4月10日 コンプレックス #1
はじめまして。エッセイというものを書いてみることにしました。なんの面白味もない私の人生ですが、どなたかの琴線に触れられた日には嬉しく思います。さて、本題です。
今日こそ小説を書こう。
そうやって筆を執るたび、自分を見つめる時間を取るたびに、不安が押し寄せ、押しつぶされる。今回襲ってきた恐れは己のコンプレックスだった。
できないことはたくさんある。上を見ればキリがないのは当然のことだが、人生の中で遭遇した印象深い出来事でコンプレックスというものは決定するんだろう。
たとえばある新学期。歌が得意だと自己紹介する同級生がいた。特に仲良くなれたわけではないが、その堂々と自信に満ち溢れた態度は嫌でも記憶に残った。
それから、歌が苦手になった。
いや、正確には違う。薄々苦手だったこと、だが好きだったもの。そんなものが他人に奪われてしまうところに遭遇して、自分から遠ざけようとするんだろうな。
普段は自分のコンプレックスなんて気にせず、楽観的に過ごしているはずなのにふとした時に不安に苛まれるのだ……。
そんなことを書いていたらバカバカしくなりました。自己紹介も原稿もせずに何を言っているのかと。
私は売れない小説家です。そういえば聞こえはいいですが、若いころに認められた栄光に縋っているニートとも言えるでしょう。道楽にふけり、他人に金の無心をし、だらしなく生きている。それが私という人物です。あなたが私の連載を読んでくだされば、もっとたくさんのことをお教えできると思います。このエッセイは仕事の原稿をほっぽり出して趣味でやっていますので赤裸々に、かつ雄弁に、あなたに語り掛けます。応えてくれたら、とても嬉しい。
それではまたお会いしましょう。
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