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【意見求む】Quadratic Votingを日本の選挙で活かせないか?を本気で考えてみた

こんにちは!tenpapaです!

Quadratic Votingの可能性」と題した記事を先日公開し、その中で現行の選挙制度を変える仕組みをQuadratic Votingで考える!と宣言していました。

そのアイデアが一旦固まったので、記事に起こして公開してみます。

最終レポートは公開しちゃダメ!などの制限ないので、折角であればアイデアをオープンにし、頂けるのであれば意見もらえる方が楽しいだろうと思ってのアクションです :)

ちなみに、この授業を提供している千葉工大の変革センターのTwitterは下記ですので、気になる方はチェックしてみてください!

下記から本章が始まりますが、レポートチックな書き方であることご了承くださいませm(_ _)m



必須トピック

  • 得意分野、興味関心分野→民主主義

  • 活用したいweb3の技術→ブロックチェーン・トークン(ソウルバウンドトークン)・Quadratic Voting

  • 自分なりに考えた日常生活、学業、ビジネス等にweb3の適用シーン→現状の社会に適合した理想の民主主義を実現するための新しい選挙制度

  • 本講座を通して得た技術的スキル・気づき→web3技術を利用しない世界では住民台帳にて記録されている日本国民のデータの一人ひとりに投票券を配布し、その投票券で投票してもらうしか出来ないけれど、web3技術を用いることで一層高度な選挙制度を実現することが出来る可能性がある

要約

ブロックチェーン・トークン(ソウルバウンドトークン)・Quadratic Votingというweb3にて活用できる技術で現行の選挙制度を、今の時代に則した制度にアップデートする

課題

現在の日本において民主主義が理想的に運営できているのか?と問われると、出来ているとは言い難い現状がある

民主主義とは国民に主権があり、民主主義国家として正常に機能するための手段として「選挙制度」が存在する

選挙制度を通じて、国民が国家運営を国民の代表者となる政治家に委任し、政治家が国民の代表として代理で国を動かすことになる

「民主主義は、多数決原理の諸原則と、個人および少数派の権利を組み合わせたものを基盤としている。民主主義国はすべて、多数派の意思を尊重する一方で、個人および少数派集団の基本的な権利を熱心に擁護する。」とアメリカでは定義されている

しかし、現状の日本の選挙を見てみると、選挙で投票している人は偏りがあり、特に50代以上の人たちの意見が政治に反映されていることが、年代別の投票率から分かる。

総務省のHPより

また、例え投票率がすべての年代別で100%になったとしても、人口的に50歳以上の人たちが6000万人おり(60歳以上は4360万人)、選挙権を持つ人達の約6割を占めていることから、18歳〜40代の人がどれだけ投票に行っても、構造的に50歳以上の人たちの投票力に勝てないのである。※総務省統計局より

「民主主義は、多数決原理の諸原則と、個人および少数派の権利を組み合わせたものを基盤としている。民主主義国はすべて、多数派の意思を尊重する一方で、個人および少数派集団の基本的な権利を熱心に擁護する。」

と先ほど述べたが、その定義通りでいくならば、選挙権を持つ国民の約6割が50代以上なのであれば、それをそのまま受け入れる事が正しいとも考えられるのも一つの意見だろう。

しかし、私が考えるに、国民一人ひとりの意見を満遍なく集め、それを国家としての政治に活かすという意味では、どの年代においても平等の投票力を持つ必要があると思う。

つまり、現状の年代別における投票力の格差を無くしていく事で、すべての年齢層の選挙権を持つ国民の意見を集められると考えるのである。

課題へのアプローチ方法

課題で挙げた投票力の格差は、1人1票という仕組みになっている事が原因と考えられる。1人1票であるという事は、構造的に選挙権を持つ年齢層が多い所が勝つという事である。

これをweb3のテクノロジーで変えることが出来ると考えている。具体的には下記の2つのアプローチを取ることが望ましいと考えた。

年齢層別の選挙権トークンの発行

あくまで国民全員がウォレットを取得し、トークンを受け取れる状態にある前提での話になってしまうが、投票券を現行の紙ではなく、トークンに変更する事を行う。
※全国民がウォレットを取得することは大変そうにみえるが、Joiさんのweekly gmにてマイナンバーカードを使ったウォレット作成が出来ていたので将来的にはウォレットが全員に行き渡る日も遠くはないかもしれない

この際のトークンはSBT(ソウルバウンドトークン)を活用するようにし、現行の投票券同様に他の人に譲ったり、売ったり出来ない仕組みにする。※千葉工大のweb3の学習歴証明書もSBTが利用されている

その上で、それぞれの年齢層の人口分布を加味して、トークンを配布する。

tenpapa作成

僕自身が数学が苦手なので、上記の方法で良いか?は確証はないが、たぶん考え方としては合っていると思っている。

上記の例としては、20代が50人、40代が100人、60代が150人を想定する。平均は40代の100人なので、ここに99トークンを配布する。※配布するトークン数を100にしていないのは、のちのQuadratic Votingを導入する際に不都合が生じるためである

すると40代は100人×99トークンなので、9900という数字が出てくる。これを40代の「投票力」と呼ぶならば、他の年代も同じ投票力にすれば、年代別の投票力の格差を減らせることになる。

