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『チェーンソーマン(アニメシリーズ 第1シーズン)』~ジャンプ漫画の進化系、デンジと『チェンソーマン』の新しいカタルシス(感想2回目)

視聴環境:Amazon prime video


【内容】
悪魔が出没する現代日本を舞台に、悪魔の力を身につけたデンジがデビルハンターとして、悪魔と戦う。


【感想】
映画『ルックバック』が良かったので、同じ漫画家による『チェンソーマン』を観直してみました。観直すと、意外にもバックグラウンドで邪魔をせず、さらりと視聴できる心地よさがあります。当初、ジャンプ漫画ながらかなり凄惨な内容だと感じていましたが、今回の視聴ではそれが妙に心地良くも感じられ、時代の空気を体現しているようにも思えました。『ルックバック』とも通底した物語性を感じつつも、バイオレンスさでいえば永井豪作品の系列にあるような作品だなと再認識しました。
そうでありつつも、スカした雰囲気でありながら、無様なまでに真っ直ぐ心情をさらけ出しているような、不思議な世界観と展開。そこにギャグが絶妙に混ざり、凄惨な状況と笑いが同居する独特な感覚が生まれている。
暴力、食欲、性欲…
アニメのクオリティも高く、アクションパートはもちろん、日常シーンの奇妙さとキャラクターの強烈さが相まって、どんどん引き込まれ、「キャラクターが立っている」とはこういうことなのかと実感します。子供の空想や中高生の妄想、青年期の幻想など、様々な年代における“言いがたい成分”がこの歪で魅力的な物語に集約されている気がしました。
男性キャラクターも一癖ありますが、女性キャラクターがさらに個性的で相当ヤバい存在です。聖女としても、格下としても扱わない独特な視点から、むしろ最も可憐で大人しそうな美少女が実は一番卑屈でダークな性格だったりするのも面白いです。人間全体を乾いた視線で、神の視点で見ているようで、それでも「こういうものだよな」と楽しむ、子供の頃にやったアリの巣に水でもかけているようなあの感覚で見ているような…
男女や人間という存在を、一皮剥けば「こういうものだよね」として、少し突き放したようなユニークな人間観を感じます。
主人公デンジも、絶えず裏切られながらもそれをデフォルトとして受け止め、ベタつかない潔さで生き抜いていく様子がある種の爽快感(カタルシス?)を与えてくれます。キラーフレーズを呟きつつ乾いた笑いもあり、ジャンプ漫画の進化を感じました。

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