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労働学生日記(2学期前半9週目)今学期振り返り1
気が付いたら、今学期前半が終わっていた。
休みなしに来週から後半のクラスが始まる。
そして、この後半9週間をもって、大学院のクラスが終わる。
忘れないうちに今学期前半を振り返っておこうと思う。
先学期と比べて少しだけ精神的に余裕ができたような気がしている。気がしているだけかもしれない。
また、今学期は選択科目のみだったので、自分の興味がある科目を選ぶことができ嬉しかった。
◆
先日、昨年の必須科目の成績が出揃った。
全体的にとてもよい成績をつけて頂いたが、正直言って満足のいく成績ではなかった科目があった。グループワークがあったクラスのひとつだ。
その後、ロシオの成績がキューバの女性のそれよりも低かったことを知った。
グループワークの点数の低さが自分の成績に響いていることは納得がいかないが、ロシオの成績をこのままにはしておけない。クラスにもほとんど来ずレポートを丸写しした人の方がロシオより成績がよいわけがない。
このクラスの先生にはグループの事情は伝えていなかった。
スペインでは成績が出た後に、学生側が成績の再評価を求めることは普通のことのようだ。日本から来た私はびっくりしたが、納得がいかない成績をもらった場合は、学生の権利として先生に評価のやり直しを求めることができるという。
やってみようじゃないか。
ロシオはやめてくれと言う。
これ以上嫌な思いをしたくないからだ。
しかし、私の暑苦しさに負けたのだろうか。
また、成績表を見た別のクラスメートから、
あなたたちは断固として先生に抗議するべきだというメッセージが届いたからだろうか。
ロシオは、自分も先生に連絡をすると言った。
早速、その日の夜に先生とビデオ電話で話すことになった。
しかし、ロシオはその日は授業があり参加できない。
先生は今日しか空いていない。
こうなったら私だけでやるしかない。
このクラスは2人の先生が担当していた。
パソコン画面に現れたのは、副担当の先生だった。
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◆
最初に先生が言った。
評価は既に終わっている。
グループの成績は見直さない。
見直すとしても、逆に成績が下がる場合が多い。
今から改めて成績を上げることはない。
グループのことにも介入しない。
私はこの先生が大変に好きであったため、先生の言葉にショックを受けた。
どうしたんだい唐草。
君は人類学部出身でないにもかかわらず、よい成績がついている。
何が不満なんだい?
人類学部出身であろうがなかろうが、学びたい気持ちは同じだ。知識の面では人類学部出身の人と比べて倍の努力が必要になるが、そこで区切られることには納得がいかない。
つい、そんなことを言ってしまった。
そして、そのまま続けた。
先生は、グループのダイナミクスについて関心は持たれませんか。
人類学者である先生が誰が書いたかわからない紙の提出物だけでグループを評価なさり、再評価を求める学生の話を聞こうとされないというのは、人類学を学ぶ学生として大変興味深く思います。
第三外国語なのをいいことに、めちゃくちゃ勝手でえらそうなことを言った。
そこから議論は思わぬ方向に発展した。
詳細は割愛するが、先生とは1時間半話をした。
途中からへとへとになり、先生もう電話切りますねと何度も言った。
しかし、先生は切らせてくれない。
夜の10時半。
私のスペイン語は限界を迎えた。
もう先生どうでもいいわ!どうかロシオの成績を上げてやって!!
それだけ言って、クラスに対する感謝の言葉とともに通話を終えた。
ロシオには、結局私は何もできなかったことを謝った。
もう忘れよう。
そう言いあって、次に進むことにした。
その後、成績表を見たほかのグループのクラスメートから連絡が届き、なぜあなたたちがあんな成績なのだと書いてあったのを見たら悲しくなった。
やれることはやった。
それでだめならしょうがない!
隣の部屋で私の闘いに耳を澄ませていた夫は言った。
よくやりましたよ。
あなたは先生と話そうかどうしようか迷っていましたが、やってよかったんです。
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◆
その夜は、ロシオへの申し訳ない気持ちと悔しさであまり寝られなかった。
グループメンバーに対しては、私の全体成績を下げやがって、こんちくしょうと自分勝手に思っていたが、考えてみればこれも含めてグループワークというものなのかもしれない。
電車の君、マヌエルは先週言ったっけ。
いいか唐草。
グループワークはな、誰とやるかが肝心だ。
自分のパートを責任もって作業するメンバーを探すんだ。
でも、初めての人だらけでわからないこともある。
はずれの場合はな、逃げるんだ。
いいな、逃げろよ!