20代の場合には50人しかいないので、9900という投票力を獲得するには、1人あたり198トークンを持てば良いことになる(9900÷50人)。また、60代は150人もいるので、1人あたり66トークンを持てば良いことになる(9900÷150人)。

こうすればすべての年代で同じ投票力を持つことが出来、年代別の投票力の格差を理論上は埋めることが出来るはずである。

Quadratic Votingの導入による多様性の創造

Quadratic Votingを導入しなければ、先ほどの配布するトークン数は100でも良いことになるが、Quadratic Votingを導入する事で選挙結果に多様性を生み出せることが出来る。※Quadraticとは二次関数のこと

選挙結果への多様性、という観点からは現行の小選挙区比例代表並立制がまさにその目的で導入されており、ただ単に投票力の格差を無くすだけでは現行制度のアップデートにならないと考え、Quadratic Votingの導入を検討した。

Quadratic Votingでは、1票を投じるには1トークンで済むが、2票を投じようとすると4トークン使う必要があるという仕組みである(3票であれば、3の2乗で9トークン、4票であれば、16トークン必要)。

この仕組みを使うことで自分のこだわりの強さをトークンで表現することが出来る。

また、配布するトークン数を何かの数字の2乗にしない事で、余ったトークンを他の候補者に使う必要があるため、投票に多様性を生み出すことが出来るのも特徴である。

例えば、40代が配布された99トークンをすべて使うには、仮に1人の候補者に強いこだわりがあったとしても9票(9の2乗で81トークン)しか入れられず、18トークンが余ることになるため、トークンを使い切るためにはその分、他の候補者に投票をする必要があるという事である。

ただし、40代が99トークンの使う際、9票で81トークンを使った余りが18トークンに対し、
20代が198トークンを使う際、14票で196トークンを使った余りが2トークンなので多様性への不平等が残るのは課題である。

アプローチ方法の実現性

課題解決のアプローチとして挙げた「Quadratic Voting」は台湾のデジタル大臣であるオードリータン氏によって既に運用が開始されている。台湾では国が主催するハッカソンでQuadratic Votingを取り入れ、多様な意見が反映されるような仕組みを構築している。

つまり、台湾では選挙制度までQuadratic Votingになっている訳ではないという点は事実であるが、日本がweb3先進国を掲げて動いている現在、世界に先駆けてQuadratic Votingを選挙制度に取り入れる事は民主主義の新しいカタチを示す上でも良いのではないだろうか。

オードリータン氏はある講演で「民主主義は技術。技術は変わるべき」と述べているが、民主主義の選挙制度は神聖不可侵な訳ではなく、時代に沿って変わっていくべきである。実際、日本でも1996年に先述の小選挙区比例代表並立制が新しく導入されている訳で、選挙制度自体が生き物であることは日本も理解している。

まずは地方選挙からでも良いので実験的に導入してみると面白いかもしれない。

フィードバック

何名かの当該授業の受講生にこのアイデアを聞いてもらってフィードバックを貰っている。下記にその一例を列挙する。
・現在の政治家が、わざわざ自分が負ける可能性のある制度を導入するのか?
・年齢層で区切っているが、年齢層での区切りが本当に良いのか?

・現在の政治家が、わざわざ自分が負ける可能性のある制度を導入するのか?

これは難しい問いである。確かに社会全体のことを考えて制度を変えられる政治家がどれだけいるのか?と言われると分からない。

ただ、小選挙区比例代表並立制が導入された背景には、その前の中選挙区制度の時の政治汚職(リクルート事件・東京佐川急便事件・ゼネコン汚職事件)があり、政治への国民の不満が高まったからと言われている。

したがって、今後、小選挙区比例代表並立制での弊害が分かりやすい形で表面化すると、選挙制度の改変に動く可能性があると考える。

・年齢層で区切っているが、年齢層での区切りが本当に良いのか?

この指摘はごもっともである。

例えば日本における男女比。2019年の総務省統計局のデータでは男性が約6,141万人、女性が6,475万人となっており、女性の方が約334万人多い。※ただし全人口の数字なので、18歳以上の選挙権を持つ国民に絞ると数字は変わる

したがって、女性の意見の方が、多少ではあるが通りやすい社会であると言えるのである。

今回の議題の始まりが「年齢別での投票力の格差」だったので、今回のような提案になっているが、別の切り口からの視点になれば解決策も変わるだろう。

つまりは、切り口次第で選挙制度の仕組みそのものが変わるということになるので、投票できる投票力を変えるよりも政治家の選ばれ方を変える方が良いのかもしれない(実際、小選挙区比例代表並立制は、1人1票という投票力は変えてないが選ばれ方を変えている)。


今回、レポートというものを10年ぶりくらいに書いてみて、学んだことのアウトプットする儀式は非常に大事だなと感じました!

レポートを書いていく中で、選挙制度はあくまで民主主義を正常に機能させるための手段であるという点に改めて気づき、手段であるならば変わっていくこと自体は悪ではないとも思いました。

国政選挙・地方選挙といったレベルではなく、まずはDAOやDiscordコミュニティから様々な実験をしていくと良いのだろうなと感じたので、henkakuコミュニティを始め自分が所属しているコミュニティにて試行錯誤を進めていきたいです!

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