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1-5 誰もきみのことを想ってない
退職に必ずつきまとうのが“慰留”である。
転職ノウハウ情報には「労働者には退職の自由が認められているので、無理な慰留に応じる必要はない」と書かれている。
法律的にはそうかもしれないがそれはあくまで最終手段であり、現実の慰留場面でそんな杓子定規のことを言える雰囲気ではない。あなたもそんな法律論を聞きたい訳ではないだろう。極めて面倒くさい慰留対応をどう乗り切ればいいのか、そこが最大の関心ごとではないだろうか。
私も退職の数だけ(自営業は除く)慰留をされてきた。あなたも特殊な事情がない限り必ず慰留に合うだろう。そんな慰留だが、一言にイリュウといっても、様々な人が様々な理由で慰留をしてくる。
私の経験上それらは二つに大別することができる。「退職者のための慰留」と「説得者のための慰留」である。そして残念なことに後者が9割であるように思われ、退職者のことを考えて慰留してくれる人は実は少ない。
説得者のための慰留でよくあるものは、退職者が辞めると“自分の仕事が増える”、“自分の人事評価が下がる”、“欠員補充が面倒くさい”という理由である。
言うことは前者も後者も大体一緒で最初は“あなたのため”を装っているが、その人があなたのために慰留しているのか、自分のために慰留しているのか、よく見極めることが必要である。
あなたのことを想っての慰留であれば誠意をもった対応でできるだけ退職への理解を得たいところだが、自分の都合で慰留してくる輩には無の境地でできるだけテキトーな省エネ対応をすることをお勧めしたい。
人をテキトーな態度であしらうことに抵抗があるかもしれないし、心が痛むかもしれない。
しかし気に病む必要はない。
誰も君のことを想っていないのだから。