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冬が好きな理由
突然だが、冬が好きだ。寒くて、ちょっと寂しくて、浮腫みやすくて、食欲増し増しになる冬が好きだ。
今年は特に季節性感情障害(SAD)の影響を強く受けた気がする。SADは冬の日照時間の減少によって気分に影響が出ることを指す。やる気が湧かなくなって、すぐ気持ちがしゅんとしてしまい、寒さにどよーんとしてしまう。そんなSADが私に「なんで私って冬が好きなんだっけ?」と改めて考える機会をくれた。
そこでわかったのが、私は「冬が人を寂しくさせること」が好きだということ!厳密には、人を寂しくさせてくれる冬のおかげで、それを克服しようしてとる、私たちの行為が素敵だと思うのだ。
そもそも、人間は暑さにめちゃくちゃ強く、寒さには信じられないくらい弱い生き物だ。「熱を捨てる」恒温動物である私たち人間は、酷暑の中では本来持つ機能を存分に発揮して熱を捨て、体温を調節することができる。これは、人類の故郷であるアフリカで生き延びるため、人類の祖先が暑さ対策に特化した体を獲得したことに遡る。そんな彼らにとって、寒さは、未知なる脅威だったに違いない。熱が逃げやすい体を持つ私たちが寒さにストレスを感じるのは、必然と言える。
夏は暑くて、ぐでーんとしてしまう。おまけにその暑さは、人間の持つ優秀な機能のおかげで、自分は何もせずとも体が頑張って捨てようとしてくれるから、尚更やる気が湧かない。(夏も夏で魅力たっぷりで好きだけど!)
冬の寒さは、自分がじっとしているだけでは改善されない。着込んだり、温かいものを食べたり、カイロを貼ったり、各々の努力に委ねられる。
寂しさも同じだ。寂しさを改善しようと動かなければ、残念ながら何も変わらない。クリスマスやお正月など、人が集まるイベントが冬季に集中しているのはそのせいかな、と思ったりもした。
暑気払いより、新年会・忘年会が広く認知されていて、多く実施されるのも、それが理由かもしれない。
冬は、立て続けにやってくるイベントのおかげでなんとなくほわっと温かく楽しい気持ちになる。
キャンドルの火に当たっているイメージ。だからイベントが終わるごとにそのキャンドルがフッと消えていくみたいで、なんとも言い難い空虚感に襲われる。
寒いねと話しかければ寒いねと答える人のいる温かさ
ー俵万智
俵万智さんのこの歌に、冬の美しさの全てが詰まっていると思う。
冬という季節を通して、寒さを共有することの心の温かさ、そこから人とのつながりを1番強く感じられる。なんて素敵なことだろう!
オミクロン株の拡大で、今後店や施設の営業が制限されたり、旅行や集まりの自粛が呼びかけられていくだろう。寂しさをみんなで乗り越えることに冬の美しさを見出す私としては、この不穏な空気にグッと胸が詰まりそうになる。
こんなときだからこそ、寂しさに無理やり蓋をしてはいけないと感じる。
人間は寒さに弱い生き物だと自覚して、余計な抵抗はせず、でも、寂しさには敏感に、この冬は過ごしていきたい。皆さんも温かいものを食べて、「寂しい」ってきちんと口にして、カイロたくさん貼って、過ごしましょ〜🍲