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【百秘本051】いったい、誰が本当の悪人なのか?わからなくなる

百秘本ご購入のルール

一、タイトル秘密です。
二、返品はできません。
三、他の人には教えないでください。

この本を百秘本にした理由

もし、人を殺した人と一緒に逃げることになったとしたら、あなたはどうするだろうか。そして、その人のことを好きになってしまったとすれば、どうするだろうか。様々な人が交錯し、かつ、様々な人の心の動きや機微を見事に描き切ります。それゆえに、誰が本当に悪人で誰が善人なのか、わからなくなります。少なくとも、善人は世の中にはいないのではないかとすら思ってしまいます。ただ、ただ、その人にとっての優しい人がいる。犯人はまさにそういう人でした。

百秘本を楽しむ方法

  1. 百秘本に書かれているコメントを読み、直感を信じてご購入ください。

  2. 百秘本をお楽しみください。

  3. 読んだ感想はタイトルを伏せて、百選本専用の#(ハッシュタグ)をつけてInstagramやXで投稿してください。

  4. ”つながるハッシュタグ”をSNSで検索し、その投稿に対してコメントを送ってみましょう。また、同じように送られたコメントに対して、返信してみましょう。

  5. 百選本のカバーに記されている”次に読む本”を参考に次の百秘本/百選本を選んでみましょう。

百秘本の”つながるハッシュタグ”

下のハッシュタグをつけて、InstagramやXで感想を発信して下さい。また他の読者の感想をさがしてコメントして下さい。ただし、まだ百秘本を読んでいないお客様のために、本のタイトルがわかる発信はお控えください。

#百秘本051 ※数字は半角で

また、以下のハッシュタグも合わせて使うことにより、他の百秘本を読んだお客様とつながることもできるかもしれません。

#百秘本
#天狼院書店

ご交流はお互いにマナーを守り、ポジティブな内容でお楽しみください。
天狼院書店へのコメントもお待ちしております。

これからの百秘本

百秘本では、これから様々なプロジェクトをご用意しております。MOVIEやライブイベントなども水面下で準備を進めております。すべての百秘本を攻略するとーー
このさきは、まだ”秘密”です。
天狼院書店のInstagramやX、または#百秘本で検索するか、店頭でご確認ください。この一冊の百秘本はまだまだ入口に過ぎません。

天狼院書店のSNS

天狼院書店公式Instagram

天狼院書店公式X

■ 百秘本物語051スクリーンプレイ

うず高く積上げられた本が林立する空間。
リーディング・チェアに座り、喰らいつくように、真剣に本を読む若い女性051がいる。
彼女は黒いカバーが掛けられた文庫本を読んでいる。顔に疲労が滲んでいる。目頭を押さえてため息をはく。
そのカバーには「051」の文字が白いペンで書かれている。
まもなく読み終える。
読み終えて、短いため息をついた瞬間に、見えないスピーカーからマイクが入れられる音がして、その女性051はビクリとして目を見開く、息を詰めるようにして辺りを見回す。
優しげな男性の声がその狭い空間に響く。
男『お時間になりましたが、読了、されましたでしょうか』
051「もう、本当にこれで終わりにしてください。お願いします。これ以上だと、頭痛がひどくなりそうです」
051は、あらかじめ用意していたかのように慎重に言葉を紡ぐ。
少しの間を置いて、
男『読了、されましたでしょうか』
051は観念したように、苛立ちを滲ませて、
051「読みましたよ! 今度もちゃんと読みました! なぜ、この状況でこの作品を読ませるんですか? この本のヒロインのように、犯人に共感する人間なんて、実際はいないと思いますよ。愛情なんてもってのほかです。恨みしかないはずです」
男『なるほど、あなたはこの物語の登場人物に共感できなかった。そして、犯人に共感する人間は皆無だと、そう仰りたいんですね』
落胆の滲む声に、051は焦って言う。
051「言い過ぎたかもしれません。正確に言うと、私は犯人とヒロインには共感できませんでしたが、実際に共感する人もいるとは思いました。私ではない誰かなら、犯人へ共感も同情もするのではないでしょうか。少なくとも、私ではない、ということです」
男『なるほど、扱いにくい私ではなく、違う誰かを私の代わりに連れてくればいい、と仰りたいのですね。無闇に助けてくれというのではなく、代替案を提示されている。さすがです。あなたはやはり頭脳が明晰なようです』
051は、しまった、というように顔をしかめる。
男『また、惜しくなりましたよ、このまま帰すのが』
051「もう、本当にお願いします。もう一冊なんて、読めません。もう一日中本を読んでいて、もう頭が痛くて読めないんです。これで帰してください。本当にお願いします」
男『まだ、読んでくださいとは言っていませんでしたが、それだけ読みたいのなら仕方ありませんね。あなたのためにもう1冊用意しましょうか』
051『待って、本当に待ってください。すみませんでした。もう、読みたくなんです。帰してください。もうここに来てから、15時間以上は経ってますよね? 本当に親が心配性で、警察に捜索願など出してしまうと迷惑をかけてしまうと思うんです』
鼻で笑うようにして、
男『私を心配してくれるんですか。ありがたいですが、それは無用です。先ほどの代替案も、すでに実行していることなので、心配には及びません』
051『え? すでに実行しているって、私以外にもいるってことですか?』
周りを見回しながら言う。
機先を制するように、男は強い語調で言う。
男『叫んでも無駄です。決してお互いには聞こえない関係性にありますから、無駄なカロリー消費はやめましょう。まだまだ、先は長いので』
051「あなたの目的はなんですか? 何をしたいんですか?」
男『目的、ですか。それは難しい質問です。答えられないように、プロトコルが設定されていますので』
051「プロトコル・・・・・・」
男『はい、そうです。プロトコルです。ただし、この質問に正しく答えていただければ、プロトコルに干渉しないレベルで、類推してもらえるかもしれません。答えていただけますか?』
051は、コクリと頷く。
男『読んだ本は、面白かったですか?』
051は、一瞬、質問の意図がわからず、答えに詰まる。
051「それが、質問ですか? 本が面白かったか?」
男『はい、そうです』
最初はためらうように、最後は確信的に、
051「面白かった、です。はい、この小説はとても面白かったです」
男『それでしたら、よかったです。次に読んでいただく本は、082にしましょうか』
051、遮るように強く、
051「待ってください!」
こともなげに、
男『どうかしましたか? 一旦、8時間ほど睡眠を取ったのちに、再開することもできますが』
観念したように、そして開き直って、
051「読みます・・・・・・、読めばいいんでしょ! 速読しても問題ないですよね?」
男『はい、読んでいただければ、手段は問いません』
051「だったら、すぐに読み終えると思うから、ちょっと待ってて。これで終わりにする、絶対に。これで帰るから、絶対に!」
男『それは、あなた次第です。では、082をお楽しみください』
とマイクが切れる男が無情に響く。
それに追いすがるように、待って、と言おうとするのを断念して、
黒いカバーに082の文字が書かれた文庫本を乱雑に手に取る。

百秘本物語

※MOVIE版『百秘本物語』は天狼院書店公式Instagramで配信中です。

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