『一休フォーラム 「一休と女性たち」 (学士会館 202号室)』〜遊女、禅僧、そして風俗画。中世の日本が現代に語りかけるもの
【内容】
一休と、晩年を共にした女性・森女(しんにょ)について、一休を巡る後世の創作や、その影響が浄土宗や浄土真宗に及ぼしたもの、また中世日本における遊女の社会的地位や役割についての講演。
【感想】
一休に関するフォーラムが開催されると聞いて興味を持ち、参加しました。また、開催場所が学士会館で、以前から前を通るたびに中が気になっていたこともありました。建物内は大理石やステンドグラスで飾られていて、趣深い雰囲気がありました。こうした機会でもないと訪れることはなかったかもしれず、来年から改装が始まると聞き、良いタイミングだったと感じています。
講演の内容も興味深かったですし、書籍だけでは伝わらない研究者の雰囲気や、その場ならではの「ノリ」を感じられたのも新鮮でした。
時代の流れの中で、一休が生きた15世紀前半の日本の社会と、現代日本の状況が重なって見えてくる瞬間もあり、日本中世史への興味がさらに深まりました。
講演では、僧侶の袖を引く遊女の絵が資料として紹介されましたが、先日訪れた展覧会で観た英一蝶の作品が、こうした風俗画の流れの中にあることを再認識しました。
また、中世の流行歌である小歌と禅僧が近しい関係にあり、小歌の中には禅林文学がそのまま歌になったものが多く含まれているとのことでした。
中世日本では、遊女が歌謡を司り、芸能は身分の低い人々が担っていたとのことです。対して最近は、昨年のM-1で優勝した令和ロマン(慶應大学出身)をはじめとした高学歴のコメディアンや、慶應大学や早稲田大学出身のミュージシャンが多く登場しており、こうした変化を社会学的にどのように捉えられるのか、興味が湧きました。そうした分析があれば、ぜひ読んでみたいものです。
また、近年の研究を反映した日本中世史に関する書籍も、ぜひ読んでみたいと思いました。