朝起きたら、先生からメールが届いていた。
唐草、昨日はちゃんと休めたかい。
君との会話で学んだことがあった。
ありがとう。
君と知り合えたことを改めて嬉しく思う。
ところで、最終成績が出たのは知っているかい。
ふう
ため息をつきながら成績表を確認しにいく。
最終成績は自分の分しか見られないようになっている。
私の成績は変わっていた。
あれだけ上げないと言ったじゃないか。
戸惑っていると、同じ科目を担当しているメインの先生からメールが届いた。
昨夜2人で検討した結果、成績を上げることにしたと書いてある。
何が起きているかわからず、ロシオに連絡する。
ロシオは自分の成績をみてみると言って、電話を切った。
しばらくして、ロシオから連絡があった。
私のも上がってる!!上がってるよ!
ありがとう、唐草。
これはあなたが変えてくれた数字。
ロシオが静かに言った。
自分の成績が上がったことはもちろん嬉しいが、彼女の成績が上がったことがとても嬉しかった。
冷静になってから、先生2人にメールを書いた。
理由がわからないため戸惑っているが、再評価に感謝する。
何よりもロシオの成績を上げてくれてありがとう。
長くなったが、そんなわけで、noteに全然来られていなかった間、私はこんなことをやっていた。
こんなことをやっているから修論もnoteも進まない。
その後、疲れたのだろうか。
私は風邪をひき1週間休んだ。
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◆
最近の私は、博士課程への進学を考えている。
先日、学期末にプレゼンをした。
そのクラスは自分の修論テーマとも関係する内容であったため、大変暑苦しく参加していた。
私の発表中、先生は時折声をあげて笑った。
授業が終わり、課題を提出して帰ろうとしたときに先生がやってきた。
難しい内容だったけど、こんなに興味を持ってくれてありがとう。
そう言って、先生は私を抱きしめた。
ヨーロッパの修士は1年だ。仕事などとかけもちしている人は2年かけてやることもできるが、基本は1年で終わる。
私の研究と呼べるのかわからないが、人類学珍道中は始まったばかりだ。
初めてのフィードワークでは期待をよい意味で裏切られまくり、毎日皆さんと現場に翻弄されまくっている。机の上で考えていた仮説と、現場の状況がこんなに異なるとは思わなかった。
こんなおもしろいことを1年でやめるのはもったいない。
大学院の授業が始まったことで、私の生活は大きく変わった。
今は大学の授業とインターンで毎日外出している。
スペインに住み始めてから7年ほど、家から徒歩圏内の範囲で生活していた。
その反動だろうか。
私のことをよく知る地元のスペイン人の友人は、私の変化を喜んでくれている。
あなたが町から出るようになったなんてね!
いいことだわ。
最後の授業の後、帰るときに先生が言った。
唐草、6月に修論発表しなさいね。
博士課程に応募するには一番早い修論発表時期の6月に発表していることが条件よ。
なんて先生?
今は3月じゃないか。
できない言い訳はやまほどある。
同時に、夏に日本に帰る私は、いずれにしても夏までに修論を発表しておかないと、日本で書き続けることができるとは思えない。
じゃあもう6月にやってしまおうじゃないか。
なんてことをここに書くことで、自分を奮い立たせようとしているのかもしれない。
今まだ29ページ分しか書いてないけど。
しかし、スペイン人の考え方でいくと、もう三分の一終わってるやん!だ。
よし、あと三分の二だけやん!!
物事には勢いも大切だ。
もともと、私は仕事でもなんでも計画を前倒しで進める方だ。
しかし、大学院が始まってから、その日の予定をこなすことで精いっぱいになった。
次の日以降のことは考えられない。
でも、そんなときもあっていいのかもしれない。
20年間ずっとやりたかったことだもの。
振り返りは、揉まれに揉まれまくっているインターンに続きます。
にゃー!!!!!