モンスターの作り方②
2回目からは、オムニバス形式のフィクションとします。また、登場人物も毎回変わります。
金銭感覚の違いが生む亀裂
1. 高すぎる2次会
晴海(仮名)と理沙(仮名)はお見合いから2か月後に婚約し、結婚式・披露宴の日取りと会場は順調に決まりました。しかし、2次会選びで問題が起きてしまうのでした。
理沙の希望で2次会場に選んだのは、レストランウェディングで有名なダイニングバーでした。ウェディングドレスで華やかにスポットライトを浴びるのは一生に一度。そんな思いをくみ取り、費用が高いと思いながらも晴海は理沙の提案を受け入れました。「結婚式で招待できる人数は限られている。その分をカバーして1.5次回形式で結婚式のムードを楽しんでもらうのも良いかな。」という思いが晴海にもありました。
しかし、「ちょっと高いな」という晴海の不安は的中してしまうのです。
2. 出席者ゼロ
2次会を友人らに幅広く呼びかけた晴海でしたが、どれもお断りの返事でした。会費15,000円がやはりネックでした。開催は無理と直感した晴海は見直しを理沙に提案します。
晴海「会費が高すぎる。見直そう。」
理沙「(悲鳴)一生に一度の機会を潰すの?花嫁さんの夢を叶えてくれないのーーーーー!?」
理沙「(晴海が声かけした相手は)本当の友達なの!?それに(出席予定者の中には)(理沙の)お母さんの知り合いもいるのよ!質を落とすわけにはいかないの!! 必死にプレゼンして(場合によっては)頭下げなさい!」
理沙「困難を乗り越えて初めて信用してもらえると思うんだ。」
話し合いが平行線を辿り途方に暮れた晴海でしたが、お断りの返信を入れた友人と街で再会しました。そこで言われたのは、「2次会は気軽に参加できなきゃ意味ないよ。君のメールは力んでいるように見えるし、招待するふりして辞退を促す典型的な文面にだよ。パーティで大金使うのもったいないよ。お金はその後の生活にとっとけ。」
結局、理沙の側も招待客が集まらず、2次会は中止となりました。代わりに、結婚式に出席した大学時代の友人数名と、晴海・理沙夫婦で結婚式場近くのバーで軽く打ち上げをしました。これで良かったと肩をなでおろし、最初の数年は幸せな結婚生活を送っていた晴海でしたが、出産後再び理沙の見金銭感覚に振り回される事になるのです。
3. ビルドインコンロの取り換え
子どもが生まれた事を機に、晴海と理沙は家を購入、新しい家庭生活が始まりました。新築なので、最新のビルドインキッチンが備わっていました。
ところが、家を買って1年後
理沙「コンロを取り替えたいの」
晴海は困惑しました。設備自体には何の瑕疵もないですし、1年しか使っていないコンロを交換など故障でもない限りはもったいないと思うのですが、
理沙の「スイッチが気に入らない」「グリルの(焦がした)油汚れが落ちない」「調理家電は毎日使うからケチっちゃだめなの!それで病気になってもいいの!?」等のLINEが連続で来ることに根負けし、50万円かけてコンロを交換しました。
他にも炊飯器や掃除機等、大事に使えば10年以上使える家電を、何かが壊れた、気に入らない等の理由で、晴海が知らない内に次々と買ってくる事が頻発し、毎回請求額の多さに辟易し、次第に夫婦間の亀裂も深まっていきました。
余談
話を結婚式2次会に戻します。最終的に開催を中止した2次会ですが、理沙の母親は「会費で賄えないなら補填してあげる」と言っていたそうです。しかし、晴海はそれを断って中止という選択をしました。それは、もしパーティ費用の援助を受け入れた瞬間に、義実家に支配される事になるのでは、という懸念があったからです。本人だけでなく、双方の実家の金銭感覚を始め地域での風習の違い等、様々な要素が入ってきます。場合によっては見栄も影響してくるでしょう。それらの確認が不十分だとモンスター化するリスクも高まるのかもしれません。