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時間制限食は本当に良い?最新研究とラマダンの比較から考える

「時間制限食(Time-Restricted Eating, TRE)」 がダイエットや健康管理の方法として注目を集めています。

すべての食事を8時間内に終わらせ、あと16時間は胃腸を休ませるというダイエット法です。

食べる時間を決めることで体脂肪が減り、筋肉を維持しやすくなると言われていますが、本当に効果があるのでしょうか?

今回は、時間制限食と運動の組み合わせが体に与える影響を調べた研究 を紹介し、さらにラマダン期間中の体重変化 に関する研究と比較しながら、「時間制限食が本当に良いのか?」を考えていきます。


時間制限食(TRE)とは?

時間制限食(TRE)は、1日のうち決められた時間内にのみ食事をする方法 です。今回の研究では、食事を12:00〜20:00の8時間内に制限し、残りの16時間は水やブラックコーヒーなどカロリーを含まない飲み物のみ摂取するという方法を採用しました。

TREは「食事制限をしなくても体重が減る」と言われることが多いですが、運動や食べる内容によって結果は変わる可能性があります。


時間制限食+運動は本当に効果がある?

この研究では、時間制限食と運動を組み合わせると、体脂肪を減らしながら筋肉量を維持できるのか? を調べました。

研究の内容

  • 対象者: 21名の過体重または肥満の成人(平均年齢 44歳、BMI 29.6)

  • グループ分け:

    • 時間制限食(TRE)グループ: 12:00〜20:00 に食事を摂取

    • 通常の食事(NE)グループ: 食事時間の制限なし

  • 運動プログラム(両グループ共通):

    • 週3回の筋トレ(上半身・下半身・背中を鍛える)

    • 週3回以上の有酸素運動(1週間の合計運動時間は300分以上)

  • 研究期間: 8週間

結果1. 体脂肪の変化

  • TREグループ: -9.0%(3.0kgの脂肪減少)

  • NEグループ: -3.3%(1.0kgの脂肪減少)TREの方が約3倍の脂肪を減らした!

結果2. 筋肉量の変化

  • TREグループ: +0.6%(ほぼ維持)

  • NEグループ: +1.9%(やや増加)筋肉量の増加はTREよりNEがやや有利だった

結果3. 内臓脂肪の変化

  • TREグループ: -0.14kg(内臓脂肪が約2倍減少)

  • NEグループ: -0.07kgTREは特に内臓脂肪を減らすのに効果的

結果4. 食事のカロリー

  • TREグループ: 約300kcal/日のカロリー摂取減少

  • NEグループ: 約250kcal/日のカロリー摂取減少どちらもカロリーが少し減ったが、TREの方がやや大きかった

結果5. 運動と心臓の健康

  • TREグループの方が、運動後の心拍回復が良くなった

  • ただし、筋力の向上はNEグループの方が大きかった時間制限食だけではなく、運動の仕方も重要!


ラマダンの研究と比べると?

ラマダンは、日の出から日没まで断食を行う イスラム教の習慣です。この期間中の体重変化に関する研究を見てみると、「痩せる人もいれば、太る人もいる」 ことが分かっています。

ラマダン中の体重変化

体重が減る人の特徴

  • 食事量が自然に減る

  • カロリー摂取量が減少する

  • 体脂肪が燃焼されやすい(特にBMIが高い人)

体重が増える人の特徴

  • 日没後の食事で高脂肪・高炭水化物の食事を多く摂る

  • 運動量が減る

  • 睡眠不足で代謝が乱れる

つまり、ラマダン中の体重変化は、運動量と食事の内容によって大きく変わる!



時間制限食=痩せる、ではない!重要なのは食事と運動

TREの研究では、運動をしながら時間制限食を行ったからこそ、脂肪が減り筋肉を維持できた ことが分かりました。

しかし、ラマダンのように運動量が減り、高脂肪・高炭水化物の食事を摂ると、体重が増えることもある という研究結果もあります。

つまり、時間制限食だけではなく、何を食べるか・どれだけ運動するかが重要!


まとめ

時間制限食(TRE)は、運動と組み合わせることで脂肪を減らしながら筋肉を維持できる
内臓脂肪の減少にも効果が期待できる
TRE単体では筋力アップには不利な可能性
ラマダンでは、運動不足+高脂肪食だと体重が増えるリスクあり

結論:食事の内容と運動量をコントロールすれば、時間制限食は効果的!


参考文献

Kotarsky, C. J., Johnson, N. R., Mahoney, S. J., Mitchell, S. L., Schimek, R. L., Stastny, S. N., & Hackney, K. J. (2021). Time-restricted eating and concurrent exercise training reduces fat mass and increases lean mass in overweight and obese adults. Physiological Reports, 9(e14868). https://doi.org/10.14814/phy2.14868

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