きもの本棚㉘銀座もとじの『あたらしい着物』*私の着物選びを採点してみた
青山の八木、田園調布の秀やと共にメディアの露出の多い呉服店・銀座もとじの二代目・泉二啓太さんが出された本『人生を豊かにするあたらしい着物』。斬新な横書き。着姿はイラスト中心で、モデルさんを使っているのは着付けのページのみなのだ。
↓人気の呉服店をゼロから立ち上げた銀座もとじの創業者がこちら
銀座もとじは様々なポイントで、昭和の着物コーデと一線を画している。
イラストの着姿を見ると、帯締めと帯揚げに同色を用いない。フォーマルでは、古典モチーフをモダンな表現で描き、洒落着では趣味性の高い帯を軸に、色数を抑えてスッキリとまとめる。夢夢しい全体柄の花柄小紋も、帯締めにはシックな濃いお色目を使う。
4章の「着物をワードローブの選択肢のひとつにする」で、シチュエーションごとのコーデを、置き撮りの写真で提案をする中に「デート」や「式典」に混ざって「S N Sで目を引く着こなし」があるのには笑ってしまったが、銀座もとじさんはS N Sが 若者の着物回帰を後押し、和装の裾野が広がったと考えいているのだ。ちなみに、スマホ画面に映える着こなしは【メリハリ】【コントラスト】【大胆】がキーワードのようだ。
1章の「着物を知る7つの質問」のうち、「着物選びのポイントはありますか?」の回答を見て、自身の着物選びを採点してみた。
銀座もとじさんの提案は、お茶をやっている人なら、一枚目は色無地。色無地をフォーマルと考えれば、カジュアルな小紋・お召し・紬にカジュアルダウンするか、より、フォーマルな初釜用の訪問着を二枚目に推奨。そして、一枚目が袷なら、単衣をあつらえるのも良いとのお話だ。
で、私は着物選びをどうやってしていたかというと
私はお茶でなく三味線を習っているので、手に入れるべきは、発表会で着る舞台衣裳。「現在は地紋が七宝柄の色無地を着ています」と言うと、必ず「オススメは色無地ですね」と返される。これだと「劣化したので、買い替える」に近いのでは?
ひとまず、令和柄の色無地を誂えて、観劇にも着て行った。
……とはならなかった。
色無地を避けた理由は、私が成長行事に縁遠いこともある。その後、洋服の好きな色(玉子色、サーモンピンク)の着物が似合わず、売り場で「いらんもんは、いらん」と言っているうちに、私は嫌いなものなら、わかるんだけど、好きなものがわからない人になってしまった……。
いっそのこと、1番を飛ばして、2番の「手に取りやすい」「既製品を試してみる」を決行! 色無地の流れで、江戸小紋にターゲットを絞った。
ところが、プレタの江戸小紋は型染めではなく捺染印刷なので、模様の角が均一でくっきりしている。地色の白がギラギラして見えて、これを呉服屋さんでは「白目立ちする」と言うらしい。
ギラギラをポップに着られるクロを選んだが、演奏会では避けるべき色なので、プライベートなおでかけ用の洒落着として収まった。
春が来て、単衣の季節に。同じ印刷でも、紬ならギラギラしなくていいだろうと、染めの紬。発表会は袷の時期にあるので、こちらもまた、おでかけ用の洒落着。
夏の薄物は着るかどうかわからないので、丁子色の取り扱いの多い大人可愛いリユース店にて、調達。ベージュ系には出会えず、紺の縞だ。サイズも若干大きいが、裄丈だけを直す。なぜだか、これは評判が良い。
そして、再びステージ衣裳に江戸小紋を探す。
こんな風にお目当ての周りをぐるぐるしているうちに、丸と直線ばかり、集まってしまった。私の着物選びは40点くらいかな? さて、あなたは何点?