
#1422 生活的概念から科学的概念へ迫る授業
子どもは、これまで生きてきた中で、個性的な「素朴概念」「生活的概念」を有している。
その内実は、子ども一人ひとりによって異なる。
そのような「生活的概念」を「科学的概念」に近づけてやることが「教育」という営みである。
つまり、「生活的概念」が質的に変化し、「科学的概念」に少しでも近づくことが重要なのだ。
よって、授業の前と後、または単元の前と後で、子どものもつ概念が変化していることが望ましいのである。
それをある程度把握するためには、子どもの内部にある概念を外側に表現してもらわなければならない。
でないと、概念をどの程度理解しているのかを評価できないのである。
したがって、授業や単元の導入では、その学習内容に関わる「生活的概念」を表現してもらう必要がある。
これが「診断的評価」に値する。
そして、子どもが「科学的概念」に近づけるように、教師は教科等特有の見方・考え方に沿って指導していくのである。
ここで「見方・考え方」を経由しないと、「科学的概念」に近づくことができず、「学び」が深まらない。
教師は教科等特有の見方・考え方を把握しておき、そのような「レンズ」を子どもに活用させるのである。
このような見方・考え方の「レンズ」を通した学習により、子どもの「生活的概念」が「科学的概念」に近づく。
そして、授業や単元の最終段階では、子どもの概念がどれくらい深まったのか、どれくらい「科学的概念」に近づいたのかを評価する必要がある。
その際にも、子どもの内部にある概念を外側に表現してもらうのである。
これが「省察」「リフレクション」「振り返り」に値する。
このように、授業前(単元前)と授業後(単元後)の表現を見比べることで、どの程度、概念が質的に変容したのかを把握することができるのだ。
逆に言えば、子どもの前後の表現を比べて、何の変容もないのであれば、その授業(単元)は「失敗に終わった」ことを意味するのである。
子どもの「生活的概念」は、教科等特有の見方・考え方による学習を通して、「科学的概念」に近づく。
それを実現するのが「教育」であり、それを支えるのが「教師」なのである。
ぜひとも、子どもの「生活的概念」が「科学的概念」に迫る授業を構想していきたい。
では。