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#1599 単元の導入でやるべきこと
これからのコンピテンシーベースの授業では、「単元」を軸に進めていくことがマストになるだろう。
「1時間ごとにぶつ切りの学習」ではなく、「単元という学びのつながりがある学習」がメインとなる。
ということは、その単元の導入、つまり「第1時間目の授業」がとても重要な意味をもつことになる。※「オリエンテーション」とも言う。
この「オリエンテーション」の授業では、どのようなことをすべきなのだろうか?
今回は、それを整理していきたい。
1 単元のゴールの確認
まずは、この単元の「ゴール」を確認することが必要となる。
「何のためにこの単元の学習を進めていくのか」を共通理解する時間が必要だ。
そのためには、単元のゴールとなる「パフォーマンス課題」を子どもたちに知らせることが求められる。
真正な文脈に根ざしたパフォーマンス課題を用意し、それを解決するためには何が必要かを確認するようにしたい。
2 ルーブリックの共有
パフォーマンス課題には、それを評価するための「ルーブリック」がある。
つまり「評価基準」である。
これを教師だけがもつのではなく、子どもたちにも共有する。
あるいは、子どもと共に共同作成してもよいだろう。
ルーブリックが共有されることで、子どもたちは「目指すべき姿」を理解することができる。
そして、その姿に向けて、教師と子どもが共に形成的評価を実現していくことができるのだ。
3 本質的な問いへの答えを考える(診断的評価)
単元を軸にする学習では、その単元を貫く「本質的な問い」が必要だ。
単元の導入時には、この「本質的な問い」を子どもに投げかけ、今現在の状況を「レディネス」として評価する。
つまり、「診断的評価」を行うのである。
これは、単元の学習中に常に「本質的な問い」を意識させることにつながる。
もちろん、単元の終末には同じ「本質的な問い」を投げかけ、導入時との変容を可視化できるようにしたい。
4 見方・考え方のセット
単元の学習を進めていく上で重要となるのは、その教科等・単元における「働かせるべき見方・考え方」である。
「見方・考え方」があることで、教科等の原理原則に根ざした「本質的な学び」になっていくのだ。
よって、できれば単元の導入段階で、「働かせるべき見方・考え方」に気づかせ、それを単元の学習中に常に意識させることが必要となる。
「見方・考え方」を創出させ、受容し、転移していくために、単元の導入段階で「セット」するのである。
また、セットした「見方・考え方」は忘れないように(常に意識できるように)、ノートやデジタルワークシートにメモするようにしたい。
5 学習計画づくり(確認)
最後に行いたいのが、「学習計画づくり」である。
「パフォーマンス課題」の解決のために必要な「知識・技能」を確認し、そのような「パーツ」を集めていくために、どのような学習をしていけばよいかを構想する。
または、教師が「学習計画」をつくった場合、子どもたちがそれを確認し、単元の「見通し」をもつことが必要だ。
このように、子どもたちが学習計画を俯瞰的に捉えることが重要となる。
これにより、メタ認知を働かせながら、単元の学習を自己調整して進めていくことができる。
以上、単元の導入である「オリエンテーション」の時間にすべきことを整理した。
このオリエンテーション以降の学習が、「自己調整学習」や「自由進度学習」のような個別最適な学びであっても、また「学び合い」や「協同学習」のような「協働的な学び」であっても、上記の5つの「すべきこと」が有効に働く。
つまり、子どもたちは
「単元のゴールであるパフォーマンス課題」
「ルーブリック」
「本質的な問い」
「セットした見方・考え方」
「学習計画」
という5点を常に意識していくことが求められる。
また、教師も上記の5点を子どもたちに意識してもらうよう、声がけやフィードバックをしていくのである。
今後は、このようなことを重視し、単元の導入をしていきたい。
では。