#1499 音声言語ではなく文字言語が中心の授業
これまでの「対面・同期型」の授業では、教師による一方的な情報伝達が授業のメインになっていた。
このような一斉授業では、教師による「音声言語」が授業の中心を占めていた。
教師は自分の発する「音声言語」に気を配り、中身を精選し、子どもたちに伝える。
そうして、「子どもたち全員に伝えた」と満足する。
このような「対面・同期型」の授業では、子どもたちの学び・行動が制限されてしまう。
ちょうど「電話」において、自分の時間が束縛されてしまうのと同じ構造である。
しかし、今は「対面・非同期型」の授業も可能な時代である。
それはICTの普及によって、だれでも知識にアクセスできる「情報技術パラダイム」が到来したからである。
ちょうど「メール」「チャット」のように、自分の好きな時間に情報のやり取りができるのと同じ構造である。
そのような「対面・非同期型」の授業では、子どもたちの行動は制限されず、自由に自己の学びに没頭することができる。
また、従来までのような「音声言語」中心の授業では、「一回性」が重視されてきた。
その場に子どもがいて、全員に満遍なく情報を伝える必要があった。
教師が一回しか話さないので、聞き逃すと情報を手に入れることができなかった。
しかし、「文字言語」が中心になると、「一回性」という縛りがなくなる。
「文字言語」は、いつでも、どこでも、何度でも参照することができるのである。
なので、自分の好きなときに好きな情報を手に入れることができるわけである。
そして、これからの授業においては、教師が「音声言語」を発する機会は極端に減っていく。
個別指導のときに少し対話するくらいである。
大半は黒板や電子黒板、ICTの中に書かれる「文字言語」がその中心を占めるようになる。
「本日の課題」「やるべきこと」などを、教師が前もってデジタルワークシートで記録しておく。
また、子どもがインターネットの記事を読んだり、教科書の文を読んだりする。
このように、「文字言語」が中心の授業になるわけである。
※動画の場合は、文字と音声の両方である。
そうなると、教師は自分の発する「音声言語」がなくなるので、急に不安になることがある。
「これで全員に知識は身に付いたのか?」
「今日の内容を本当に理解できたのか?」
と不安に駆られる。
しかし、子どもたちは「文字言語」中心の授業でも、個々人で内容を学んでいるのである。
教師は無駄に心配する必要はなく、個々の内部で学びがどのように生起しているかを見取ればよいのである。
そのために学びをアウトプットさせるのが「振り返り」である。
そういう意味でも、授業や単元末の「振り返り」は、これからの時代にマストとなってくるだろう。
これからの時代は「音声言語」ではなく、「文字言語」が中心の授業がメインとなる。
つまり、「授業中に何を話すか」よりも、「授業前に何を準備するか」が問われるようになる。
教師はラーニングデザイナーになっていくのである。
では。