見出し画像

#1882 見方・考え方をカードに可視化する

今回は、樋口万太郎氏の『算数授業のカード実践』からの学びを整理する。


・見方・考え方を働かせる「深い学び」なしに、資質・能力の育成は不可能である。

・学力の構造
➀できる ②わかる ③使う・創造する

・教えるべきこと
➀用語 ②道具の使い方 ③筆算の仕方 など

・一方的に教えるよりも、子どもたちが取り組んだ学習活動を意味づけて(置き換えて)教えるようにする。

・子どもが書くカードを否定しない。
 ※本質的でない気づきはあとで活用できない、淘汰される。

・必要な資質・能力=創造力
➀知識を活用する力
②統合・発展する力

・知識の種類
➀できる:道具的理解、手続き的知識
②わかる:関係的理解、概念的知識、見方・考え方
 ※➀だけを重視すると、活用問題を解くことができなくなる。

・単元の最初の方に、カードに書くべき「概念的知識」が多く載っている。

・「公式」や「筆算のアルゴリズム」は道具的理解、手続き的知識である。

・「練習問題」や「活用問題」への取組は、手続き的知識止まりとなる。

・概念的知識に気がつくためには同領域の複数単元に取り組む必要がある。

・カード実践のメリット
➀「わかる」をカードに可視化できる
②「わかる」のカードを子どもが精選できる
③「わかる」のカードを子どもが使っていける

・デジタルを使う実践でも、見方・考え方に着目させることが重要。

・CARDに込めた思い
➀C:コネクト(つながる)
②A:アセス(評価する)
③R:リフレクト(振り返る)
④D:セレクト&ディサイド(選択し、決定する)

・カードに書かれるもの:見方・考え方、概念的知識
 ※「技能や態度に関するカード」も書かれることがある(淘汰される)。

・カードの自己選択・自己判断・自己調整
➀使うカード、使わないカードの判断
②カードとカードの合体
③カードとカードの類似性の発見
④長文のカードの分解
⑤レアカード(単元で何度も使うカード)の発見

・「つくる」「創る」の違い
➀カードをつくる:新たな内容のカードをつくる
②カードを創る:つくったカードを組み合わせたり、分解したりすることで新たなカードを創る

・単元の終わりに「大切にしたいカードランキング」を紹介させる。

・カードには「文」の他に「イラスト」を書いてもよい。

・カード実践のサイクル
(1)問題(課題)に出会い、使えるカードがあるのかを探す
(2)めあてをつくる ※一人一人違う、共有してもよい。
 ①使えるカードがない→「カードをつくる」
 ②使えるカードがある→「カードを使って問題解決する」
 ※めあての文言は、具体的な方がよい。
(3)問題を解き、交流する
 ①問題を解決する
 ②カードを使って問題解決する
 ※教師の問い返しが重要となる。
(4)カードをつくる・創る
 つくった・使ったカードを交流する
 ①カードをつくる
 ②カードを創る(統合)
(5)カードを使えるか確かめる
 ①設定を変える ②本時内の数値を変える ③拡げて数値を変える
(6)振り返りをする ※めあてについて、共有してもよい。
 ※(4)が「統合」、(5)が「発展」である。

・自由進度学習とカード実践のかけ合わせ
➀ガイダンス
②計画を立てる
③教科書の問題に出会う
④カードを選択する
⑤問題を解決・答え合わせをする
⑥新たなカードをつくるor使用したカードを更新する(創る)
⑦作成・更新したカードを確かめる ※サイクルを回す。
 ※③~⑤が「追求」、⑥⑦が「まとめ」にあたる。

・カードは固めの材質で、8cm×6cmぐらいがおススメ。

・「カードフォルダー」を用意し、分類・整理を子どもに任せる。

・単元内や領域内で何度も使うカードには「正の字」を書く。
 →「レアカード」となる。

・子どものカードに対して、教師が問い返す。
➀「どうしてこのカードを選んだの?」
②「このカードを何のために使うの?」
③「どうしてこれらのカードを合体させたの?」
④「どうしてこれはレアカードなの?」
⑤「カードに足りていないところはなかった?」など


以上が書籍からの学びである。

私はこれまでの記事で、「深い学び」「概念的知識」「見方・考え方」の重要性を幾度となく主張してきた。

つまりそれは、「概念的知識」「見方・考え方」を重視する「深い学び」こそが授業の本質であると確信しているということである。

そんな思いの中、この書籍を読み、まさに目から鱗が落ちる感覚を味わった。

私はこれまで、単元内や領域内で汎用的に活用できる「概念的知識」「見方・考え方」を教室内に掲示する実践をしてきた。

詳しくは上記の過去記事で述べた通りだ。

しかし、この実践をしても、子どもたちは掲示された「概念的知識」「見方・考え方」をなかなか活用してくれないのである。

それは、真の意味で「子どものもの」になっていなかったせいだ。

教師が全体で確認し、教師だけが「大切だ」と信じ、それを独断と偏見で掲示してきただけなのだから。

この取組の中に、子ども自身の自己選択・自己判断・自己調整の機会が全くなかったのである。

だから子どもは、教室内に掲示された「概念的知識」「見方・考え方」には目もくれず、それがただの「背景」と化してしまったのだ。

しかし、この書籍を読み、「概念的知識」「見方・考え方」は教師が決めて掲示するのではなく、子ども自身に記述・精選・保管させることが重要であると学ぶことができた。

そうすれば、子どもは自分が記述・精選・保管した「概念的知識」「見方・考え方」を活用してくれるのである。

この書籍を読み、とてもよい学びができた。

今後ぜひとも、この「カード実践」に取り組んでいきたい。

いいなと思ったら応援しよう!