宝塚・花組公演『エンジェリックライ』『ジュビリー』*百花繚乱のレビューに開眼
先週末に楽日を迎えた宝塚・花組の感想です。歌舞伎も観て、宝塚も観るという人は歌舞伎座の場面転換のトンテンカンテンに「?」となるそうだ。なるほど、宝塚劇場の場面転換は見事だった。例えば、ロココ風にデザインした金の手摺りの付いた階段のような、橋のようなセット回転させ、横向きに、縦向きにと、何場面にも使い分けていた。
舞台セットとしてなにより、重要なのは群舞だ。
衣裳を通して天界と地上との違いを伝え、「驚く」「呆れる」など、劇中の主役の境遇を一瞬の動きで作ってしまう。砂鉄のように主役の磁力に引きつけられる群衆を、2階席から、俯瞰で眺めるのは面白かった。
『エンジェリックライ』は人間界に落とされた美貌の天使アザゼル(永久輝せあ)が、地上でエレナ(星空美咲)と出会い、大富豪のフェデリコ(凪七瑠海)から、秘宝「ソロモンの指輪」を盗もうとする話。トップスターはすこぶる美しく、娘役の「実力派」星空美咲さんは表現が豊かだった。
そして、レビューの『ジュビリー』は令和6年に新しいトップスターを誕生させた花組の祝祭のショーだ。時代の転換点に相応しく、内容は(極端に)前向き。「ここから未来が始まる」「今日が記念日」とポジティブなワードが並ぶ。ワクワクが積み重なっていくのも、気分がいいものだ。ふわふわの衣裳が続く中、赤いスーツの、高校生がダンス選手権で真似をしそうな男役だけのダンスは、インパクトあった。