テニス上達メモ001.怖れないテニス
〜12月18日 11:00
▶テニスは「揺さぶられる」スポーツだから
強さの条件「柔軟性」。
不測の事態に動揺したり、困ったり、怒ったりするのではなく、「あらよっ!」と対応できる身のこなし、心のこなし。
頑なでいると、一見すると強いのだけど、弱くなるのです。
▶「怖れ」との向き合い方
頑なでいるのは怖れているから。
怖れているから心身を固くガードして守ろうとするのだけれど、免震構造を持たないビルみたいなもので、揺さぶられるとポキッと折れてしまう弱さを孕みます。
柔軟な免震構造を備えていれば、揺さぶられれば揺れるものの、持ちこたえます。
そしてテニスというのは、右往左往し縦横無尽に揺さぶられるスポーツです。
▶「ああ来たら、こう」「こう来たら、ああ」
テニスコート上で上手く立ち回るには、心身が柔軟でいることです。
対戦相手から打たれたボールが「ああ来たら、こう」「こう来たら、ああ」と、柔らかく、臨機応変に、仕方なしにでも、交わせる身のこなし、心のこなし。
「こうすべき!」などと決めつけるのではなく、「かまへん」「しゃーない」「まー、えっか」の連続が、テニスというスポーツです。
▶聞いてないよ~
なのに、自分の打ち方、戦い方、プレースタイルにばかり固執してしまうと、不測の事態に対応できなくなってしまいます。
とはいえ、不測の事態がひっきりなしに訪れるのが、テニスというスポーツ。
突然、足元を狙われます。
いきなり、頭上を抜かれます。
ドロップショットなんて、聞いてない。
▶「フォーム固め」という呪縛
特に強調しておきたいのは、フォームというのは「固めてしまわないほうがよい」ということです。
テニスに限らず野球でも卓球でもゴルフでも、スポーツ指導の現場ではよく、「フォーム固め」という用語が使われますけれども、型にはめて固めては、ここで俎上に載せている柔軟性が失われてしまうのです。
ヒザを曲げるフォームを徹底しようとしたら、高いボールに対して身体バランスを崩しますから、むしろフォームは乱れるのです。
徹底しようとすると、「ああ来たら、こう」、「こう来たら、ああ」ができなくなる。
フォーム固めが「呪縛」となるのです。
▶正しいフォームを守らないと「大変なことになる」?
なぜ、ヒザを曲げるフォームに固執するのか?
それは、怖れているからです。
「ヒザを曲げなきゃマズい!」
「ストロークではヒザを曲げるべきだ!」
そのような怖れが巣食っているせいで緊張感が心を支配し、体を強張らせるため、ますます柔軟性を損ないます。
正しいフォームを守らなければ「大変なことになる」と、心を閉ざしてしまう。
怖れがなければ、フォームの決まり事を守る必要がない柔軟なオープンマインドでいられます。
どんなボールでも広く受け入れられます。
怖れないためには、正しいフォームの決まり事を定めずにいることです。
▶体はあえてフォームを「崩してくれる」
一般的なテニス指導では、フォームが崩れる対応を非としますが、体は肝心な打球タイミングを合わせるためにあえてフォームを崩してくれるのであり、テニスゼロでは是とします。
それが柔軟性です。
「足を前へ踏み込まなきゃ」といっても、打球タイミングが遅れそうなのに無理やり踏み込もうとすると、飛んでくるボールと正面衝突する詰まった打ち方になってミスを招く。
そういう場合は自然な反応に身を委ねて、「のけ反って打つ」「体を横へ逃がす」ようなフォームが、合理的な対応だったりする場合もよくありますよね。
試合ではむしろ、実際に出場してみれば分かる話ですけれども、レッスンで習うバランスの取れた模範的なフォームで打てる機会のほうが少ないはずです。
▶プロのフォームはムチャクチャ!?
それはプロも同じこと。
いろいろなボールが引っ切り無しに飛んでくるものだから、「背面打ち」「開脚フットワーク」「下がりながら打つ」「股の間から」などの、まさか模範的とは言えないさまざまな(ムチャクチャな?)フォームで対応するからこそ、「上手くいく」のです。
揺さぶり合いが激しくなるプロのフォームこそ、ムチャクチャです。
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11月18日 11:00 〜 12月18日 11:00
スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero