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いのちのスクワット──筋肉を鍛えれば、人生は変わる
健康的な体を手に入れるために、食事や運動が大切なのは誰もが知るところ。しかし、「筋肉がもたらす真の力」を知っている人は、まだまだ少ないかもしれません。
東京大学名誉教授であり、日本の筋生理学を牽引した石井直方氏の著書 『いのちのスクワット 鍛えれば筋肉は味方する』(扶桑社)は、まさに筋肉の持つ驚異的なパワーを科学的に解き明かした一冊です。
本書では、「スクワット」が単なる筋トレではなく、健康寿命を延ばし、病気を予防し、人生をより豊かにする方法であることを、わかりやすく解説。特に 「マイオカイン」 の最新研究に着目し、運動が私たちの体に与える影響を徹底的に掘り下げています。
「運動しないといけないのはわかっている。でも、なかなか続かない…」
そんなあなたにこそ、読んでほしい一冊。本記事では、本書の要点と読みどころをまとめました。
筋肉は"動く臓器"──マイオカインの驚くべき力
本書の最大の魅力の一つが、筋肉が分泌する 「マイオカイン」 に関する解説です。
マイオカインとは?
筋肉が動くことで分泌される生理活性物質で、 全身の健康を司る 重要な役割を果たします。
これまで筋肉は「運動や力を発揮する器官」と考えられてきましたが、近年の研究で 「ホルモンのような働きを持つ”内分泌器官”でもある」 ことが明らかになっています。
マイオカインにはさまざまな種類がありますが、中でも注目すべきなのが 「スパーク(SPARC)」 という物質。
スパークがもたらす健康効果
石井氏は本書の中で、スパークが 大腸がんの初期細胞を自死(アポトーシス)に導く 可能性を示唆しています。
これは、運動が単なる筋力維持にとどまらず、 病気の予防や改善にまで影響を与える ことを意味します。
また、スパークは 腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促し、便秘の改善にも寄与する ことが指摘されています。
腸の健康は全身の健康と深く関わっており、腸内環境が整うことで免疫力向上、メンタルの安定など、多くの恩恵を受けることができるのです。
私自身の経験──筋トレで人生が変わった
実は、私自身も過去に腸の不調に悩まされていました。便秘や消化不良、時には肛門科に通わざるを得ないほどの症状も…。
しかし、本書を読んで筋トレを始めたところ、 腸の動きが活発になり、数ヶ月後には医師から「もう問題なし」とのお墨付きをもらうまでに改善 しました。
「運動で腸の健康を改善できる」
本書を読まなければ、このシンプルな事実を知ることもなく、相変わらず薬に頼っていたかもしれません。
運動が「体を鍛えるためのもの」ではなく、「健康を取り戻すためのもの」であることを、実体験をもって痛感しました。
スクワットが"最強の運動"である理由
石井氏が推奨するのは、 スクワット。
スクワットが最も優れた運動である理由は、 「全身の筋肉を同時に鍛えられる」 ことにあります。
なぜスクワットなのか?
足腰の筋力を強化 → 歩行能力の向上、転倒防止
基礎代謝アップ → 太りにくい体質へ
腸の動きを活性化 → 便秘改善、消化機能の向上
心肺機能を高める → 持久力アップ、心臓病リスクの低減
「運動はしないといけない」と頭ではわかっていても、実際にジムに通ったり、特別な器具を買うのはハードルが高い。
でも、 スクワットなら今すぐ、自宅でできる。
本書では、 初心者でも無理なく始められるスクワットメニュー を具体的に紹介しているので、誰でも実践可能です。
「病気を予防する筋肉」という考え方
石井氏は、運動が 「健康寿命を延ばすための手段」 であることを本書で繰り返し強調しています。
実際に、筋肉量が多い人ほど
・ 糖尿病になりにくい
・ 心疾患のリスクが低い
・ 認知症の発症率が下がる
といった研究結果が報告されています。
「鍛えるべきは、見た目ではなく、未来の自分」
そのメッセージが、本書を通じて強く伝わってきます。
まとめ:今すぐスクワットを始めたくなる一冊
本書を読めば、 運動の意味が変わる でしょう。
・スクワットは「命を守る運動」 である
・筋肉が健康を左右することが科学的に証明されている
・マイオカイン(特にスパーク)が病気を防ぐ可能性がある
・筋トレが腸の健康を改善する という新たな視点
「運動しないといけない…」ではなく、 「運動しないなんてもったいない!」 と思えるようになります。
石井直方先生は、2023年に惜しくも逝去されましたが、本書に込められた「筋肉の力を信じること」のメッセージは、今も私たちの中に生きています。
「いのちを守るスクワット」 を、あなたも今日から始めてみませんか?