微炭酸
変な青の空。コーラルピンクの雲と赤い光線。
1番近くにいてくれた人。
これからは手を伸ばしても遠すぎて、いや、近いのだけど掴めない、もう触れられないのだ。
精神安定剤をまた一つ失った。
新しい薬を使いすぎてもう使えなくしてしまった。
もうこれ以上使えないんだって。
1番好きだった感触もあなたの纏った空気もまだ全部残っていて、むしろ今まで見えていた苦手だった部分だけが心から消しゴムで消されてしまった。思い出という言葉の中に閉じ込めておくにはあまりにも惜しくて愛おしい記憶。
もう注がれない、手にする事はできないとわかっていても、求めて、欲しくてたまらなくなってしまって、心の中で大きく膨らみすぎたとわかったとき、大きな音を立てて弾けて消えた。
手を伸ばしたものは離れて無くなってしまって姿形を変えてしまうけれど、それがこの世の為になら、この世が幸せなら、思い出という炭酸水の中にときどき浸かればいい。
それでも満足出来なくなったら深く深く沈んでしまおう。
現実の私と過去の自分。共に晦ましあってこのまま溶けて無くなってしまえばいいのに。
時が経ったらあの頃は甘酸っぱかったなんて笑っていられるかな。
空が桃色になって、何時しか空気までピンク色に染まって。空はどんどん紫に傾いていってやがて深い闇の中に沈んでいく。
深紫に染まった街の中を人々はまた進んでいく。
そんな闇の中に浮かんだ月と星は人々を美しく照らして惑わせた。
※再投稿です