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#1924 受けの技術

授業技術には、発問・説明・指示などの「攻めの技術」と、子どもの反応に対する教師の反応という「受けの技術」がある。

教育界には、「攻めの技術」が山ほどあるが、「受けの技術」はさほど言語化されていない。

授業という営みは、「攻めの技術」だけでは成立しない。

そこには、「子ども」が存在し、「子どもの反応」が必ずある。

だとすれば、「受けの技術」こそが重要となる。

今回は、山中伸之氏の著書『授業力を高める「受けの技術」』からの学びをまとめていく。


・授業は計画的に準備されるが、偶発的に進行する。

・攻めの技術:子どもの行動・反応をきっかけにしない教師からの情報発信
 受けの技術:子どもの行動・反応をきっかけとした教師からの情報発信

・攻めの技術は真似したり、計画したりできる。
 受けの技術は真似したり、計画したりできない。

・受けの技術の効用
➀学習課題を明確にする
②子どもが主体的・意欲的になる
③子どもの思考力が鍛えられる
④子どもの学力が向上する
⑤子どもが達成感・満足感を得られる

・受けの技術一覧
(1)きっちり受ける
 ➀板書(重要な点の強調、整理・共有)
 ②評価(肯定、否定)
 ③束ね(たくさんの考えを1つにまとめる)
 ④訂正
 ⑤説き聞かせ(学習技能、学習習慣、人生観)
 ⑥机間巡視
 ⑦傾聴
 ⑧間・沈黙・注視
(2)軽く受ける
 ⑨言い換え
 ⑩確認
 ⑪ユーモア
 ⑫身振り手振り(ジェスチャー)
 ⑬〇か✕かと問う
(3)ハートで受ける
 ⑭共感
 ⑮期待
 ⑯感想
 ⑰驚き
 ⑱黙考
(4)攻めて受ける
 ⑲再発問
 ⑳ゆさぶり
 ㉑あおり(挑戦意欲を引き出す)
 ㉒反問・問い返し
 ㉓目標明示(本質的な目標)
 ㉔挙手(手を握る、手を振る)

・野口芳宏氏の受けの技術
(1)感情を込めて反応する、語る
 ①「強弱、大小、緩急、高低」に変化をつける
 ②教材文の内容の重要性に応じる
 ③教材文の内容の感情の起伏に応じる
 ④発問、説明、指示、説き聞かせの重要性に応じる
(2)随所で「間」をとる、十分にとる
 ①子どもに考えさせるとき
 ②子どもが理解する時間をとるとき
 ③子どもの発言内容を教師が理解したり、咀嚼したりするとき
 ④発言者や子どもたちを注視するとき
 ⑤子どもの集中力を高めるとき、じらすとき
(3)束ね、言い換え
 ①子どもに「短くズバリ」と言い直させる
 ②子どもの発言を言い換えて伝える
 ③教材内容を言い換えて伝える
 ④分量の多い内容を束ねて伝える
(4)言語技術、学習習慣、人生観を示す
 ①関連する言語技術を解説する(学習用語、学習技能)
 ②関連する学習習慣を解説する
 ③関連する人生観を解説する
(5)授業を急がない
 ①ゆっくり話す、ゆっくり音読する
 ②随所に間をとる
 ③じっくりと吟味する
 ④子どもに発言の正誤を問う(〇or✕)
 ⑤最後に教師の解を述べる


以上が、書籍からの学びである。

授業をするとき、教師はともすると、「発問・説明・指示」などの「攻めの技術」ばかりを考えてしまう。

しかし、このような「攻めの技術」だけを重視して授業を進めると、教師主導の一方的な授業になってしまう。

それでは、「子ども」という存在の意味・価値がなくなってしまう。

そこで、子どもたちの反応をきっかけとする「受けの技術」も持ち合わせることが重要となる。

この「受けの技術」があることで、子どもを中心とした授業に変えることができる。

「攻めの技術」と「受けの技術」の両翼が揃うことで初めて、「よい授業」を成立させることができるのだ。

これからも、書籍からの学びをもとに、「受けの技術」を意識的に磨いていきたい。

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