『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(アニメシリーズ 1話〜最終話)』〜青春×サスペンス×SF!ジャンルを超えた次世代アニメ体験
視聴環境:Amazon prime video
※ネタバレします。
【内容】
突如、現れた巨大宇宙船が現れた現代の東京での女子高生を中心とした群衆劇。
浅野いにおの漫画を原作としたアニメ作品。
【感想】
この作品は、青春群像劇でありながらサスペンスやパニック要素を盛り込み、家族の物語でありながら世紀末的なテーマも内包するなど、多彩なジャンルが織り込まれています。しかし驚くべきことに、それらが混在しているにもかかわらず、とっ散らかった印象を受けることがありません。むしろ、これらの要素が巧みに絡み合い、物語全体に独特の統一感がありました。
主人公である女子高生・鳳蘭(オウラン)のキャラクター設定も非常に興味深かったです。一般的な美少女像に安易に落とし込むことなく、よだれや鼻水を垂らしながら意味不明なことを語り出すという、一見破天荒なキャラクター。しかしその裏には、勉強ができて頭脳明晰という意外な側面があり、このギャップが強い実在感を生み出しています。
原作漫画でのキャラクターの立たせ方が優れているのはもちろんのこと、アニメーション化により動きと声が加わることで、そのリアリティがさらに高まっていると感じました。
主人公の声を担当したのは、ミュージシャンのあのと幾田りら(YOASOBI)という人気もののキャスティング。こうした話題性重視の配役は、往々にして期待外れに終わることもありますが、この2人は違いました。
幾田りらは、まるでプロの声優のように安定感のある演技を披露。一方、あのは難解なキャラクターを持ち前のトーンやニュアンスを活かして見事に演じきり、彼女にしかできない独自の世界観を表現していました。ミュージシャンとして培った音感やリズム感が、演技にも活かされているのでしょう。複雑でトリッキーな楽曲を手掛けてきた経験が、声優としてのパフォーマンスにもつながっているのではないかと感じました。
さらに、この作品には過去の漫画作品へのオマージュが随所に見られます。『ドラえもん』の「タケコプター」や『おそ松くん』、水木しげるのキャラクターを彷彿とさせる表現が取り入れられており、作品全体に懐かしさと新しさが同居しています。この物語の文脈としての豊かさに貢献していると感じました。
物語の骨子には、映画『第9地区』のような「文明は進んでいるが個としては弱い宇宙人」という設定や、『君の名は。』を彷彿とさせるストーリー展開が盛り込まれています。これらをベースにしながらも、次々と先が気になる展開を繰り広げられていました。
青春群像劇として始まる物語は、やがて「個人の物語が世界の趨勢を決める」という“世界系”の発展形へと進化します。その中でタイムリープ要素やメタバース的な世界線の分岐が絡み合い、観客を圧倒するスケールを見せます。
この作品は、一見すると複雑な構造を持ちながらも、最後までスムーズに観ることができ、観終わった後には爽快感が残りました。アニメーションのクオリティの高さや映像センスの次世代性も、物語全体を引き立てていました。
様々な要素をこれほどのバランスで融合させ、さらに観客に感動と余韻を与える作品は、まさに「次世代のアニメーション」だなあと、脳天カチ割られたような作品だと感じました。
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