ハルヒ「キョン!『四畳半タイムマシンブルース』を見るわよ!」
キョン「それって3週間限定で劇場公開されている四畳半神話大系の映画のことか?」
ハルヒ「そうよ!Disney+なんかに入るのも癪だし、やっぱり映画は映画館で見るのが筋ってものよ!」
キョン「わかったわかった。早速行くか」
ハルヒ「出発よ!」
ハルヒ「到着よ!」
キョン「早速見るか」
ハルヒ「見たわ!」
キョン「見たな」
ハルヒ「面白かったわね〜。やっぱりこのシンプルな話を仰々しい言葉で屁理屈づけられて行く感じは四畳半神話大系でしか味わえないわ!」
キョン「確かにそうだな」
ハルヒ「なおかつ映画としても面白かったわ!」
キョン「映画として?」
ハルヒ「いい?キョン。映画ってのはアニメみたいに話の区切りでクリフハンガーをすることは難しいし、小説みたいに途中で休憩を取らせることも難しいわ。だからそれ自体で完結してかつ観客を常に引き込んでいく必要があるの」
キョン「それでこの映画はそれができてたってことか」
ハルヒ「そうよ!確かに動き出しは遅かったけど、リモコンを巡ったつじつま合わせの大騒動は目が話せなかったし、謎をすべて解決して終わるラストは観る人への敬意も感じられたわ!」
キョン「確かにタイムトラベルものでよくある『一番最初の原因は何か』というパラドックスにしていないのは意外だったな」
ハルヒ「あれにはやられたわ……。出てきたタイムマシンが明らかにドラえもんオマージュだったし、そういうところもオマージュするのかと思ったけどちゃんと解決していったわよね……。SFとは呼べないけど矛盾はないのよね……」
キョン「しかしあれだな。やっぱり最初のところのダレはどうなんだ?俺はアニメを見てたから見知ったキャラが四畳半神話大系らしい言動をしているだけで面白かったが、一本の映画としてはマイナスポイントなんじゃないのか?」
ハルヒ「まったく!あんたはわかってないわね!それでもSOS団の一員かしら?」
キョン「悪かったな、ろくに入団テストも受けてないもんでな。だが実際動き出しが遅かったのは事実だろう?」
ハルヒ「そうね。でもそれは中盤から引っ張っていくためのフリでもあるし、四畳半神話大系らしいキャラの言動をファンに見せる意図もあったと思うわ。2回目の視聴の際にも楽しめる部分を作ったってのもあるのかもね。でも何よりもタイムパラドックスによる現実改変によって宇宙の消滅を回避するという動機づけのわかりやすい説明をするってのが一番の目的だったと思うわ」
キョン「だがそんなのはタイムトラベルものでは定番の流れだし、四畳半神話大系に出ているキャラだったら自ずから気づいて物語を進めることだってできたんじゃないのか?」
ハルヒ「バカねーアンタは、そんなことしたらSFになっちゃうじゃないの。科学的な説明を一切廃してこの物語はできてるの。そこ以外は矛盾しないし、最後のホワイトボードでの説明のようにわかりやすく解説もする。だけどタイムマシンが出ているからと言って安易にSFにはしない。四畳半神話大系としての矜持がそこにはあるのよ!」
キョン「なるほどな。つまり四畳半神話大系のキャラを使いつつ、一本の映画として完成しているってことか」
ハルヒ「やっとわかったのね。まあ、小さくとも団員の成長は喜ばしいものだわ」
キョン「そりゃ嬉しい限りだ。さてそろそろ出るか」
ハルヒ「そうね。さあ来週までに有希とみくるちゃん、古泉くんも連れてもう一回見に来るわよ!」
キョン「素晴らしい活動内容だな」
ハルヒ「遅れたら罰金よ!」