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「回避性愛着障害 絆が希薄な人たち」(岡田尊司・著)を読んで

先日の発達障害グレーゾーンの本を読んで、グレーゾーンの人は愛着の問題を抱えている人たちが少なくないと書いてあったので、本書に興味を持ちました。親からの虐待があったわけでもないし、両親共に健在だし、自分なんかが当てはまるのだろうか?と思いましたが、ネットで愛着障害の診断をやったら、「恐れ・回避型」にしっかり当てはまり、「未解決型」もギリギリ当てはまったので、本書を読んでみることにしました。

自分のことが一番わからないというのは本当にそうなんですが、じゃあわからなくても良いのかというと、そうでもないと思います。そこは個々が自分について知ろうという意思があるかどうかに委ねられてくるので、どうしても知らないといけないわけではないですが、自分は今関心を持っています。

前の職場で、社長から雇い止めを言い渡された時に「うつというのは、必ずしも仕事がハードだからなるものではなく、内面的な問題なんです」と訴えましたが、全然聞いてもらえませんでした。実は自分でもあまりよくわかっていないのに口に出した言葉ではありましたが、本書を読んで本当にそうだなと思いました。精神疾患になってしまう原因というのは、必ずしも激務で調子を崩すとか、家庭内にわかりやすい問題があるからというわけではないのだと。なぜメンタルが弱いのか?甘やかされたから?そうだとしたら、なぜ親は自分を甘やかしたのか?という分析をしないと問題が見えてきません。また、分析をする上で少なくとも自分は嫌なことに目を向けなくてはならず、思い出すのが辛いので向き合い切れていないです。

自分は昔から、子供っぽい印象を持たれたり、その根幹に根差している厳格な側面を汲み取られて過剰に遜られたりして、そのどちらも正解ではないので、少々面倒な性格だなと思います。いわゆるアダルトチルドレンだと思われます。自分の問題を過度に大きくとらえても、過小評価しても原因がはっきり見えてこず、面倒だから放り投げてしまいたくなりますし、そんなに真剣に向き合わなくても良いかなとも思います。

デイケアや作業所に通っていた時期もありましたが、そういう場のスタッフというのは、自分よりは詳しいですが、知っていることを何でも教えてくれるわけではなかったり、わかっていても言いづらかったり気遣いで言わなかったりします。また、障がい者の中にいると、自分よりも障がいが重い人がいたり、大きな問題を抱えている人がいたりして、「自分なんか大したことないんだ」と委縮してしまい、問題が見えづらくなってしまいます。障がい者雇用で働いていた時も「○○さんも障がい者手帳持ってるんだよ。君だけが大変なわけじゃないんだよ」という論理でねじ伏せられてしまいました。そういう単純な問題ではないです。結局は自分で調べるなりしないと見えてきません。

本書を読んでみても、正直、自分の精神疾患の原因にぴったり一致する事例というのはわかりませんでした。ただ、母親の性格が支配的で、過保護だったと思い、過保護というのは子供の意思を無視する点でネグレクトと同じだという記述があったことと、父親が昔から放任主義で父親としての立場を放棄しており、普通にネグレクトだと思ったので、自分の家庭は問題があったんだとわかりました。その他、家庭内の人間関係が一番の問題で、それはトラウマなので思い出したくないです。特に暴力を振るわれたわけでもないし、お年玉はそこそこもらってましたし、旅行に行ったりもしました。そうすると、問題がよく見えてこなくなります。でも、本当に問題がなかったら、反抗期があって、対人恐怖にも陥らなかったはずで、自分自身のASD傾向も絡んでいるから、ややこしいです。

発達障害に関してもそうなんですが、一旦分析にハマってしまうと、原因の分析にばかり目が行ってしまいがちです。活躍している人たちが皆何の問題もないのかというと、そういう方もいるかも知れませんが、多くの人は、不安を克服して一歩踏み出しているのだと思います。自分も既に一歩踏み出しているくらいにはなっていると思います。ネット依存が酷かった頃は人と殆ど話せませんでしたし、少し前まではチャレンジしない人間でした。本書で事例として挙げられている人たちも、最終的には回避を克服しています。

じゃあ、何でもかんでも克服しないといけないのかというと、そうは思いません。最近は、あまりガツガツと人と話さないようにしたり、受け身的に動くことを選択したりしています。そういう思考自体が回避なんですが、必要以上に神経をすり減らしていたら、精神が摩耗してしまうので、主体的に回避行動を選択して、あまり疲れないようにしています。そのあたりのバランスというのは、何でも回避するのが良い人もいれば、何でも向き合っていくのが良い人もいれば、バランスを取るのがちょうど良い人もいると思います。自分はどちらかというと回避する方が合っており、何でも段階的に少しずつやっていこうと思っています。

本書にもあるように攻撃は最大の防御というのもそうですが、逃げるのも一手です。今はうまく交わしながら、攻めの姿勢で頑張っています。結局どうすれば良いのかというと、いろいろやってみて自分なりのやり方を模索していくしかなく、皆そうだというと語弊があるかも知れませんが、多くの人は模索しながらやっていると思います。

近年では発達障害やグレーゾーンと診断される方が多いと思うので、順番としてはそちらの方が先のほうが良いかなと思います。ただ、回避型の人は都市部や現代では増えているという記述もあり、思い当たる節がある人もいるかと思うので、自分をより深く知りたいという方は本書をご一読されてみてもよろしいかと思います。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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