『海に眠るダイヤモンド(ドラマシリーズ 1話〜最終話)』〜『ガラスの仮面』級の迫力!杉咲花の演技が光るスタードラマの傑作
視聴環境:U-NEXT
【内容】
2018年、歌舞伎町の売れないホストの礼央(神木隆之介)のもとに通いプロポーズする謎の老人いづみ(宮本信子)。
1955年、宮本信子が若い頃に暮らしていた軍艦島(端島)で、玲央と瓜二つの容貌をした青年の鉄平(神木隆之介)の物語。
2つの時代の物語が交互に進行して行く。
【感想】
話題になっていたので、配信で後追い視聴。
これは、今をときめく実力派若手俳優たちが共演する、まさにスター映画ならぬ「スタードラマ」でした。
大規模なセットやCGで再現された往時の軍艦島(端島)の映像は圧巻。その島に住む神木隆之介を中心に、彼に惹かれる3人の女性、杉咲花、池田エライザ、土屋太鳳が織りなす人間模様。主演を張れる実力派女優たちの熱演が、物語をさらに深めていました。
※ここからかなりネタバレします。
観ているうちに、脇役のキャストたちもどんどん演技の輝きを増していきます。その中でも圧倒的だったのは、端島の食堂店員役を演じた杉咲花。物語冒頭から、彼女の存在感が群を抜いていました。まるで『ガラスの仮面』の天才役者・北島マヤを彷彿とさせるほどの圧巻の演技力。実際、このドラマの展開もどこか『ガラスの仮面』的な雰囲気を感じさせる部分がありました(実際にはそちらには進みませんが…)。
関係ないですが、杉咲花主演で『ガラスの仮面』をドラマ化してほしいと妄想してしまいました。是枝裕和監督あたりが手掛けたら名作になるのでは、なんて勝手に想像してしまいました(現実には実現しないでしょうが…)。
杉咲花の演技は全編で素晴らしかったですが、特に印象に残ったのは、主人公・鉄平(神木隆之介)が彼女に告白するシーン。その初々しさは圧倒的でした。遠景から望遠レンズで撮影された2人の姿は、まるでテレビのドッキリ企画で初告白をする若いカップルを見ているようなリアルさ。杉咲花が演じる恋する乙女の初々しく愛おしい姿に、フィクションであることを忘れてしまうほど感動しました。
「本当に良かった、幸せになってほしい…」
そんな思いが込み上げてくるシーンで、演技だと分かっていながらも、魂のレベルでこれはノンフィクションだと感じました。
その分、ハッピーエンドに向かうかと思われた展開からのラストが切なすぎて、切なすぎて…
そして、最後の最後に、現在の軍艦島へ宮本信子と神木隆之介が訪れての展開…
さらに、終わりの方のカットでの海沿いのコスモス畠、そしてわ入れない軍艦島の最上階にある人知れず置かれた鉄平の作ったガラスのコップという巧みな小物使いの見事さ!
そして、今の時代への再生の物語となっていく展開へ!!
全10話、内容はぎっしり詰まっているのに早足に感じることはなく、優れた脚本、演出、そして役者陣が見事に融合していました。主題歌もピンポイントで効果的に流れるのみで、オープニングやエンディングがない構成。そのおかげで、一気見しても中断されることなく、濃密な世界観に浸ることができました。
改めて、骨太なドラマを作り上げるTBSの実力も感じました。
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