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『男と女』

映画の話である。「男と女」、1966年のフランス映画で、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した有名な映画だ。自分が生まれる1年前である。

この映画の存在を知ったのは中学生の頃で、エレクトーンを習っていたからである。この映画の音楽を担当しているフランスの作曲家、フランシス・レイの「白い恋人たち」がとても好きで、エレクトーンの発表会で演奏したのだが、翌年の発表会で「男と女」を演奏したのだった。あの「ダバダバダ」のスキャットで有名な曲である。

この時は映画自体には全く興味はなく、観ることをしなかった。まあ、中学生が興味を持つような映画とも思えないが…。

映画が製作された50年後の2016年、製作50周年記念ということでデジタルリマスター版が公開されたので、恵比寿ガーデンシネマに観に行った。

中学生の時にエレクトーンで弾いた主題曲の映画を49歳にして初めて観たのだった。感想としては、とても良かった。大人の映画だった。若い時に観たらどう感じたのだろうか、と思った。感動するような映画ではないが、映像、音楽、雰囲気がとても良かったのだ。以前、仕事でフランスに関わっていたことも影響しているかも知れないと思った。

でも何といっても、主演女優のアヌーク・エーメが美し過ぎた。ハッキリ言って好みなのだ。1966年当時で34歳、年齢的にも絶妙だ…。

同時上映で、監督のクロード・ルルーシュが製作して1976年に公開された「ランデブー」も観ることができた。この映画はたった9分間で、パリの街をフェラーリでアクセル全開で疾走するという内容なのだが、一発撮りで撮影されていてものすごい迫力なのである(実際の撮影はメルセデスで行ったらしい)。

この映画のことは2016年まで全く知らず、写真家の加納満さんがFacebookでアップしていたのを見て、その存在を知った。事前にyoutubeで観てはいたが、やはりスクリーンで観るとまるで違った。映画を見終わって洗面所に行くと入り口が一工夫されていた。

そして53年後の2019年、監督のクロード・ルルーシュ、主演のアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャン、音楽のフランシス・レイなど、当時のスタッフとキャストが再結集して「男と女 人生最良の日々」という映画が製作され、2020年に日本でも公開されたので観に行った。

映画について賛否があるのかも知れないが、個人の感想としては、よかった。アヌーク・エーメが、おばあちゃんになっていた。美しい人が年を取るのは残酷な気もしたが(それでも80代の女性としては美しいと思う)、年を取ってから人生を振り返ったり、後悔したりするのもいいなあと思った。これは自分もそれなりに年を取ってきたからなのだろう。

運よく80歳くらいまで生きることができた時、人生を振り返って、若い時のことをどのような気持ちで思い出すのだろうか…。

Leica M4, SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH., Neopan 100 Acros Ⅱ

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