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2023年初春に木綿着物は手触りバツグン。でも、油断は禁物だよという話

目黒にある「時代布・池田」さんから帰った私は、改めて、木綿着物と一緒に貰ったパンフレットを眺めた。

経糸に三種類の太さの糸を使う片貝木綿は表面に凹凸があり、触れるとザラザラしている。糸を強く撚らないため、布地に含まれる空気の量が多いとかで、なるほど、柔らかい。表面の摩擦のせいか、手で押さえていた部分がズルッと抜け落ちたりせず、ビギナーにとっては無敵の着物なのだ。

着て行くと良いのは旅行先で訪れるような場所で、鎌倉の散策とか、美術館、博物館など、神経質にならずに闊歩するのが楽しい。寄席にも行ってみたいけど、とりあえず、近所の映画館に行ってみた。

私には三味線の発表会という目標があるので、短時間で着付けたい。上映開始時間というリミットが丁度良い。

案の定、バスに乗る計画が間に合わなくなって、映画館までタクシーを使った。そして、混み合う交差点の手前でタクシーを降り、横断歩道まで、車道を走ったりした。演奏の重圧に比べれば、ガードレールと車の間を縫って歩くなんて、へーちゃらなのである。

ただ、袖口がスカスカするので、肘まであるロング手袋を買うことにした。もたつくと危険なので、指先が切れてるタイプだ。お陰様で、手袋の温もりを感じたまま、初詣の屋台で、ベビーカステラを摘むことができた。

さて、帰りが遅くなったので、駅ビルのレストラン街でテイクアウトを電話注文した。ピックアップのため、駅ビルへ行くと、エレベーターですれ違った女の子が着物姿の私を睨んだ。全身オフホワイトでコーデした綺麗な女の子だった。

慌てて、トイレでチェックしたが、特に変化はなく、膝下まである羽織りですっぽり包まれている。けれども、今度は子連れのママにチラ見された。この人も綺麗な女性で、私はロング手袋で、着物に馴れ馴れしくし過ぎたと、密かに反省したのである。

木綿着物に、油断大敵を教えられたエピソード。

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