで、いつまでも見送ってしまう。
わたしはズボラなので、早起きしてお弁当を作るのは、やっぱりめんどくさい。けれど、めちゃくちゃ嬉しい。矛盾しているようだけど、どちらも正直な気持ちなのだ。
ではでは、また明日。

夏休みのお昼ごはん作りは
「めんどくさい」しかない。
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